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赤と白

『不幸は、単独ではやって来ない。大軍を引き連れ、やって来る』という(ことわざ)がある。


真理である。悲しい事に。


あれからも、悲劇は続いた。


三代藩主・信義を隠居させ、信義の異母弟・信英を藩主に擁立しようとしたお家騒動『正保の騒動』。

異常気象と、藩の借金返済に米を売り払い食料不足となり、餓死者十万二千人を出した『天明の大飢饉』。


手を変え品を変え、不幸は訪れた。

その度に大道寺は、殿鞍は、血を流す。

そして殿鞍は、その都度大きくなっていった。

()びとして家禄は増え、家格は上がってゆく。

担当する業務も、 “馬“ から “倉“ に変わっていった。

そして家名も改められた。 “殿()“ から “殿()“ に。


誰もそんな事は、望んでいなかったのに……。


そして時代は下る。

動乱の幕末を経て、新時代の明治、大正へと。

新たなる物語が、始まろうとしていた。




神戸市街中心部を一望出来る諏訪山(すわやま)

そこに17~18歳ぐらいの二人の少年がいた。

一人は身長170センチ前後の少し小柄な少年。その体躯に似つかわしい、あどけない童顔をしていた。

もう一人は180センチを超える長身であった。だがその躰には筋肉があまりなく、ひょろ長い鉛筆を思わせた。


「明るいな、この街は。日差しが、痛いくらいだ」


八月の陽光を浴び、神戸の街を見下ろしながら、小柄で童顔な少年は呟く。


「同じ港でも、蒼森とは違いますね。平舘海峡(たいらだてかいきょう)で入口が狭められた陸奥湾(むつわん)と違って、海が広い。開放的な感じがします」


長身の少年が、丁寧な言葉遣いで答える。

その貌は陰影が深く、長身も相まって、日本人離れした風貌であった。


「今や横浜と並んで、日本で一二の港町だからな。学ぶ事は多い。しっかりとその目に焼き付けておけ」


『はいっ』と長身の少年は、素直に頷く。


二人の言動は、17~8の少年とは思えなかった。




二人はしばらく街を見つめていた。

すると小柄な少年がある事に気づいた。


「うん?」

小柄な少年が訝し気な声をあげる。


「どうしました?」

長身の少年が、思わず訊ねる。


小柄な少年は無言で手を伸ばし、真っすぐ崖下を指差す。


そこで20名ぐらいの人間が二手に分かれ、争っていた。

一つは、鳥打帽(とりうちぼう)を被り、作業服を着た、15名くらいの集団であった。

彼らは数に物を言わせ、もう一つの集団に攻勢をかけていた。

そしてもう一つの集団は、黒い背広を着た、5人くらいの一団だった。

彼らは盾となり、一人の人間を必死で守っていた。

それは少年たちと同じぐらいの年頃の、少女だった。

彼女は渦に巻き込まれる木の葉のように、戦闘に翻弄されていた。




「加勢するぞ!」


小柄な少年は、そう叫ぶ。

そして転落防止用に設けられた柵を越え、崖に飛び降りる。

崖は勾配60度を超える急斜面だ。 “落ちる“ ことは有っても、 “降りる“ ことは無い。

だが彼は “降りた“ ――この崖を。

膝をたわませ、サスペンションを効かす。足全体で土を蹴り上げ、カウンターを当てる。

スキーヤーがウエーデルンで滑るように、土煙を舞い上げながら降りて行く。


長身の少年も後に続き、崖を駆け降りて行く。

彼は、先行する小柄な少年に訊ねる。


