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2024/10/22:神の御心に仕えたい!

数年ぶりにハンバーグを作ろうかな

と思っているんですよ!

最近..近所のスーパーで..

生のハンバーグを出してくれないので

コスト的には材料買ってきて作るのと

大差なかったのに


さて...

タマネギさんを木端微塵斬りにするのが

殊更面倒なんですよね!

っていうか! どうしてパタリロの紅子が!

タマネギに労力掛けないといけないんですか!

おかしくないですか!


そんなわけで...

先日..「ハンバーグたべたいなあ」

って呟き続けながら..掃除していたんです

もちろん! いつもハンバーグ云々を..

唱えているわけじゃないですよ!

そんな食いしん坊キャラじゃないですから!

「今日の夕食は何食べようかな?」とか

「今日はすき焼きさんなので頑張れる」とか

「チキンカツさん用のチキンが残っていたかな」とか

その日により! 色々と考えながら!

手を動かしたり! ぼんやりしたりしているんです!


それはそれとして...

数週間に1回..リビングの荷物を全部移動させて

床を舐めるように拭く

っていうか! むしろ! 拭くように舐めるのですが!

床に這いつくばって..ごそごそしている時に

なんと天啓があったんです!

いうなれば神の声です! 


それはそうと...

「タマネギを木端微塵斬りにするなら

 フードプロセッサーを使いなさい」

そう! 紅子の家には! 

電動のフードプロセッサーがあるのです!

年に数回ですが..

大根おろしを作るのに使ってます!

いやいや..大根おろしって大変なんですよ

最低でも1食に半分くらい食べるじゃないですか

おろし金でガリガリやると..

20分以上は優に掛かりますが!

フードプロセッサーだと2分くらいなんですよ!


そんなこともあって...

神様が初めて! 紅子の生活で役に立った!

「時々いいこといってませんか?」

いってないですね! この前も! 

「この株は今が購入のチャンスです」

っていうから買ったのに! ずっと下がってるし!

「それは仕方ありません

 私は投資の専門家ではなく神なのですから」

新しいゲーム買おうとしたら..

「次のセールだともっと安くなりますよ」

っていうから我慢したら! ずっと高いままだし!

「それも仕方ありません

 セールは販売パブリッシャーが決めるんですから」


そんなこんなで...

神様って紅子のためになる事いわないじゃん!

「そうですか? 毎晩1時過ぎたら

 そろそろ眠った方がいいんじゃないですか

 っていってるんですけど?」

例え! 神であっても! 

そんな言葉に従うわけにはいかない!

っていうか...あれですよ

神託があって..フードプロセッサーを使えば!

ハンバーグなんて直ぐできる気がするんです!

10個くらい作って冷凍しておけば!

もうね! 無限に食べられるじゃないですか!

「10回食べたらなくなりますよね」

うるさいなー! 2個ずつ食べるから! 

5回でなくなるんですよ! そんなの常識です!


それはともかく...

最近..チキンカツを揚げるのが

うまくなってきたんですよ!

「衣つけて油に落とすだけですよね

 下手になる要因がどこかありますか?」

うるさいなー! 心構えとか!

そういうのが色々あんだよ!

そうなった今! 近所のスーパーは!

揚げるだけで簡単チキンカツと称して!

パン粉つけた鶏肉売りやがるんですよ!

「それ買って揚げればいいじゃないですか」

嫌です! それが売られていたスペースに!

以前は生ハンバーグが並んでいたんです!

つまり! 簡単チキンカツを買うのは!

ハンバーグへの裏切り行為ですよ!

「でも..ハンバーグは焼く時に裏返しませんか?」

返しますよ! しかも高確率で割れるんです!

「下手だから?」

ハンバーグに根性がないからです!

っていうか! スーパーのハンバーグの根性なんて!

スクワット50回すらできませんからね!

「まあハンバーグがスクワットしてたら

 とても嫌な気分になりますけど」

ならないよ! 頑張ってるなって思うじゃん!

ということで! 年末にハンバーグ作る予定なんですよ!

「今週末に作るのではなくて?」

ん..冷凍庫がいっぱいなんですよ

明日も何か買うと思いますし..

もちろん! 神の神託を受けて!

「授けてもないのに

 勝手に神託にしないで頂けますか?」

頂けません! そんなの常識ですよ!



