第十章
俺は二人がいる家に入る。
すると二人は倒れていた。
俺はこの二人に何が起きたかを大叡者に聞く。
(おい大叡者、これは一体どうなっているんだ?)
「解、個体名ヤマト、およびオグリはマスターが名付者のスキルで名を付けたため進化が開始したのです」
とりあえず大叡者が教えてくれている間に仰向けにしておいた。
しかし進化が開始されるにしても遅すぎないかとも思ってしまう俺はおかしいのだろうか。
(進化が完了したらどうなる)
目が覚めて突然暴れたり記憶喪失だったりしたらたまったもんじゃない。外見もそうだ。
「解、大抵は正常に目覚めます」
俺は大叡者の言葉を聞いて少しホッとする。
オグリならどうにでもなるが、ヤマトはこの里の姫だ。何かあったらやばいと言うことは考えなくてもわかる。
「告、もしマスターが何かできることはないかな、と考えているならば、何もしないことを推奨します」
「……」
どうやら大叡者は俺が考えていたことを先に否定してきたらしい。そこからも叡智者とは違うなと考えてしまう。
「一応聞くけど、何で」
ヤマトとオグリはスリープモードになっていて、ついでに声が周りに聞こえないようにする結界を家に貼っている。だから大叡者と念話でなくとも話せるから普通に声を出して聞く。
「解、マスターも一時的にスリープモードに移行するからです。マスターのスリープモード時に二人の進化が完了します」
大叡者はちゃっかりと二人がいつ目覚めるか俺に言う。
「何で俺もスリープモードになるんだ」
俺はさっき大叡者に自身のスキルなどが進化したと言われたが、また進化するのだろうかと言うふうに想像を膨らませながら大叡者に聞く。
「解、人間が良くなる筋肉痛のようなものと考えてください」
あっさりと俺の膨らませた想像を打ち破るかのようにして瞬間的に言われてしまった。
「……、もしかして大叡者怒ってる?」
そう言いながら俺は家の端っこに腰をかける。
「解、気のせいで……」
俺は大叡者が答えている途中にまた質問を投げかける。前世でこんなことをしたら相手を怒らせてしまうが、相手は大叡者だからそんなことをお構いなくやったのだ。
「俺がスリープモードに移行するのは何時か、そして俺が目覚めるか時間帯も教えてくれ」
「はぁ、解、マスターの強制スリープモードに移行する時間帯は、今から三十分後とされます。スリープモードから目覚める時間帯は、このオーガ里の住民が起き出す時間だとされます」
そんな細かい情報までわかるのかよと言いたくなる気持ちを俺は堪えながら聞く。
「早めにスリープモードできない?」
俺は早めにスリープモードになれば早めに終わるのではと考えて大叡者
に言う。
何で寝る時間が決められているか不思議だが別に流してもいいだろうと思った。
「解、それは可能です。マスターは早めに終わらせたいとお考えなのでしょうから、下準備は完了しておりました。すぐに移行しますか?」
「……」
なんてことだと思ってしまう。俺が考えていたことを完璧に解読してとっくに対処していたというところがおかしいと感じる。
「とっ、とりあえずyes」
そう言うと段々と意識がなくなっていく感覚におちいる。俺は今までスリープモードになったことがないから少しビビっていたが、結構あっさりと移行するんだなと思う。
俺がスリープモードの時は大叡者が俺の体の操作件をにぎってオート護衛モードになっているらしい。とてもありがたいことだ。
「こう言う案件は普通A級冒険者が選ばれるんじゃないの〜?」
「何でやろなぁ」
俺はこの三人パーティーのリーダーなはずなのに後ろにいる。
「てゆうか何で二人は俺より前にいるんだよ」
俺たちはギルドマスターに言われてとある者を探していた。今は壊滅させられた盗賊のアジトにいる。
「知らない。クリントが歩くの遅いからじゃない」
