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日常が終わった日  作者: だぁく
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異世界召喚編 5

「紹介しよう。右からカレン、キレン、クレン、ケレン、コレンだ。五つ子の魔族だ。カレンから巡に1~5を担当することになる。それぞれ得意分野は違うが、いずれも実力者だ。よろしく頼む。」


全く違いが見つからない。


「すいません。皆さんの見分け方はありますか?さすがに女性の名前を間違えるのは失礼だと思うので。」


達樹グッジョブ。


「髪型だ。アホ毛の本数が違っているだろう。よく見ろ。」


!?たしかに違っている!


「一本がキレンで二本がコレン、三本が・・・」


「ちょ、ちょっと!長女から順番じゃないのかよ!?」


「冗談だ。一本がカレンで一本づつ増えていく。」


「魔王ギャグとかまじかよ!?」


礼二が何か吠えている。俺もついついつっこみそうになってしまった。


「とりあえず、各指導役から住居の案内を受けてくれ。魔界領には一通り伝えてあるから発現するまでは好きに過ごすように。今日は解散でいいぞ。」


なんか魔王がかなりフランクになったような気がした。というかなっている。俺的にもそのほうがありがたい。そんなことを考えていると、俺と東瀬さんのもとへクレンさんがやってきた。


「今日からお二人の指導役となりました、クレンと申します。よろしくお願いします。」


「「よろしくお願いします。」」


互いにあいさつをする。


「では行きましょう。」


「もう行くんですか?」


「はい。ご安心ください。今日の夜は皆さまの歓迎パーティーが開かれますので、その時にまたご友人とはお話ください。」


「わかりました。お願いします。」


クレンが先に行く。俺と東瀬さんが後を追う。


魔王の城?を出るとそこは元の世界のような街並みだった。まぁそこまで文明は発達していないとも思えるが、家や街灯が並んでいる。かなり違うことといえば、かなり大きさが違った。一軒一軒がかなり大きく作られている。

数分も経つと理由が分かった。魔族というのはかなり大きい種類がいるのだった。三メートルを超えるような巨体もいれば、一メートルにも満たない種族もいるようだ。そのほとんどを許容できるようにするにはそりゃこういう造りしかないわな。


「お疲れ様です。こちらがお二人の住居となります。」


なんともまぁ普通の二階建て一軒家だった。俺からすれば3LDKのアパートで家族四人だったため、十分すぎるほどではあるが、魔王の城を見ていただけに普通という感想しか出てこなかった。案内され、中に入る。一階部分に部屋が一つと共用スペース、キッチン、バス、トイレとこれまた普通な感じである。二階部分に二部屋あるようで、俺と東瀬さんの部屋だと言われた。一階の部屋にクレンさんがいるということで、何かあればと呼んでくれとのことだ。


クレンに少し休んでいてくださいと言われ、俺と東瀬さんは一緒に二階へ向かう。階段を上がって右の部屋が東瀬さん。左が俺の部屋ということで自分の部屋に入る。

ベッドが一つとクローゼット(服入り)、電灯にテレビにクーラーまであった。意外と文明は発達していた。テレビはどんなものがやっているのか気になったが、さっそくベッドに飛び込む。


三分ほど経ってドアがノックされる。クレンさんだと思い、「どうぞ」と声をかけると部屋に入ってきたのは東瀬さんだった。


「失礼しまーす。やっぱり部屋はほとんど変わらないんだね。」


「ど、どうしたんですか?」


「ちょっと落ち着かなくて、大西君とはあんまり話をしたことがなかったから、今のうちに交流を深めようと思いまして。」


「なるほど・・・」


「では大西くん。まず最初に敬語をやめましょう。同級生だよ私たち。」


「いや、ちょっと緊張してまして。」


「私だって緊張してるよ!あんまり男の人と話をしないから、どうしたらいいかわからないのもあるし。」


そうだったのか。あんまり話をしないということは彼氏もいないんだな。実は中学時代から付き合っている彼氏がいます。なんて言われたら俺は帰ることを選択してしまいそうだ。


「あと、東瀬さんてやめよう?めぐみでいいから、私もシヅキくんって呼ぶし。」


「いきなり名前呼びはハードル高くないですかね・・・。」


「大丈夫だよ!シヅキくん!ほら呼べる!」


なんかフランクだな。男として見られていないからこんな感じなんだろうか。とも思ったが、手がかすかに震えているように見えた。無理させてしまっているのだろうか。俺がこんな感じだもんなぁ。

ダメだ。冷静に考えろ。今までだって付き合ってきた女とは普通にしゃべってたじゃねぇか。よし、頑張る。つらい思いをさせちゃだめだ。


「と・・・めぐみさん。悪かった。無理させちまってたな。」


めぐみがビックリしたような顔でこちらを見ている。


「男の俺がしっかりしないといけないのに、ダメだな。いきおいで言っちゃうが、俺、めぐみさんに勝手に片思いしてたんだよ。だからあんな感じで接しちゃってんだが、こんな状況でめぐみさんのほうが更に不安だろうし、俺、頑張るよ。」


「わ、私は、「いや、別に返事が聞きたいわけじゃない。気まずくなるのも嫌だから、告白はちゃんとさせてほしい。これから一緒に生活していくんだし、仲良くなってからにさせてもらうよ。」


「い、いやそうじゃなく「いきなり伝えて悪かった。ただ伝えずにはいられなかったんだ。部屋が隣だからって襲ったりはしないから安心してほしい。」


「・・・わかったから、とりあえずめぐみさんじゃなくてめぐみでいいよ。私もシヅキって呼ぶから。」


東瀬さん、もといめぐみが顔背けてしまった。怒らせてしまっただろうか。顔が赤くなっているからそうなんだろう。ただ呼び捨てでいいってことはめぐみも嫌ってわけじゃないだろう。少しずつ、少しずつだ。


と、不意にドアがノックされる。今度こそクレンさんだろう。俺は「どうぞ」と返事をした。


「失礼します。・・・お邪魔でしたでしょうか?」


「「いえ、大丈夫です!」」


めぐみと声が揃ってしまった。


「仲がよろしいようで、ではそろそろ時間ですので、城へ戻りましょう。」


俺とめぐみはクレンさんの後を付いて再び城へ戻るのだった。というか、城でよかったんだな。

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