異世界召喚編 1
俺が目を覚ますと海外の映画やドラマに出てくるような天蓋つきのお姫様ベッドの上だった。周りを見渡すと立派な部屋であり、何があったのか全く理解できなかった。
不意にドアがノックされる。俺が身構えているとドアが開かれ、そこにはめちゃくちゃかわいい悪魔?がいた。
「お目覚めになりましたか。勝手に入ってしまい、失礼しました。」
もはやなにがなんだか・・・
「気分はいかがでしょうか?私は皆さまの日々のお世話役となっております、カレンと申します。」
なにがなんだか・・・
「皆様がお目覚めになりましたら、状況について説明があります。落ち着きましたら、扉をでて、左側に進み、階段を下りて正面の大扉をお開け下さい。大広間となっておりますので、そこに席があります。あなたは6の席にお付きください。」
それ以上何も言わずに出て行った。俺は声もかけられずにその背を見送った。本当に何がどうなっているんだろうか。
5分ほど、周囲を見渡し、とくにすることもなく落ち着いたので言われた通り下に降りることにした。
扉を開けて部屋を出るとちょうど隣のドアが開いた。
「シヅキ!無事だったか!」
金ちゃんだった。
「金ちゃんも無事だったんだな。よかったよ。」
「久保田は見た?」
「見てないな。下にこれから降りるんだろ?一緒に降りようか。知さんもいるかもしれないし。」
「金ちゃんもカレンさんに案内されたの?」
「そうだな。」
俺と金ちゃんは二人で下に向かった。
大広間の扉を開けるとすでに四人座っていた。教室にいた奴らだった。知さんもそこにはいて、3の席に座っていた。1には遊んだりはしないが、ある程度の話はする間柄の奴が座っていた。
「シヅキ、君たちも来ていたんだね。」
「おう達樹、ずいぶん落ち着いてるな。」
「いや、いつも冷静に、が僕のモットーだから。」
大仁 達樹。キャラづくりなのか一人称が僕。いつも冷静な感じの奴。なぜかみんなから達樹と下の名前で呼ばれている。本人が苗字で呼ばれると達樹でいいよ。とクールぶって言っているからなのだけれど。
「あんたたちなんで割と冷静なのよ。」
2の席には真下 つばさ(ましも つばさ)。学級委員とかやる活発な女。おせっかい焼き。あまり関わりは無い。
「つばさちゃん。落ち着いて落ち着いてー。」
3の席には橋本 桜子。ムードメーカー。真下さんと仲がよく、一緒にいることが多い。桜子と呼んでいる奴が多い。俺は橋本さん。
「お前ら無事だったんだな。」
久保田 知一中学からの腐れ縁。親友といえるに近い。みんなは久保田、久保田くんと呼んでいるが、俺だけ知さんと呼んでいる。4の席に座っていた。
「久保田も無事でよかった。」
金子 光、もう一人の腐れ縁。みんなからは金子と呼ばれていることが多い。俺だけは金ちゃんと呼んでいる。5の席らしい。
「ほかの奴らはどうなってんだろうな。まだ寝てんのか。」
「たぶんそうだねー。」
「席も10あるし、たぶん教室にいた全員がいるんだと思うよ。」
知さんと橋本さんが普通に会話している。まぁ知さんのコミュ力なら余裕か。ていうか、普通に普段から話してたか。そんなことを思っていると一人入ってくる。
「あれ、こんにちは。」
東瀬 めぐみ(とうせ めぐみ)、俺の片思いの人、ほとんど関りはない。以上。
「めぐー無事だったのねー!」
「うん。桜子ちゃんも無事だったのね。よかった。」
「ありがとー!」
東瀬さんは7の席に座った。俺の隣だ。非常に居心地が悪い。嬉しいんだが、何をしゃべっていいのかわからない。
「大西くん。隣なんだね。あんまり話したことないけど、何があるかわからないからよろしくね。」
「・・・はい。」
まともな返事が出来なかった。お近づきになれるチャンスだというのに何をしているのか俺は。
それから数分が経ち、残った三人が同時に入ってくる。
「おーみんな無事だったんやね。」
8の席、猪俣 朱里。関西弁が特徴、この中では真下さん、橋本さんと仲がいい。
「達樹!」
9の席、夏野 礼二。サッカー部のエースで熱血。なぜか達樹と仲がいい。
「めぐー心配したよ。」
10の席、小川 三久、東瀬さんと仲が良く、いつも一緒にいる。
そしてここに来たと思われる全員が揃った。全員が自分の番号が書かれた席に着き、過ごしている。最初はここはなんだろうとか案内されたのはだれかとか全員で話していたが、10分も過ぎると会話が少なくなっていた。さらに20分が過ぎたあたりだろうか。俺を案内したカレンが部屋に入ってきた。
「皆様お待たせしました。これより魔王様からお話があります。」
魔王かよ。魔王ってやばい悪い奴だろ。と思っていると、俺らの座っている席の上座の位置に急にとてつもないオーラを纏った奴が表れた。明らかに魔王だ。ちなみにオーラは視認できるので、俺がオーラを感じる・・・といった中二病ではないので勘違いしないでほしい。だが、強者の雰囲気はなぜか感じられた。
「皆、待たせた。我が魔王だ。この世界へ召喚してしまい、申し訳なく思っている。」
全員がそのオーラからか、言葉を発せずにいた。
「とりあえず、説明をさせてもらおう。なぜ皆がこの世界に召喚されたかというとだな。それはこの世界、もとい国が危険だからなのだ。」