第十二章
「そういえばオグリはどうなった?」
俺はヤマトに見惚れていたせいでオグリのことを忘れていたのだ。忘れていたことをオグリやヤマトに知られると面倒になると思いながらも聞く。
「オグリは今私が外に出られない状態なので、外に出てもらって他のオーガたちに説得をしてもらっているところです」
ヤマトの話を聞いて俺はてっきりオグリは前と同じ姿なんだなと勘違いしていた。今は……
(一度戻ってきてくれ、オグリ)
俺はオグリにそう念話でいいながらきちんと座り直す。ヤマトにずっと膝枕されながらオグリと喋るのは少し気がひけるからだ。それに俺のプライドも許さない。一応ではあるが俺にもプライドはあるのだ。
(わかりました。少しお待ちください)
オグリにそう言われる。
ヤマトはF級から魔人級になっていた。オグリはどれだけ強くなっているのだろうかと考えながららもオグリのことを待つ。
オグリもあのC級と同等な盗賊の奴隷にされていたことから、オグリはおそらく前のヤマトと同じで最弱に近いF級だったのだろうと思う。
するとオグリは戻ってきた。
「すみません。少し遅くなってしまいました」
「……」
俺はオグリの姿を見て唖然としていた。
俺が甘かったのだ。オグリはヤマトと同じぐらいの弱さだったのにヤマトだけ魔人級になった方が不自然だ。そして進化も普通はするだろう。ヤマトも進化して鬼人になったのだから。
オグリの姿は、身長が前よりも格段に伸び、尻尾の毛が前は短かったのに対し、今は結構な毛の長さになっている。しかも、彼女特有のアルビノだった白い毛も、進化したせいかところどころ銀に輝くようにも見える。おそらくオオカミ族から、人狼族には進化したのだろう。人狼と聞くと人狼ゲームを思い出してしまう異世界人は俺だけだろうか。
オグリの肌は前から肌色だったが、進化しても肌の色は変わらない。それよりも俺はオグリの姿に驚く。前よりも身長が伸びたことにより今まで着ていたボロ服が小さくなり、結構エロエロしい格好になっているのだ。
「はぁ、二人とも今から和服でも袴でもいいから着替えてこい」
俺はオグリやヤマトに変な感じで思われないようにして二人に服を変えて来いと言う。
「ヤマトのその姿はもう素直にみんなに言った方がいい。いつかは明かさなければいけないことだ」
進化して鬼人になって姿も変わったから外に出れないと言うのは少し変だなとも思っていた。
「わかりました。ではまず今この里をまとめている私の家族に言ってから服を調達したいと思います」
「よし、いってら!」
俺ははやくオグリのエロエロしい姿を目からとうざけたかったからそう言う。
そして二人はこの家から出た。それと同時に俺は気が抜けたせいか、体がふらついた。座っていたからそこまで変なふうにはふらつかなかったが。
「なぁ、大叡者、俺はどのくらいの分類に入る?」
俺は二人があんなに強くなっていたなら、もしかしたら俺も結構強くなってるかもと思い、聞く。
「解、マスターの現在の分類は魔王級です。因みにマスター自身に名付けする前は特S級でした」
「えっ?」
俺は大叡者に、前は特S級でした。と言われてそんなに俺強かったのか、と思ってしまった。そしてもう一つ思ったことはレグルスのことだ。あいつは俺よりもダントツに強かった。おそらく覚醒魔王級以上、魔神級以下と言ったくらいには強いだろう。今の俺、魔王級と覚醒魔王級のレベルは段違いなのだ。敷いて言うなら覚醒魔王級は、魔王級十人を一斉に相手しても覚醒魔王級が勝つくらいだ。
俺、イリア、マリは探している者が向かったであろう方向に歩き出て一日が経過した。その途中で一人臨時メンバーとなった奴もいる。それは遡ること七時間前だ。
ねぇねぇ、と前から聞こえる。マリの声だった。
「なんだ?」
俺はそう返事して少し急いでマリの近くに行く。その間マリは止まっていた。一番先頭がマリ、そして俺、一番後ろにイリアがいる。
「結構前で誰か倒れてるんやけど、人が」
マリの隣で立ち止まるとそう言われる。マリは常人よりも視力がいい。片目で視力二.〇あるのだ。おれは当然ながら見えない。しかし、
「イリア!、ちょっと急げ。前に人が倒れているらしい!」
と言って俺はその倒れている人に走って近寄る。
「大丈夫ですか?」
俺はその倒れている人にに聞く。
「し……、ししっ、しょく、食料をっ……」
「……」
俺は察した。そして声の高さからして女性だ。空腹で倒れていたらしい。
