異世界召喚編 3
「ざっけんな!俺はてめぇらのおもちゃじゃ「礼二、まて。」
礼二がキレそうになるのを達樹が止める。
「僕としても礼二のようにすぐに元の世界に帰らせろといいたいところだが、この世界で言われたように過ごし、優勝することに何かメリットはあるのかな。」
達樹の言う通りだ。今までの話を聞いていると俺も元の世界に帰らせろといいたい。しかし、ゲーム好きの俺からしたら異世界召喚され特殊能力に目覚めるというのはロマンに溢れている。
「我から説明させてもらおう。一つ目が能力はとてつもないものだと聞く。文献上ではあるが、三年間この世界にいればその能力が体に馴染み、元の世界でも同じように使えるらしい。そしてこの世界にはステータスとレベルが存在する。世界には魔物が存在し、その魔物を倒すことで、レベルが上がり、能力が上がる。その能力も元の世界で反映されるらしい。」
めちゃくちゃロマンがあった。すでにこの世界にいてもいいと思っている。
「時間はどうなるんだい?向こうの世界でも神隠しにあったと騒ぎになっているだろう。3年後に戻ったところでさらに騒ぎになるだけだろう。」
「それも問題はないらしい。どうやら異世界人はこの世界では歳をとらず、向こうの時間も停まったままという話だ。あくまで文献上だがな。」
達樹はその話を聞いて、考え込む。
「帰れる方法もある。もし話を聞いて帰りたいと思ったら帰っても構わない。」
「死んだらどうなるのかな。」
不意に達樹が尋ねる。たしかにその通りだ。死んだらどうなるのだろう。
「・・・死んだ場合は何もない。元の世界で死ぬのと同じことだ。」
「そう。一応他の人が決断する手前聞いておかないとね。僕はもちろん残るよ。」
「なんだ達樹、死んじまったら終わりなんだろ?なんで今の話聞いて残るっている選択になるんだよ!」
「死ななければいいのさ。これはチャンスだと思うよ。どんな能力なのかはわからないけど、いい能力なら向こうの世界に帰ってから楽できるじゃないか。」
「・・・まぁ達樹が残るなら俺も残るけどよ。」
礼二がぼそぼそなんか言っていた。
「後の者はどうだ?戻りたい者はいるか?」
「俺は残るぜ。」
「俺もだ。いい能力来てくれ!」
金ちゃんと知さんはゲーム大好きだからなー某RPGなんて全部クリアしてるし、かくいう俺もだが。
「さくもやるよ!魔王さんいい人そうだし!」
「あんた何の根拠があっていい人なんて言ってんのよ。魔王って大抵ラスボスでしょ。」
「らすぼす?つばさちゃん。らすぼすって何?」
「・・・なんでもないわよ。」
真下さんもゲームとかやるんだな。
「とりあえずつばさちゃんも残ろう!きっと楽しいよ!」
「あんたの直感て当たるのよね。わかったわ。あたしも残る。」
「うちも残るわ。銭の匂いがするしな。」
守銭奴猪俣が出た。
「めぐーどうする?怖いよー危険があるんでしょ?」
「みく、きっと大丈夫だよ。みんな強そうだし。魔王さんも強いんですよね?守ってくれるんですよね?」
「我の手の届く範囲では守ると誓おう。カレンやその他の指導役もいるから大丈夫だろう。」
「じゃあとりあえず残ります。」
「みく、頑張ろうね。」
「皆、感謝する。ではとりあえずこれからの予定を話そう。能力の発現まで、一か月が必要だ。それまではのんびり過ごしてくれて構わない。能力が発現してからは男女二人一組でトレーニングやチームワークを鍛えてもらう。また、時間もあるので、世界を渡り歩いてもらって構わない。居住地も用意するが、基本的には男女で生活してもらうことになる。部屋はそれぞれに与えるが、ほとんどが共用スペースだ。まぁ好きに他の家に泊まったりしてもらっても構わないのが、その二人で出場してもらうので、うまくやってほしい。」
「ちょ、まじかよ。」
「男の人と一緒に生活なんてできないよー。」
数人がざわつく。
「指導役も一緒に住むから安心しろ。襲われることはない。勝手にそうなる分には口も出さないがな。」
まぁ襲うことはないが、それならいいか。
「組み分けはどうなるんだい?」
「一番相性がいいものを選ぶマジックアイテムがある。それで決めることになる。」
「なぜ男同士じゃダメなんだい?」
「これは全体のルールとなっている。他国からの出場者も皆男女一組だ。」
「なら仕方ないね。」
「さっそく組み分けするか?」
「そうしよう。」
なぜか達樹がどんどん進めているが、誰も何も言わなかった。