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決意


「奴には“魔神”が憑いている」


「!?」


魔神とは…

かつて世界を滅ぼした存在。


最凶かつ最強で全てを飲み込み

魔物の王ともされている。


「おかしいとは思わなかったのか?彼女の身体が何故あれ程まで弱いか、十三年もの間何故あのような監獄塔に閉じ込められていたのか。」


「………………」


「お前はいつ爆発するやも判らない核爆弾を傍に置いている様なものだ。到底気が…」


「煩い」


「ユーリアのことを何も知らないくせに…………強さも…意志も……涙も…」


「知っていればその事実は覆るのか?」


「……」


「後ろを見てみろ」


…?


「!」


「うっぐっっっっうぅううううっっっっっっっっ」


酷く苦しそうだった。

先程までとは打って変わり……

いや、ずっと耐えていたのかも知れない。


「退魔草で練った縄だ。そこかしこにありふれている。これに屈する様では、答えは決まったようなものだ」


「…」


「僕を、ユーリアを、舐めないで下さい」


その場を急いで離れ、彼女の下へと駆け寄る僕。


「僕を見てください………」


ユーリアの様子は変わらず今にも”ナニカ“を吐き出しそうな具合であった。


騎士王は一歩一歩着実に僕らの方へと足を進めている。


「…………………」


僕は彼女(ユーリア)を信じている。


「ユーリア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「!」



長い夢を見ていたような気がする。


暗く狭い部屋で、


延々と独り泣く夢。


それを打ち破ってくれたのが彼。


ずっとそう、思っていた。



けれど違った。


あの幾年もの監禁は絵空事などではなく


紛れもない現実(リアル)


あの血を吐き続けた日々も、骨を容易く折り続けた日々も、


…決して。



ただ無駄じゃあ無かった。



必然であった。


其の鉄の部屋が如く固まった精神(メンタル)


今度は私があんたを、


救うんだ。




ドッグァアアアアアアァアアアアアンンンンンンン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



「!!!!!!!!!!」



全てを打ち払うかのようなその


強烈な衝撃波。


“魔神”復活か……??????



誰もがそう思ったーーーー。




が、違った。





砂埃から出でるその影は



紛れもない




彼女のものだった。




そして、



僕の方へと笑みを浮かべ



両手を広げた。



彼女の下へと再び駆け寄る。



抱きしめ、



彼女の温もりを味わった。



と言えども、悪夢は終らない。



“彼”は



僕たちのすぐ背後にいた。




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