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The truth of the truth(4)

 ―…… 「土台… ベース… 」

「琉乃先生? どうしました? 」

 萩原の声に琉乃はハッとした。

「あ… ううん、なんでもないわ」

「事件っていえば、別件で少し前から民が行方不明になっているっていう噂もありましたよね。民が行方不明になるって、どういうことなんだろう」

「行方不明の民… 」

 琉乃の頭に何かが引っかかった。

 吐血

 牛乳の量と質の低下

 鈴木家父の異常行動

 小屋の痕跡

 手編みのくつ下

 以前から発生している複数の行方不明の民

 仮の救命救護室で看護している身元不明の男

 そして、壮馬の狼狽を隠す仕草

「まさか… 」

 琉乃は自分で顎を掬った。

 その時、隣の家から中年女性がやって来た。

「萩原さん、今日も精が出るわね。これ、うちで余っちゃった牛乳なんだけど、よかったらもらってくれない? 捨てるのもったいなくてねぇ」

「あ、ありがとうございます」

 琉乃は目を疑った。

「待って! その牛乳って鈴木さんのところからの牛乳ですよね? 」

 中年女性は琉乃の殺気に驚いた。

「え、ええ。そうだけど… 」

「萩原さん、民に牛乳を避けるよう伝わってないの? 」

「え? いえ、そんなことはなにも聞いてませんよ」

 琉乃は血の気が引いた。嫌なものが裏で動いていると確信した。

「萩原さん、鈴木さんの卸した牛乳は飲まないように民全員に知らせてください! 牛乳の回収とそれに携わる人の防護の必要性、そして診察を受ける必要性をいまここで伝えます」

「琉乃先生? 」

「お願い、一刻を争うの」

 琉乃の真っすぐと澄んだ瞳に萩原は息を飲んだ。

「わかりました。琉乃先生はどうされますか? 」

「わたしは行かなくちゃいけないところがあるわ」

「はい。琉乃先生、お気をつけて」

「ありがとう、萩原さんも」

 萩原に会釈をして背を向けた。背後で萩原が中年女性に協力を頼んでいる声がした。時間がない、ということはこういうことだ。人を頼りにしなければ人は生きていけない。それは信頼関係を築くことが人として大切なことだと萩原はいままでの生きてきた中で大切にしてきたものだ。

 琉乃にとって萩原は頼もしい人物であることを再認識しながら、琉乃は走った。



 官邸内では壮馬が落ち着かない様子で部屋を行ったり来たりをしていた。その様子を大石が心配そうにみている。

「壮馬さま、お座りになってゆっくりしてください」

「いや、そうもいかない」

「もしかして壮馬さまは琉乃さまがおっしゃっていたあの事を… 」

「あいつが言ったことだ、かなりの信憑性がある。だが、まさか… あそこなのか…? 」

「壮馬さま… 」

 壮馬は手に聖伝を持っていた。額に汗を滲ませながらページを捲る。

「この聖伝は一体… 」

「壮馬さま、どうされますか? こちらでかなりの確率を持った鈴木一家の居場所の可能性があります」

「…… 」

 壮馬は聖伝を閉じた。

「大石、衛兵らを祠へと向かわせよ」

「… 承知致しました」

 御意、と大石は一礼をした。


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