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 キャリーケースの中身を一通り見渡して、琉乃は溜息をつく。


「一国の主にたてつくなんて、しかもわたしは医師免許を剥奪された人間なのに… 

 あ―‼ どうしよう… 」


 かちゃかちゃ、と漁る音と共に先日から琉乃の脳裏にはある事柄があった。


「千年以上前の大地震があった、って言ってたわよね。恐らくそれがわたしがここにタイムスリップするときに起こった地震と仮定するとなると、あの時がいまこの世界が構築されるタイミングだったといえるわね」


「お前は独り芝居が趣味なのか? 」

 琉乃が振り返ると、琉乃の部屋に壮馬と後ろに大石が携えていた。


「お疲れ様です」

「そうじゃないだろう! お前の部屋に男が勝手にいるんだぞ、怒れ‼ 」


「どうしたんですか? 」


「まったく、お前というやつは! 何度もノックしたのに気付きもしないで! わかっているのか、事の状況を! 」

「そんな怒りんぼ、知りません」

「~っ⁉ 」


 見かねた大石が間に入る。


「まあまあ壮馬さま。琉乃さま、一体これからどうするおつもりですか? 」


「大石さん、この日本の都といわれる領土はどの位の規模なのですか? わたしが入れるところとそうでないところの把握がしたいのです」


「少々お待ちください」


 大石が自分の部屋へと戻り、琉乃の部屋へと戻ってきた。


「こちらが現在の日本の都の地図です」


「関東甲信越から東海、西位の規模ね」


「申し訳ありません。そのような知識すら我々にはございません。私たちはこれが日本・都として在るものだと思ってまいりました」


「いえ、それはそれとして大切なことだと思います。ありがとうございました」


「俺はこんな茶番付き合ってられんからな! 」


 壮馬はドアをばん、と閉めて行ってしまった。


「申し訳ありません、琉乃さま。壮馬さまも子供っぽいところがあるようで… なんというか、その… あのような形で民の面前でやられてしまいますと壮馬さまが悪者のような立場になってしまうといいますか… 」


 琉乃はふっ、と笑った。


「大石さんは本当に忠誠心が高いおひとなんですね」


「いえ、私なんてそんな… 」


「大丈夫ですよ、わたし自身に争いの意思はありません。それに、今までの礎があるのはあの人のお力があってのことなのでしょう? 」


 大石は頬を赤らめ微笑んだ。


「はい。誠にございます」




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