The truth of the truth(8)
森の中では衛兵らが祠を探していた。
「確か、大石さまの指示ではこの辺りの筈なのだが… 」
周囲を見渡しながら互いに目くばせをしていた。
「あったぞ! あれじゃないか⁉ 」
衛兵らの士気が高まった。衛兵の一人が襖を勢いよく開けた。
その時、微かな地響きが鳴った。同時に都全体に人間の嘆きと苦しみの声色が民らに響き渡った。それは、壮馬、大石、琉乃も例外ではなかった。
「…… っく⁉ 」
「…… う、うう⁉ 」
「壮馬さま、大石さん…… し、しっかりし… て… 」
琉乃は嫌な感触を感じていた。まるで忘れた過去を180度の角度で突きつけられているような感触だった。
空気中に舞うような音ではないことは琉乃には解った。恐らくこれは、人間の五感を通じてやってくる類いのものだ。
恐らく琉乃にとっての嫌な感触は壮馬や大石にとっても同様であろうことは確実であると琉乃は踏んでいた。
官邸内でも外の様子が異常なもので包まれているのは感じていた。
民たちもきっと、苦しんでいることだろう。
壮馬と大石は立位を失った。二人がひざまついた時、琉乃も床に手を置いた。その先には梅のハーブティーの茶葉が間にあった。重力を感じている。琉乃は呪文を唱え始めた。
「琉乃さま⁉ 」
「琉乃、お前… やはり… 」
祠では、衛兵らが互いを傷つけ合っていた。剣で切り付け合い、切り付け合い、その繰り返しだった。無論、衛兵らにも五感が備わっている。最後に残った一人の衛兵が自らの腹に剣を突き刺した。全ての衛兵らが倒れたその下には鈴木一家が息もなく、倒れていた。
鈴木一家には吐血したあとがある。それが衛兵らの傷と重なり合っていた。
血液が祠の床の隙間に入り、小さく拡がっていった。
地響きと声色が収まった。
壮馬と大石は額に汗を掻いていた。恐らく、民らもこのようになっているのだろうと琉乃は思った。
「壮馬さま、こうしていられないわ。まだやることはある。お願いがあるの。安岐さんたちと限られた者だけ、そしてわたしを祠へと向かう許可を与えて」
「あ、ああ。それは構わないが… 」
それから… といって琉乃は壮馬の右耳の先の壁に手を置いた。
「悪いことは言わないわ。わたしに転がされてみなさい」
壮馬の耳元で琉乃は囁いた。
壮馬は腰を抜かす。身体が炎上している。
「そ、壮馬さま! 大丈夫でございますか⁉ 」
(顔が赤い… 琉乃さまの小悪魔がこんなところでも発動するものなのか… )
大石は溜息をついた。