しかし俺はほっとくことができず、
「ほら、食料だ……」
と言って倒れいたら女性に俺の食料を渡す。
「かっ、感謝します」
そう言って女性は座って俺が渡した食料を食べ始める。その座り方が独特で面白いなと思いながらだ。
女性が食べている間にマリとイリアの二人は俺の近くにたどり着いて女性の食べ方を見ている。そう、座り方もだが食べ方も普通と違う。
五分ほどで俺が渡した食料を完食する。それと同時に女性は、
「この度は空腹で倒れていた私を助けていただき感謝します。ところで、あなたたちはどこに向かおうとしていたのですか?」
と急に言われる。しかし俺が言うのを躊躇っているとイリアが言ってしまった。
「私たちは今、盗賊を全滅させたと言う人物を探している途中、オーガの里に向かったとわかったからオーガの里に向かっている途中なの!」
(やりやがった……)
ついそう思ってしまう。
「あの、もしよかったら私も途中まで同行してよろしいでしょうか」
「なんで同行しようと思ったんだ?」
一体何故同行しようと思ったか問う。
「お恥ずかしいのですが、私もそちら方面に用がありまして……。ここまでくるのに私が用意した食料がそこをついてしまいまして……」
なるほど、と俺は思う。食料をオーガの里で補給するまで俺たちの食料を分けて欲しいと言うことだろう。
「わかった、いいよ」
「ありがとうございます。この恩は必ず。私は『ミク・ハヤサカ』よろしくお願いします」
「おう、俺は『トム』」
「私はイリア」
「マリだ」
俺、イリア、マリという順番で名乗る。
「少しの間、よろしくな」
「はい!」
ということがあって今は四人パーティーでオーガの里に向かっている。
途中いろいろな魔物と出くわしたが、ミクが簡単に倒してくれた。もしかしたらミクはS級冒険者以上かもしれない。A級ぐらいの魔物をチャチャっと倒していたからだ。しかしこんなにA級ぐらいのの魔物と出くわすのは珍しかったなとふりかえる。
オグリとヤマトが帰ってきた。
「ただいまもど……!」
と二人がハモりながら言う。おそらく、ただいま戻りました。と言おうとしたのだろう。
俺はその二人の姿を見て、やっぱり和服と言っても袴はええなぁ、と思ってしまう。二人の新しくした服は袴だったのだ。しかしジャパニーズ袴のような感じではないことは押さえてほしい。
二人は俺のことをガン見する。俺も服を変えたからだろう。とは言っても本当の服ではなく、俺の鱗を服みたいにしているだけだ。しかし俺は自身の服のファッションを説明するのはやめた。下手すぎるからだ。誰にも聞かれてないとは言え、恥ずかしく感じてしまう。しかしこれだけは言おう。今のファッションはリ○ル・テン○○トの服の見た目をパクらせてもらったものだ。
「ベガ様、そんな格好して暑くないのですか?」
服の説明はしないと決めてすぐになんか服について聞かれてしまった。
「別に暑くないよ!」
そう、俺は火属性無効というチートスキルを持っているから、熱に関することは問題ないのだ。逆にいうと寒さには耐性がない。水竜なのに寒いところは苦手ということだ。
「それならいいのですが、無理はござらないようにしてください」
ヤマトは無意味な心配をする。さっきも言った通り俺は熱に関しては問題ない。火属性無効があるからだ。
「……なぁ」
「はい」
「この付近に分身体、もしくはクローンを作れるスキルってないか?」
突然俺は脱線した話をヤマトに持ちかける。しかしヤマトは急な質問に対して少し間を空けて、
「すみません。そんなスキルを持った魔物とは会ったことがありません」
と返される。それもそうだろう。こんな辺鄙な場所に、いかにも上位種が持ってそうな分身スキルを持っている魔物なんていないだろう。
「だよねー。ありがとう」
一応感謝しておこう。
『情報開示その二』
ベガ=アクワスの現在のプロフィール等。
《耐性、無効》
・痛覚耐性・火属性無効・精神攻撃耐性
《通常スキル&エクストラスキル等》
・水操作・鱗操作・思考加速・名付者・エネルギー感知・覇気・速再生
・認識遮断・多重結界・広範囲結界・捕食者・大叡者・開発
《アルティメットスキル》
・森羅万象
《称号》
・水竜の称号・水竜の称号・魔王の称号
《加護》
・水竜の加護・水竜の加護・火竜の加護
《魔物災害分類》
・魔王級【二十五】
『情報開示その二 完』
あらすじ部分の注意の5番はどうか守ってくださいお願いします。




