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002日目:昼「紐を作って弓切り式火起こしを作る」

「取り敢えず昼飯を食べてから出発しよう」

 俺はまたヤシの実を岩に叩きつけて割って素早く食べる。焦ってもダメだがノンビリもしていられない、救助が来ると信じて生き抜く準備をしないとならない。


「色々探したいが今日はテーマを決めようと、時間も道具も足りないが、作業時間を大幅に短縮するか、道具やそれを作る資材を獲得するか、幅が大きい方をやろう」

 草履を作って歩きやすくなったお陰で資材獲得はある程度効率が良くなったから今度は作業時間を短縮しよう、これまでの行動を振り返ると焚き火を作るのにだいぶ時間をかけた印象が強い。ヤシの実探しでも時間は使うが、探索すればするほど食べきれない分は見つかっていくので食料事情はもうちょっと後にしよう、一応火を絶やさないように長い枝の端を焚き火に乗せて導火線のように時間をかけて燃えるようにしているがこれだと常に木材を消費してしまうのも痛い。


「弓切り式火起こしを出来るようにしよう」

 きりもみ式より効率が上がって火起こしがしやすくなるだろう、救助が来たら狼煙も上げやすくなるだろうし。そうなると藁や植物の蔓を弦にするのはあまり向かない。藁だとすぐ千切れるだろうし、蔓も力一杯込めて引っ張れば千切れるのでもっと強い繊維が欲しい。


「麻が良かったはず」

 俺は辺りを見回して俺の身長より高いぐらいの茎の丈夫に沢山の葉を茂らせた麻を見つけた。麻と一口に言っても色々あるが俺が大雑把に覚えてるのはよく言うリネンは亜麻(あま)大麻(たいま)をヘンピ、そして苧麻(ちょま)をラミーというらしい。大麻は麻薬の一種なのに繊維用に栽培していいのかと思ったが「大の字」があるだけあって成長が早くて収穫が多く、薬効成分がない品種なら国によっては許可さえあれば栽培できるらしい。良い事尽くめだがこの辺は大麻を薬として認知させたい団体の思惑が伺えるが今はどうでもいい、俺の目の前にあるのはラミーなのだから。正確にいうとラミーは細かくして薬品を混ぜた機械織りを指しているのでこれから手織りする紐は苧麻になるらしいが。


「暇な夜中に何本か作るか」

つかめる程度だけ根本から割った石で切り取って葉を落とし拠点に戻る。皮を薄く剥いてゴワゴワしてるので丸い石でしごいて軽く柔らかくし、幅5ミリ長さ2メートルぐらいの皮を手に入れる。


「同じ方向にならないようにこよりにすればいいんだっけか?」

スマホからヒモを作る動画を流して確認しながら2メートルの皮を紐にしていく。皮の中央で折って片方の皮を右手の親指と人差し指で指の第一関節分を目安に時計回りにねじっていく。右手で右側の皮を上に、拗じらなかった左側の皮を下にして反時計周りに1回ねじる。拗じらなかった方の皮が右手に来たので同じ用に時計回りにねじっては2本を反時計周りにねじっていくと1メートルの紐が出来上がった。端の方の処理がわからないから取り敢えず端と端を交差させて出来た輪に片方を2回通して結ぶ、コブ結びや固結びと呼ばれる結び方で解けないようにする。


「弓を作ろう、紐で時間がかかったから簡単なやつで行こう」

最初は竹を綺麗に割って炙りながら曲げていこうかと思ったが、矢を撃つわけじゃないからわざわざ真っ直ぐな枝を曲げるのではなく、枝分かれした「くの字」状の枝、分かれた先がさほど変わってない枝を切り落とし枝の端と端に軽く溝を掘って紐を結ぶ。少し余ったが切り落とさずに弓の端に巻きつける。


少し厚手の板を左手に収まるサイズに割った石で削り、真ん中に火切り棒に合わせたくぼみをつけてハンドピースと呼ばれる左手の押さえ板を作る。火切り棒に弓の弦を巻きつけ試しに弓を左右に動かすと楽とは言わないが昨日よりずっと早く火切り板から煙が上がりだす。


「おおーやった! これなら火が消えてもすぐに着けられるぞ」

喜んだのもつかの間、気がつくといつの間にか辺りが暗くなってきていた。慣れない紐作りで時間をかけすぎてしまったようだ。


「今日はもう探索は辞めて大人しくしよう」

俺はヤシの実を割りながら思ったほど進まないサバイバル生活に不安を感じながらも、その不安をヤシの実を一緒に飲み下していく。


ダイザン・リキの所持品


スマホ

ヤシの腰ミノ

良い感じの枝

長枝

ヤシの実0個

割った石

フキのフロシキ

だいぶ焦げた竹水筒モドキ

湯冷ましに使った竹水筒モドキ

竹ヘラ

適当な石斧

藁草履一足

燻製済みの竹の葉ベッド。

弓切り式火起こしセット

葉を落とした苧麻

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