4:サキュバスと触手【改稿版】
18歳未満の閲覧に不適切と判断される性描写が存在すると運営様からの指摘を受けたため、※で挟んだ部分の描写をダイジェスト的に描写しています。
改稿前の本編は後日ノクターンノベルズ様に投稿させていただきます。
二つのサイトを跨いで登校する形となり、読者の皆様にはご迷惑をおかけししてしまいますが、ご容赦ください。
ローパーの一つ目から視線をそらさないように、ゆっくり後ろに下がっていく。
背を向けると獲物だと思われて危ないから、は熊の対策だったっけ。
何も確かじゃない情報にすがるぐらい、不安で怖くてしょうがない。
無数の触手がゆらゆら揺れて、じっとこっちを見ている。
動きはゆっくり。これならむしろ、思い切り逃げた方が良いかも。そう思って背を向けようとしたその瞬間。
「早っ────!?」
矢のように飛び出した触手が腕に絡んで、身体が思い切り引っ張られていく。
触手の細さに見合わない力強さで、ちょっと踏ん張ることも出来ない。
またたく間に触手の束の中心に張り付けになって。煽る様に触手が目の前で揺れる。
※
口の中に入り込んだ触手、その先端から体液を吐き出された。
喉の奥に送り込まれたそれのせいか。熱くなる体、全身が敏感になって、風が吹くだけでくすぐったい。
全身を這い回りまさぐる触手。ナメクジが這うみたいで気持ち悪いのに、変な声が出そうになる。
触手は下半身へ降りていく。その動きはまるで何かを、何処かを探しているみたい。
ローパーは弱った生物の体に卵を産み付けて苗床にすると聞いたことがある。
もしかして、こいつがやろうとしてるのは……
※
「……いやだ!!」
叫んだ、その瞬間。右手の平、魔法因子を移植したそこが光を放つ。これって、確かレベルアップの合図だったっけ。
同時に触手の力が緩んでいく。あれだけ力強かった拘束だけど、今の力なら抜け出せるかもしれない。
ローパーは卵を産み付けようとしてた。触手はずっと自分に触れてた。
もしかして、レベルドレインが発動した!?
自分のレベルが上がった代わりに、ローパーのレベルが下がって力が弱まったのだろう。
ともかく今がチャンスなのは確か。でも飲み込んでしまった体液のせいで上手く力が入らない。
もう少しで抜け出せそうのに。ほんの少し踏ん張れるだけでいいのに。後、少しだけなのに。
約束を無視して、そのせいで襲われて、このまま死ぬのか。
そう思うとあんまりにも情けなくて、愚かで、馬鹿で。どうしようもなく涙が零れた。
「誰か、助け────」
突然、右腕を拘束していた触手が切れて落ちる。放り出された手が引かれて、触手の拘束から抜け出した。
濡れた頬に触れる、冷えた鉄の温度。自分を救い抱き止めてくれた、その胸は鉄の鎧に、頭は鉄の兜に覆われていて。
触手から救い出してくれたのは、鉄の騎士様だった。
「ここから、助けを呼ぶ声がしたのでね。」
あれ、なんだか聞き覚えがある声。と言うかどう考えても──
「──お待たせ。夏希ちゃんの騎士がやってきましたよってな!!」
騎士様の正体は、あいつだった。
自分を優しく置いて、剣を構え駆けだしたあいつはローパーの目を一閃、切り裂き。
抵抗できずに目を真っ二つにされたローパーはそのまま魔力となって散っていく。
「夏希ちゃん大丈夫?
どうよ、こんな大物まで仕留めちゃう先輩探索者の俺は!」
「夏希ちゃんって言うなぁ!!
でも……ごめん、ありがと。」
相変わらず台詞はクサくて、鎧は全然似合ってないけど。
手を引いてくれた時、その声が聞こえた時、心の底から安心した。ヒーローがやってきたんだって、想っちゃったぐらい。
「まー、アレだな。まずは。
べっとべっとで透けてるから、服ちゃんと着ね?」
そう言って視線を逸らす猛。
粘液浸しのローブは、べっとりと体に張り付いて裸よりも惨めで。
それを隠そうと自分の肩を抱く仕草が、女の子みたいで余計に恥ずかしくて、顔が熱い。
あの体液の影響はもう、随分落ち着いたはずなのに。