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ハーブ畑(7)

 琉乃は梅のハーブ畑から帰還し、部屋に頬杖をついて考え事をしていた。


 その内に外から琉乃を呼ぶ声がして家から出ると綾部が担架で運ばれてきた。


「どうしたの? 」


 安岐が言いにくそうに言う。


「森で遊んでいたら、綾部がぐったりしていて吐いたりもしていたんです」


 琉乃が首元を触診し体温を感じている。


「恐らく熱中症ね。早く私の家に運んで」


 安岐たちが顔を見回し、萩原をみた。


「早く! 」

「あ、はい! 」


 琉乃は家兼診察室で看病をしていた。

「応急処置、これ、誰がしたの? 」


 一緒に綾部を運んできた萩原が言いにくそうに申し出る。


「素晴らしいわ。基礎がきちんと出来ている」


「拙い知識でしかないのですが、琉乃先生から頂いた本を夢中で読み漁ってしまってました。

 このようにお役に立てて嬉しく思います」


 安岐たちはその場に居づらそうにしている。


 琉乃はそんな安岐たちに話しかけた。


「ねえ、もしスターの患者と貧相な患者が同時に運ばれてきたらどっちを先に診ると思う? 」


 安岐たちは考え込む。


「これはね、考えてはいけない問題なのよ。

 即答できなくてはならない問題なの。答えは、病状の悪い方を先に診る、よ」


 安岐たちはうつむき、自身たちの行いを回顧していた。


 それから数週間後には安岐たちはボランティアで希望者の民に講座を開くこととなる。



 天皇の日という祝日に、琉乃は微かに感じていた。

 (現在のこの都に天皇の存在がいるのだろうか―― )



 この日、壮馬は断食をし、官邸に籠り瞑想をずっとしていた。


 官邸は国の教えの宝飾がされている。


 その日一日中壮馬は一睡もせずに人を寄せ付けずに瞑想を行っていた。



 人が近寄らない草むらでひとりの男が倒れている。

 そこを偶然通りかかった民がその男を発見した。


「おい、あんた! だいじょうぶか⁉ 」

「あ、ああ… あんたは誰だ? それよりもおいらは誰なんだ…? 」


「あんた、記憶がないのか? 」

「わからん、おいらは何もわからん… 」



 官邸の隣の一室では大石が古びた本を閉じ、隣にいた松田に言う。


 松田は地図をずっと眺めている。


「まったく、松田くんは真面目過ぎる。それこそがこの職には合うのでしょうが…

 不自然といわんばかりに、ですね」


「そうでしょうか、大石さん」


「いいえ松田くん、神に値する存在は不自然を自然と捉えることなのですよ。

 これは古から伝わる私のお気に入りの、とある一節です」




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