002日目:夕方「焚き火の前で石器を作る」
いつの間にか夕方だ、今日やった事といえば草履を作って火起こし器を改良したぐらいだ。
「紐を……いやもっと暗くなっても出来るから石を改良しよう」
これまで使って来た割った石は手頃なサイズの石を割って、その割れた部分を切り口として使っていたが切るというより擦って押しつぶすというのが正しいくらいだ。石器と呼べるかどうかも怪しい。焚き火に木材を継ぎ足しながら持ちやすそうな一本に火をつけて松明がわりにする。
「眠くなるまで時間はあるし、総当たりのつもりでやるか」
河原まで松明を持って大きめの石がある近くまで行き片手で持てそうにないぐらいの石を抱えて焚き火のそばに戻る。松明は置きっぱなしにして往復する間はスマホのライトを使って松明周辺の様々な石を持ち帰る。黒っぽいのから白っぽい色合いの石や中間の灰色に緑色のような石、石に詳しいわけではないのでどれが石器に適してるかわからないがとりあえず集めて比べよう。いや本当は一種類だけ最適なのは知っているがそれは出来ればあって欲しくないと思っている。
「これぐらいあれば良いか、ソロソロ帰っ……こいつは?!」
松明を拾い上げて見えた地面、そこには来たときには気づかなかった黒くて色付きガラスのような石があった。
黒曜石、石器に最も適してるからとも言われる石だが限られた条件でしか手に入らない石である。その条件とは火山。噴火して流れ出たマグマが水で急速に冷やされて出来上がる石である。
つまりこの無人島には火山があり過去に噴火したという事だ。もしかしたら津波などで流れ着いたり島を訪れた人間が落としたりとあるかもしれないが、この河原まで島のどこからかマグマが流れ込んできた可能性の方が高いだろう。
「寝ぐらは変えなくちゃいかんな」
俺は島の中心部にある休火山だろう大きな山がある方向を見つめながら独り言を漏らす。火山が噴火するという最悪の事態が起こる前に俺はこの無人島を脱出できるだろうか?
第一章完。
短いですが休火山という潜在的問題が出た所で第一章完結とします。
サバイバル小説は執筆に大量の知識を必要とし、連載をしながらの情報収集は難しいことがわかりました。いずれサバイバルの知識が充分になったら続きを書きたいと思います。