第三章
あれから多分一ヶ月ぐらい経っただろう。
俺は着々《ちゃくちゃく》と魔物からスキルを獲得してこの洞窟で強い魔物がいなくなったことを確認し、俺は洞窟の出入り口を探していた。
でもこの洞窟は広く、魔物を狩っている時ですら出入り口を見つけたことはなかった。
(なぁ、この洞窟って出入り口あんの?)
「解、あります」
(この前手に入れた魔素感知で、魔素の流れを辿れば出入り口に出れるんじゃないか?)
「良い判断だと考えます。魔素感知を発動しますか?」
(yes)
すると今まで感じなかった感覚が追加された。
(ん?、あれじゃないか?)
魔素の流れを見つけた俺は叡智者に報告してそっちの方に歩き出す。
やっと外に出れるんだと思うと少し嬉しかった。
「くぅっ!、見つけたー!」
やっと出入り口を目にした。
太陽の光が差し込んでくる。初めてこの世界で日を浴びた。
とても気持ちがいいと思ってしまう。それもそうだろう。約一ヶ月ずっと暗闇の閉ざされた空間にいたのだからそう思うのも当たり前だなと思う。
外に出る。
「グハッ!、あぁー!」
しかし、久しぶりの娑婆だと言うのにどこかからか悲鳴が聞こえた。
(一応そっちの方向にいってみよう)
そう思って悲鳴が聞こえた方向に歩きでる。
その声は女性っぽかったが、女性だから助けに行こうとは思っていない。
「なぁ、こいつ金になるよな?」
「そうだな」
「こいつ馬鹿だろ。俺ら全員C級冒険者の実力はあるとわかんなかったのかよ」
一人の女性を囲むように五人の盗賊らしき者がいた。
「んぅん!」
女性は盗賊らに腕と足を一つずつ切り落とされて捉えられている。
「チッ……」
あいつらを見て苛立ちを久しぶりにいだいた。だから俺は盗賊らの真後ろにとてつもない速度で近づき忠告する。
「お前ら、この子をすぐに解放しろ!」
「うぉっ……、びっくりした」
「なんだお前、俺らに喧嘩売ってんの?」
「俺は言ったぞ!、次に忠告して変わらなかったならお前を始末する」
五人の盗賊を少しオーラを出して睨む。
「安心しろ。始末されるのはお前だ」
そう言って五人は戦闘態勢に移る。
それと同時に俺は一人を残して他の四人を殺した。
「えっ……?」
残した一人は何が起こったかわからないまま体が地につき、気絶する。
「よし、終わったな」
そう一人言をいって彼女の方に近づき、女性を縛っていた紐を切る。
ついでに洞窟で俺が暇だから作っていた回復薬を彼女に投げ当てる。
すると彼女の切断された腕や足、傷口から淡い光がでて、傷口はふさがり、切断面から新しく足ができた。
その凄まじい治癒力を目にして声に出して感服してしまった。
「さすがが九十%のフル回復薬だ……。君もそう思わないか?」
話しかけやすくするために俺からどうでもいい発言をした。
「あっ……、あの、なんで私を助けに来たんですか?」
「ん?、そりゃ当たり前だろ」
「当たり前ですか?」
「そうだ。悲鳴が聞こえたんだよ。悲鳴はたいてい何かに助けを求めるために出す発声法なんだ」
悲鳴に関して俺の解釈入りで適当に説明した。
そして叡智者はきちんとした悲鳴の意味ついて説明し始めたが無視する。
俺が悲鳴を聞いたから助けに来たみたいみいって彼女は動揺していた。
「なんでっ……、なんで人間が魔物を助けたんですか」
そう彼女に言われ頭にはてなマークを浮かべる。
彼女は俺のことを人間と言っていたから人だと解釈しているのだろうか。
そう考えていたなら早く訂正しなければならないと思った。
「同じ魔物を助けるのは当たり前だろ?。俺は見た目こそ人間だが、人型に擬態しているだけだよ」
そう言って片腕をドラゴンの腕にして証拠を見せる。
またも彼女はポカンとしてしまった。
今度はなんでか全然検討がつかなかったので素直に聞くことにする。
「何をそんなに驚いているんだ?」
そう質問すると態度がすっかり変わり言ってきた。
「申し訳ございません」
