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2 「アウトサイダー」との出会い
私が「アウトサイダー」に遭遇したのは、まだ十代半ばの学生の頃のことだった。
ヴァン・ヴォークトの『宇宙船ビーグル号の冒険』という小説を読んで、この人は分かっている人だと思った。キルケゴールの思想を要約した文章やカフカの小説を読んで、自分とよく似た思考形態(説明しにくいが、思考の組立手順のようなものだと思ってもらいたい)を持つ人たちだと思った。コリン・ウィルソンの『賢者の石』という小説を読んだときには、最初の三分の一くらいは「そういうことを考えたことがある」の連続だった。……というようなことがあった。(自分の中では、今でもこの四人が代表的な「アウトサイダー」である。)
そういう経験を経て、コリン・ウィルソンの『アウトサイダー』を読んだのは十九歳の時だった。そこで初めて、共通性のある、思考形態が独特な人々が存在していると明確に認識するようになった。(コリン・ウィルソンの『アウトサイダー』の内容については、ここではあまり言及しない。私の現在の考えとは様々な相違があるとだけ書いておく。)