ここからはゲーム「HOI4」と妄想を一緒くたに

煮込んだものです

 


1937年秋


雲南は独立記念集会という名目で、

一大イベントを行った


三ヵ月を掛けて郊外に作った広場は

拡声器を備えた舞台を設置し

一万人規模で集まれる巨大なものだ


また集会の様子は、雲南初のラジオ放送となった

ラジオは前年末、実用化にこぎつけた新技術

生産したラジオを、領内の公園や集会場に設置、

リアルタイムで届けたのだ


イベントは雲南の独立運動からの流れを

ドラマチックに演出した朗読劇から始まった


次に周辺各国の情勢を危機感を盛って伝え、

それを払しょくするように

発展しつつある雲南をアピールした


中でも時間を割いたのが軍事方面である


ヨーロッパから買い入れた小銃を手本に

作り上げた国産の新型銃は

威力・弾数・射程が従来のものより遥かに優れ

「総合的には三倍の威力がある」と風呂敷を広げた


また手投げ弾や据え置き式小型機関砲など

従来になかった兵器も公開した


そして、それらを扱うのが新生雲南軍である


今までの民兵さながらの古めかしい制服を刷新

整った真新しい西洋風の軍服を配布した


この新しい軍服に身を包んだ1万優の兵が

一糸乱れぬ行進で観衆を魅了した


「雲南は今までの惨めな地域ではない」

誰もがそう実感しただろう


そして、いよいよイベントの最後

満を持して紅子が登壇する


立派な将校服に身を包んだ指導者は

輝いて見えたという


演説はこれまでの感謝から始まり

将来の不安に繋げる

次に忌むべき未来を衝きつけ

団結を呼びかけた



「胸を張れ! 顔をあげろ!

 我らの旗を見よ!

 雲南の地に翻るあの旗を!


 あの旗は我らに自由を与えてくれた!

 あの旗は我らに希望を与えてくれた!

 あの旗は我らに未来を与えてくれた!


 今、敢えて諸君らにいおう!

 これからは我らの番だ!

 これからは我らが返す番だ!


 今、敢えて諸君らにいおう!

 これから我らは価値を示さねばならない!

 これから我らは尽くさねばならない!


 敢えて諸君らにいおう!

 今! 今こそ! 時は来た!


 この雲南の自由を! 希望を! 未来を!

 守るために! 

 一丸となる時が来たのだ!」


観衆は歓喜と喝采を送ったという


演説の最後に

紅子は「自由雲南帝国」の誕生を宣言した


この時の紅子の選択については是非がある


中華民国の圧力が強まる中、

国粋全体主義に体制を変更し

一丸となって大国に抗するのは

有効な生き残り戦略のひとつではある


また同様の政治形態を持つ

ドイツやイタリアのような大国の後ろ盾を

期待する事もできただろう


しかし、紅子がそこまで考えていたのか

については疑問がある


彼女の武器は直観であり、

それを疑わず貫く事で成功してきた人間だ


この時も彼女は

直観に従ったに過ぎないのではないか

と考える人間も多い


であれば、

この時点で彼女の直観は

時代を乗り越える羅針盤としての力を

既に失っていたのではないだろうか


1938年初頭

自由雲南帝国はドイツに招かれた

雲南帝国初の首脳会談である


意外な事にドイツは雲南を重要視していた


大陸への進出を目論んでいる大日本帝国と

それに抗する中華民国の近くにあり

遥か北方には大国家ソビエト連邦が見える

東西はイギリスとフランスの支配領域になる


いうなれば、ここに石を打っておけば

色々と牽制が利く場所なのだ


「紅子様、くれぐれも粗相のないように

 相手はビッグ7の一角ですからね

 一に我慢、二に辛抱ですよ」


真新しい軍服を着こみ、

大きな旅行鞄を引きずっている紅子に念を押した


「はーい、わかってまーす

 心配しなくて大丈夫だって

 アドちゃんとはずっと文通してるし

 ウチのことを親友っていってくれてんだから」


「いいですか? 短気は損気ですよ

 くれぐれも怒ったりしないように

 荒っぽい啖呵は禁止ですからね」

「わかってるってばー」


「ちゃんと技術供与についてと

 独立保障について話してくるんですよ

 解ってますか?」


「わかってますってば!

 それより..見て! 

 これが西洋の絵の具なんだって!

 アドちゃんは絵が得意らしいから!

 ちょっと教えてもらおうと思ってるの!

 いいのが描けたらおねーさんにあげる!」


そんな会話をしながら支度を終えた時だった


通信担当の兵士が血相を変えて飛び込んできた

将軍に駆け寄り、1枚の紙を差し出す

それを一瞥した彼女の頬が強張る


「おねーさん、なんの連絡?」

「紅子様、ドイツで内乱が発生しました」


さすがの紅子も色を失くした


「え? うそ?」

「反乱軍は瞬く間にベルリンを制圧したようです」

「アドちゃんは? アドちゃんはどうなったの?」

「反乱軍に捕らえられ、広場で処刑されたそうです」


世界は大きく動こうとしていた



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