俺が直したばかりの体で俺に向けて彼女は土下座をして謝る。
「飛んだ御無礼なことを言ってしまい、竜種様」
そこで彼女がポカンとした理由がわかった。
俺が片手をドラゴンにしたことにより、この世界最上位種である竜種だと分かったから驚いたのだと分かったのだ。
叡智者に、竜種は崇め奉られる伝承が数多くあります、と聞かされてはいたが、初めて喋る魔物にも崇められているとは予想していなかったのだ。
「えぇっと……、態度を普通にしてくれないかな?。俺はそこまでたいそうな者でもないから」
「よっ……、よろしいのですか?」
「別に大丈夫だよ」
彼女は安心したかのようにして土下座をやめて向かい合って座った。
「わかりました。感謝します」
「それよりさ、君、名前は……」
君とか、彼女とか、女性とかと呼んでいて編な感じがしたから名前を聞くことにする。
「私のような小者に名前などあるはずもありませんよ」
初めて知った。
もしかするとあのアニメと同じで魔物には名前はないのだろうかとも考える。
そういえば叡智者が言っていた最初から持っているスキルで『名付者』があった気がする。漢字からして名付けできるみたいなスキル名だけど、詳細がわからないから叡智者に思考加速千倍を使用して聞く。
(名付者って言うスキルがあったと思うけど、このスキルは一体どんなスキルなんだ?)
「解、スキル名付者は、自身含めて全てのものに名前をさづけることができるスキルです。このスキルは魔王になる資格を持っている魔物のみに付与されるエクストラスキルです」
(えっ……?、名付者ってそんなにすごいスキルだったの?。あと俺って名前あったっけ?)
「解、マスターは名持ちの竜種ではありません」
(そうか、わかった)
そうして思考加速を切る。
思考加速千倍は本当のことを言うと叡智者が所有しているスキルだが、叡智者と俺は一心同体だから俺も思考加速千倍を使えるということだ。
「とりあえず、君はなんであんなことされてたんだ?」
「はい、それはですね……」
「敬語使わなくていいから。気楽にして大丈夫だよ。食ったりしないし」
俺は最後に冗談をいって気楽にしていいぞという。
「はっ、はい……。私は見てのお降り鬼族、オーガです。オーガは強い種族だからこそ捉えて従えようとする者が多く、とくにメスオーガが狙われてしまいます。私はあいつらの仲間に捕らえられてしまった同志を助けようと尾行していたのですが、見つかってしまいこのようなことになってしまったのです」
「ふむ、君はどうやらその喋り方が普通の喋り方のようだな」
気楽に話しても大丈夫だからな、といったのに変わっていないということはつまり、そういうことなのだろう。
そんなことをつい口に出してしまったが引き続き彼女に言う。
「しかし君は運がいいようだな。俺が手を貸してやる」
彼女は驚いていた。
『私を助けていただいただけでなく同志おも助けてもらうのは……、』と言いたい顔もしていたが、彼女が言う前に俺が言う。
「大丈夫ですとかは言うなよ。助けてやりたいのは俺個人の内心と同じだから手を貸してやるっていっただけだ。報酬とか見返りとかは求めてないから」
そう、俺は今まで平和な世界で生きていたから、こういった誘拐とかが許せないのだ。
しかも昔とは違い、俺は力を得た。昔なら助けられなかった者も助けられるようになる力が、それを持っているのに助けないのは単なるカスだ。あと昔と違うところは人を殺せるように精神が強くなったと言うことだろう。
俺は精神世界での戦闘訓練を叡智者に頼んでいたが、相手になるのはほぼ全てが人間で、戦闘力を上げるためにとてもリアルに忠実なものを殺してきたから、そこで得たくもない精神強化が加えられたのだ。もしかしたら叡智者はその精神強化をするために相手を人間にしていたのかもしれないとも思った。
あらすじ部分の注意の5番はどうか守ってくださいお願いします。