「どちらに加勢を?」


「レディに決まっているだろう!」


小柄な少年は、迷いなく答える。


「貴方らしい……」


長身の少年は苦笑する。こういう人なのだと。




崖下では、困惑が広がりつつあった。

土煙が上がった。転がり落ちて来る音がする。

落石かと思った。下手したら土砂崩れかもとも。

戦闘をしながら、横目で音のする方向を見る。

自然災害なら、避けなければいけないから。

彼らは見た。そして我が目を疑った。


シュプールを描きながら、二人の人間が崖から降りて来る。

転がる事なく、真っすぐ立ったままで。


シュールであった、恐怖であった。

例えるなら、ビルの壁に足を垂直に着けながら降りて来るような物である。


常識という概念が、ぶち壊された。

そこに判断の遅れが、思考のエアポケットが発生した。


普通の日本人なら『源義経の鵯越(ひよどりごえ)の逆落とし』を連想し、対処出来ただろう。

だが彼らは出来なかった。

彼らは全員180センチを超える長身で、髪は金髪で、青や緑色の瞳をしていた。

東スラヴ人たちであった。

義経のことなど、知る(よし)もない。



少年たちは崖を無事降り切った。

着地の瞬間を狙われる事もなかった。

彼らは勢いそのまま、戦闘の中に突っ込む。



「我が正義の鉄槌、咎人に悔恨させんと、いざ下さん!」


小柄な少年が雄叫びを上げる。


「……翻訳すると、『暴れたいから、お前ら俺のサンドバックになれ』です」


長身の少年は日本語から日本語に翻訳する。

身も蓋もない言い方である。

言った方もそれを自覚しているのか、少しうんざりした顔をしていた。


言われた方は単語の意味は分かっても、何を言っているのかさっぱり分からなかった。

そんな勝手な理屈を言う筈はない。きっと違う意味だろうと思っていた。


ところがそれは、そのままの意味だった。

少年たちは、好き勝手に暴れ回った。


小柄な少年は、背中に背負っていた40センチの棒を右手に握る。

そしてそれをシュッと振る。

棒は三倍の120センチまで伸びた。伸縮式の特殊警棒だった。

リーチの短さをそれでカバーし、俊敏な動きで敵を翻弄し、バッタバッタと打ち倒した。


敵は本気になった。

脇腹から、ホルスターに吊った拳銃を取り出した。

少年に銃口が向けられる。



「おっと、これはお前の担当だな。チェンジ!」


彼はそう叫ぶと後方に下がり、長身の少年と入れ替わる。


「まったく、暴れるだけ暴れて、後片付けは人任せですか……」


長身の少年はブツブツと言いながらも前に出て、敵と対峙する。

その彼に、十数発の弾丸が一斉に発射された。


少年は、両目を瞑る。

そしてニヤリと笑い、再び両目を開けた。

彼の目は、燃えるような赤い目をしていた。


「軌道が、丸見えですよ!」


長身の少年はそう言うと、舞を踊るみたいに身体を捻る。

銃弾は、彼の身体を素通りして行く。

完全に軌道を見切っていた。

それも銃が発射する前から、回避行動を行なっていた。

『未来視』――そんな空想上の言葉が、敵の脳裏に浮んだ。


「僕に当てたいなら、途中で軌道修正出来る弾を用意して下さい」


……無茶を言う。

そんな事が出来るのは神代の英雄か、さもなくば未来の、左腕に銃を仕込み、葉巻を咥えている宇宙海賊ぐらいのものだ。


弾を躱した彼は、そのまま突っ込み、敵に拳を突き立てる。

拳銃を抜き中長距離にシフトしていた敵には、なす術が無かった。