普通の女は一番前を進むのではなく、男の後ろをついてくるのが普通ではないのだろうかと思ってしまう。
俺以外の二人のパーティー仲間は女性なのだ。
「はぁ……」
俺は歩きながらため息をこぼす。しかし二人は俺に見向きもしない。何かをじっと見ていたからだ。
「二人とも何見てるんだ」
そう言って二人に追いつき、見ているものを俺も覗き見る。
するとそこには盗賊のものかもしれない人差し指が落ちていたのだ。断面を持たずに見ると鉤爪で裂かれたような形であった。
「ねぇ、この依頼本当にやばいんじゃない?」
左のほうの彼女が俺たちに声を震わせながら言ってくる。
「あぁ、これはやばいかもな……」
俺はそう言った後、唾を飲み込んだ。
「この依頼は人物探しやけど、その人物が友好的なら本当にありがたいやけどなぁ」
俺と左にいる彼女も同じことを思っていただろう。
それからもう少しアジト(洞窟)を探索して入り口に戻る。別に転移すればいい話ではないかと思われるが、入り口で探知魔法を使ってお目当て人物がどこに行ったかをかすかな魔素残りの残滓をたどることによって探している者を見つけられると言うスキルだ。無論俺がこのスキルを使用した。
するととてつもない残滓が見えてきた。その魔素残滓は、残滓と呼ぶぐらい弱いのではなかったのだ。
俺は少しこの依頼を達成できないのではと考えてしまう。
しかし俺がそう思っていることをこの二人は知らない。二人には心が読めるスキル何てものはないからだ。
「どうしたのそんなに顔を顰めて。もしかしてその残滓ってヤバい?」
俺の顔を見て違和感を持った彼女が言う。そして今顔に出していたことを知った。
「いや、なんでもない。大丈夫だよ」
こいつらにヤバかったことを言うとまたうるさくなるから言わない。
俺は引き続き残滓を追う。ヤバい残滓だが、俺がその残滓の圧を我慢すればいいだけの話だ。
少し経つとその人物がどこに向かったかがわかった。ヤバい残滓の他にもたくさんの子供のような残滓を確認できた。そこから推測されるに街か、里に行ったのだろう。しかし向かったか先は人間の里の方面ではない。たしかその方面で一番近いのはオーガの里だ。そこから推測するに、その人物はオーガの里に行ったのだろうとわかった。
俺はこのことを二人に話そうと思って振り返る。しかし二人はそこにいなかった。なぜいないのかは予想がつくのだが、今日はいつもと違くて結構ヤバい依頼をくけているのにいなくなるのはやめてほしいものだ。
とりあえず二人には念話する。ふぅっ!、と息を吸って、
(イリア!、マリ!、今回の依頼は今までと違うんだからそういうふうにどっか行ったりするな!。戻ってこい!)
と言った。
少し俺はうんざりしている。こんな状況でも普通にしていられるあいつらにうんざりしているのだ。しかし時々便りになることもあるのだが。
(ちょっと待ってて、もしくはこっちに来て)
返事したと思ったら、こっち来て、と言われてしまう。何かがあったのだろうが、これ以上ふざけないでほしい。
そう思いながらも二人のところに行く。二人は洞窟の奥深くにまた行っていたのだ。
二人のもとに着くと二人は穴のようなところでしゃがんでいた。
「呼び出したりして何だよ。しょうもなかったら一回殴らせろよ」
俺はそう言う。すると二人は立ち上がり、
「こっち……」
とだけ言って穴に指を差す。恐る恐る俺はその指差した穴を除く。
「えっ⁉︎」
俺は思わず唖然としてしまった。
その穴の断面を見ると最近掘ったより、最近削り取った方が良いような綺麗な断面をしていたのだ。しかも削り取られたような穴の真下は牢屋のようにも見える。おそらくヤバい残滓の持ち主が真下に牢があるのを知ってくり抜き、捕まっていた者たちを助けたのだろう。二人も俺と同じように思っているだろう。
俺たちが探している人物は悪者ではないと……
あらすじ部分の注意の5番はどうか守ってくださいお願いします。




