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ポイント(7)

 琉乃は壮馬に近づき、手に持つ蜂蜜檸檬を取り上げ、テーブルに置いた。


「なにをする? 」


「いいから、後ろ向いて」


 琉乃が半ば強引に壮馬の身体を後ろ向きにした。


 そして琉乃は壮馬の肩を揉み始めた。


「気持ちいい? 」

「ああ、いい気分だ」


「毎日が張り詰め過ぎなのよ。たまにはマッサージしないとね」


 そう言って琉乃はマッサージの範囲を上へと持ってきた。


「どこをマッサージしているんだ? 」


「ヘッドマッサージよ。頭にもたくさん坪があるのよ。気持ちいいでしょう? 」


 マッサージの振動と壮馬の身体も一緒にいざなって、波を起こしていた。

 気持ちの良い無言の時間が過ぎていく。


「蜂蜜檸檬もやっぱり上手いな。喉にいい。ただ声がまだ通らない感じがするんだ」


「… 歯、磨いた? 」

「いや、まだだ」


「磨いてきて」

「なんでだ? 」

「いいから」


 壮馬は頭を抱えて洗面所へと向かった。


 洗面所から戻ると、琉乃はプラスチックグローブをして壮馬を待っていた。


「こっち来て」

「? 」


「私の膝に頭のせて、寝て」

「はあ⁉ 」

「いいから」


 琉乃の強い姿勢に抗う事も出来ずに、壮馬は言う通りにした。


「口開けて」


 壮馬は抵抗する術もなく口を開けた。


「舌を左側に寄せて」

「なにをするつもりだ? 」


 すると琉乃は壮馬の右側の舌根をぐりぐりとマッサージを始めた。


「痛いぞ! 」

「痛いのは凝り固まっているからよ。続けるわよ」


 舌根のマッサージを続けていくと壮馬は段々と気持ち良くなっていくことに気付いた。


「気持ちいい? 」

「ああ… 」


「次は逆。右側に寄せて」


 壮馬は素直に言うことをきく。心地よさに委ねていた。


「はい、終わり。起きて」


 むく、と壮馬は起き上がるがまだ心地よさに浸っていた。


「あ―、あ―… なんだか声の通りがいい気がするぞ」


「そう、良かった。わたし、もう行くわね。おやすみなさい」


「… まだ喉痛いし、また熱がでるかもしれないんだが」

「大丈夫よ、とっくに山場は超えているわ。あと二・三日薬飲み続けてね」

 

 壮馬は頭を抱えながら琉乃を引き留める。


「待て。これを忘れているぞ」


 そう言いながら壮馬は琉乃にPCを差し出した。


「これ、ここに一台しかないから貴方しか使っちゃいけないんでしょう? 」


「また、貴方と言ったな」


「壮馬さま、申し訳ありません。でもこれは受け取れないわ」


「ここで貴方、と言ったお前に罰を与える。ふたりの時は壮馬、と呼べ」

「そのような呼び名、大石さんから怒られるわ」


「強情な奴だな。これはお前にあげるんじゃない。俺とお前で共用で使うものとするんだ」

「共用でこのPCを使わせてくれるの? 」


「これでお前のアウトプットをすればいい。大石の事はなにか言われたら俺が言うから大丈夫だ」


「… ありがとうございます。共用で使うって、なにか設定ってしました? 」


「設定? 」



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