さらに後方から小柄な少年が再び襲い掛かり、警棒で殴ってくる。

その一撃は少年の見かけから想像できない程重い。

恐らく骨が折れているかヒビが入っているだろうと思われた。




撤退だ。――敵はそう判断した。

負傷した味方を回収し、まだ戦える者が殿(しんがり)を務め、下がって行く。

少年たちは、深追いはしなかった。



戦闘は終了した。静けさが訪れた。

少年たちは、ほっと息をつく。



「うっわ、やべぇ。服が返り血だらけ、ほこり塗れだ。着替え、あったっけ?」


小柄な少年が、キョロキョロと自分の服を見ながら呑気な台詞を吐く。


「トランクの中に礼服を用意してますよ。崖の上に置いて来たから、もう一度登らないといけませんね」


長身の少年が、冷静に答える。


「面倒くせ~。ここで待ってるから、俺の分も持って来てくれよ」


「知りませんよ。自分の事は自分でしなさい。グズグズしてたら、置き引きに持っていかれますからね」


「けち――」


少年たちは和やかな雰囲気で言い合いをしていた。

先程までの緊迫感が、嘘のようだった。



「あの――――」


そんな少年たちに、呼び掛ける者がいた。


「それに顔に付いた血も、落として下さいね。そんな顔で『初めまして』って挨拶したら、先方が腰抜かしますよ。あそこの水道で洗ってきて下さい」


「あの、もしもし」


呼び掛けの声は、さらに大きくなる。


「わーったよ。ちゃんと余所行きの顔をするよ。まったくうるせぇな――」


「あのですね。私の言う事、聞こえてます――? もしも――――し」


呼び掛けは、もはや絶叫に変わっていた。

少年たちは両手で耳を押える。


「聞こえてるよ。お前、馬鹿か? せっかく人が気がつかない振りをしてるのに」


「なんでそんな振りをするんですか? このままお礼を言わないと、私はとんだ恩知らずになるじゃないですか!」


小柄な少年が吐く雑言(ぞうごん)に、呼び掛けの主は抗議の声を上げる。

少年は『はぁ』と溜息をつき、声の主と視線を合わす。


声の主は、先程襲われていた少女だった。

少年は改めて少女の顔を見る。



美しかった。

絹糸みたいな、銀色の細い髪。

森の奥にある湖のように、澄んだエメラルドグリーンの瞳。

真っすぐに伸びた深い鼻梁。

品格のある美しさを体現していた。



だからこそ彼は、彼女を無視しようとしていた。




「……あんたら、白系(はっけい)ロシア人なんだろう」


『白系ロシア人』―― “白人系ロシア人“ という意味ではない。

共産主義を象徴する “赤“ に対しての、帝政を表す “白“ 。

つまりロシア革命に反対し、帝政の復活を望む者達である。

彼女の品格・所作は、まさしく貴族そのものであった。


「という事は、襲って来た連中の素性も見当がつく。………… “チェーカー“ か」


『チェーカー』――ソビエトの秘密警察組織。

裁判所の決定なしに逮捕、投獄、処刑を行う権限を持ち、赤色(せきしょく)テロルや粛清を行なう。KGB(カーゲーベー)の前身に当たる組織だ。



「貴方、アホですか? そこまで分かっていて、あの連中に喧嘩を売ったのですか?」


『信じられない!』――彼女はそんな顔をしていた。


「俺たちは相手が強いから弱いから、勝てるから負けるからといって、喧嘩をする訳じゃない。相手の行ないが許せるか許せないかだ。その事は身に染みて知った筈だろ、14年前の戦争で……」


