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3-1-2 無意識の領域に敏感な人たち

 では、「アウトサイダー」はこの問題に対してどのように対処しているのだろうか。どのようにして無意識的な判断をそれと気づかずに採用するという落とし穴を回避しているのだろうか。言いかえれば、どのようにすれば自分の無意識的な判断を意識し、より全体的な視点で、現実的かつ有効な判断が出来るようになるのだろうか。

 私は、「アウトサイダー」は無意識の領域で起こっていることに対して非常に敏感な人たちである、と考えている。そしてそれが無意識的な判断にかなり対処出来ている理由である、と考えている。

 もう少し説明すると、「アウトサイダー」は薄々であったとしても無意識の領域で様々なことが起こっていることに気づいていて、日常的にそれを察知しようとする習慣を持っている。そして、無意識的な判断のかなりの部分を意識の領域に引き上げ、それらを検討対象にすることも出来ている。もっと言うと、無意識の領域で作動している特異な能力をある程度は感知していて、それを有効に活用してさえいる(3-1-3の(4)参照)、というのが私の大枠の考えである。

 無意識の領域で起こっていることを察知する方法の一つを例として説明してみたい。例えば、誰か他の人の言動を見て、「言っていることとやっていることが違うじゃないか」と思うことはないだろうか。その場合、その人がやっていることには無意識的な判断が影響している可能性がある。そして、その言動の差異から無意識的な判断の内容を推理することは、ある程度までは可能だろう。

 人のことならともかく、自分自身のことになると言動の差異を見逃す人は多いようだ。しかし、普段から心がけて自分自身を注意深く観察していれば、次第に自分の言動の差異に気づくようになるだろう。そして、その気づいた言動の差異をもとに無意識の領域で起こっていることを推理してみることも可能だろう。

 ただし、無意識の領域で起こっていることを推理するのは決して簡単なことではない。安易な推理ですぐに結論を出してしまうような人もいるだろうし、感情的に判断して決めつけてしまうような人もいるだろう。強固な固定観念や願望などに影響されて物事を判断する傾向のある人は非常に多いというのが私の観察である。様々な情報に気づき、可能性を洗い出し、比較検討し、冷静に判断するためには、相当な修練が必要だと考えている。

 上記の方法は一例にすぎない。「アウトサイダー」は自分自身の感情や意識、知識、論理の組立、実際の発言や行動など様々な情報に対して意識的であり、それをもとにして無意識の領域を含めて全体的な視点で自分というものを分析する習慣を持っていて、その結果、無意識的な判断についての高い察知能力を獲得している、と私は考えている。(もちろん、物事をより深く理解したり問題についての有効な対策を検討したりするためには、広い知識や様々な視点を取り入れる柔軟さなど、他にも様々な能力が必要である。しかし、それらは「アウトサイダー」ではなくても分かっているのが当たり前のことだから、ここでは取り上げない。)

 「案外、他人の方が自分のことをよく分かっている」というようなことを言う人がいるが、「アウトサイダー」であればそのようなケースはほとんどないはずである。「他人の方が自分のことをよく分かっている」と思うことが普通な人は「アウトサイダー」からはほど遠い存在である。「アウトサイダー」は無意識の領域にある判断などによって知らないうちに自分がコントロールされているというようなことを非常に嫌っている人である、と私は感じている。



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