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九つの大禍の章
その日、『世界』が異変に包まれた。
突如3体の魔獣が現れて暴れ回り、月が緑に染まり、天空には船が浮かぶ。
これらを皮切りに、異変は全てで九つ。
それらは『世界』の各地で猛威を奮った。
これらは九つの大禍――ナインヘルツと呼ばれた。
神々はこれを鎮めんと精霊と妖精に協力を求める。
3者が月が満ち欠けを一周繰り返す時をかけて星と大地の力を集め、それを剣と成した。
星剣エスペランサーと銘されたそれを先陣で振りかざし、天使達を率いて神々はナインヘルツへと戦いに赴く。
戦いは苛烈を極めたが、やがて多大な犠牲の上に神々の勝利で幕を閉じた。
ナインヘルツは全て『世界』の各所に封印され、ここに至り束の間の平穏と安息が訪れる。
その後、神々は新たに2柱の神を生み出した。
獄冥戒竜と神龍と名づけられたそれらは最後の神としてそれぞれ東西に置かれる。
そして――唐突に神々の姿が消えた。
地上に取り残された人間は絶望し、何日も何日も神々の帰還を祈った。
しかし待てども祈れども神々は帰ってくる事はなく、人は神話の終焉を知った。
この時より人類の歴史が始まる。