彼女はぐっと言葉を飲む。


14年前の戦争で、ロシアはそれを思い知った。

当初ロシアは、日本は巨大なロシア帝国相手に戦争をする勇気は無いと思っていた。

圧力をかければ必ず譲歩してくると思い、強硬姿勢をとっていた。

だが日本は引かなかった。

勝てる見込みのない戦争を決断した。

誰もがロシアの勝利を疑わなかった。愚かな選択をしたと皆が思った。


だが結果は、歴史の知る通りだ。

ロシアは敗北し、日本は勝利した。

いやこれはロシアが転び、日本が勝ちを拾ったと言った方が正しいかもしれない。

クロパトキン将軍とグリッペンベルク将軍の確執があり、相矛盾する命令を受けて現地部隊は混乱していた。まさしく敵失により日本は勝利したのだ。



この結果は、お互いにとって不幸だった。勝者にとっても、敗者にとっても。



日本にとって、いやアジアにとって、これは大変価値のある勝利だった。

西洋列強にはどうあっても抗えないという考えが覆されたのだ。

希望が芽生え、勇気が湧いた。


それでもこの戦争は、勝つべきでない戦いだった。

補給が武器や燃料が無くとも、なんとかなると云う考えが蔓延(はびこ)った。

もちろん見識のある者は、そうではないという事を知っていた。

だが多くの者は、勘違いした。


そしてその間違った成功体験は、日本を更なる無謀な戦いへ、破滅へと導いた。



敗れたロシアはもっと悲惨だった。

敗戦によりロマノフ王朝は求心力を失い、革命により滅亡した。

いま目の前にいる彼女は、その敗残兵だ。


現在のロシアはボリシェヴィキ(レーニン率いる左派・共産党)に支配されている。

そして共産主義を警戒する列強から、戦争を仕掛けられている。いわゆる “シベリア出兵“ だ。


少年はそんな厄介なものに、係わり合いたくなかった。



彼女は人差し指を横にして唇に当て、何やら考え込んでいた。

そして数秒の思案の後、ぽんっと手を叩き、晴れやかな顔をした。


嫌な予感がした。


彼女はニタリと唇を上に吊り上げ、目を細め、悪代官みたいな笑顔で笑いかけて来た。


「この度は危ない所をお助け頂き、誠にありがとうございました。か弱い女性の危機を見捨てず、我が身の危険を顧みず、巨悪に立ち向かうは何たる高潔な魂。日本の “武士道“ は、西洋の “騎士道“ に勝るとも劣りません。心から感謝の意を捧げます!」


日本風に腰を折り、深くお辞儀をして、数秒そのまま静止していた。


「さて…………」


少女は腰は屈めたまま、頭だけ起こして、上目遣いで小柄な少年を見る。

その目は糸のように細く、悪魔が笑っているようだった。


「私は感謝の意を伝えました。受け取るかどうかは、そちらの自由。私の(あずか)り知らぬ事でございます。私の責は果たしました」


晴れ晴れとした表情で彼女は言う。


「そうか、よかったな。じゃあこれで話は終わりだ。ほな、さいなら」


少年は踵を返し、その場をさっさと立ち去ろうとする。


「その上で、責を果たした上で、もう一つだけ、お願いしたい儀がございます」


少年は駆け足で走り出そうとする。

絶対ろくでもない事に決まっている。

聞かぬが勝ちだ。


「あれ――? 逃げ出されるのですか? か弱い乙女の、異国で不安に震える少女を見捨てて。ああ、 “武士道“ とは、かような物でございましたか!」


少年の足が、ピタリと止まる。

そう言われて、黙っている訳にはいかない。


「大した事ではございません。私を保護してくれる者の所まで、届けて欲しいのです」


やっぱりそういう事か。これ以上深入りしたくは無いのだが。


「ご覧ください。護衛の者は満身創痍、とても満足に戦える状態ではありません」


彼女の言う通りだ。三倍の敵とやり合ったのだ。無事で済む筈がない。

身体中、ナイフで斬られた傷だらけだ。まともに手足は動かないだろう。


「ですので彼らに代わり、私の護衛を務めて頂きたいのです」


真っ当な要求だ。寧ろここで放り出す方が、無責任とも言える。


「お手間は取らせません。場所は、ここから4キロメートル程です。そこで謝礼もお渡しします」


『どうしたものか』――少年は考え込む。


「僕は、反対です!」


長身の少年が、声を荒げて反論する。


「貴方が護るのは、貴方のパートナーになる者だけで十分です。そんな奴を護る義理はありません。そして貴方の横に立つのは、そんな女ではありません!」


彼女は『おやっ』という顔をする。


「そちらの方は、恋人さんでしたか」


彼女は生温かい目で、彼らを見る。

『やめろ、そんな目でみるんじゃねぇ』と、彼の目は訴えていた。


「断じて違う! そんな趣味はない!」


彼はあらぬ濡れ衣を剥がそうとする。


「そうです! 貴方の横に立つのは、僕の妹です!」


「お前の妹は、今8歳だろうが。ついこの間まで俺がおしめを取り替えてやってた相手に、そんな気になれるか!」


同性愛者(ゲイ)さんではなく、幼女趣味(ロリ)さんでしたか……」


後方からの弾に被弾した。とんだフレンドリーファイヤだ。




「それでガスパジーン(ミスター)・ローリー」


えらい愛称をぶち込んで来た。


「話を進めます。送ってもらいたい場所は、『モノノフ商会』です。ご存知ですか? 結構有名な商会です」


それを聞いた瞬間、彼らの表情は一変した。

反抗する気が消え去り、呆然としていた。


「諦めましょう。……詰みです」


長身の少年は、溜息のように言葉を吐く。


「どこの三流演出家だ! こんなクソみたいな脚本を書きやがったのは!」


小柄な少年は、なおも納得いかない様子で、喚いていた。


「荷物を取って来ますね。お姫さまの護衛を、お願いします」


「おい、待て。俺が取って来る。お前がここに残れ!」


「とんでもない! 主人に荷物運びをさせるは従者の名折れ。ここで大人しく待ってて下さい」


「ちきしょう。いつもは『自分の事は自分でするように』と言うくせに!」


少年たちは先程まで “面倒くさい“ と言い合っていた仕事を、奪い合っていた。


「……私は “ババ抜き“ の “ババ“ ですか…………」


押し付け合いされる自分の立場に、彼女は少し傷ついていた。






道中は何も変わった事が無く、平穏であった。


彼女は長い銀髪も、彫の深い顔立ちも、麦わら帽子を深くかぶり、見えない様にした。

同行する同年代の少年たちに注意が行き、彼女は彼等の同類だと思われ、異国人ともバレなかった。

拍子抜けする程あっけなく、目的地に到着した。


彼等が到着すると。恰幅の良い中年の男性が飛び出して来た。



『ご無事でしたか、ソフィア様! お帰りが遅くて、心配しました!』


ロシア語で彼女に呼び掛ける。

彼もまた、金髪碧眼の東スラヴ人だった。

多分彼が、このモノノフ商会の会頭だろう。


『こちらの方々は……?』


同行した少年たちを、彼は警戒した目付きで睨みつける。


『賊に襲われ、危ない所を助けて頂いた方です』


少女の説明にも、彼は警戒のレベルを落とさない。


『信用出来るのですか? 自作自演で、私たちの懐に飛び込むのが目的ではないでしょうね……』


スパイは多彩な手段で潜り込む。

モノノフの懸念は尤もだ。彼らは信用されていない。

ロシア語でばかり話すのが、その証左とも言える。


小柄な少年は。その疑念を晴らすべく前に出た。


「失礼、モノノフ会頭でいらっしゃいますね」


少年は、敢えて日本語で喋る。

少しはロシア語は話せる。先程までのロシア語の会話も理解している。

だが敢えて、喋れない振りをした。


蒼森(あおもり)第一商会会頭・大道寺(だいどうじ) 宗敬(むねたか)の嫡男、大道寺(だいどうじ) 直輝(なおき)でございます。父から話があったかと存じますが、御商会の貿易について学ばせて頂きたく、しばらく滞在させて頂きます。これは父からの(ふみ)でございます」


小柄な少年は丁寧な挨拶をし、紹介状をモノノフに手渡す。

手渡された彼は、信じられないような顔をしていた。


「蒼森第一商会副会頭・殿倉(とのくら) 佑馬(ゆうま)が息子、殿倉(とのくら) 主馬(かずま)でございます。(あるじ)ともども、こちらで暫くお世話になります。よろしくご指導お願い致します」


長身の少年も身を屈め、深い礼をする。


モノノフは、目をパチクリとしていた。

無理もない。彼らは正式な客だった。




大道寺 直輝は、少女を見つめる。




別に貴方を送って来た訳じゃない。

たまたま行先が一緒だっただけ。

勘違いしないでよね、フン!



まるでそう言っている様だった。

勇哉のパパと、ヤング主馬のお話です。

元の時間軸に戻る前に、ちょっとだけ寄り道をします。

戦国編ほどは、長居をしません。


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