異世界召喚編 12
「とりあえず、みんなどうすんだ?」
礼二がぶっきらぼうに聞く。
「俺と朱里は、魔王に鍛えてもらうつもりだ。魔王は闇魔法が得意らしいんでな。光も相対しているらしいから、鍛えてもらったあとに世界を周るつもりだ。」
「俺と桜子は自羅から周るよ。なんとなくだがな。」
知さんと桜子さん、みっちゃんと朱里さんはすでに予定を決めていたようだった。
「シヅキとめぐみちゃんは?」
「俺達はぼんやりと周るってことしか話をしていなかったからなーまずは魔界周って、四天王全員に鍛えてもらうかも。」
「うん。悪くないね。」
「じゃあ自羅が一組、一が一組、魔界残りが二組ってとこか。つばさ、どうする?」
「別にどこでもいいわよ。礼二に任せる。」
「じゃあ一でいいか。」
「そうね。」
全員の予定が決まった。今後、二月に一度は魔王城で報告会をしようということになり、解散した。どんなところが待ち受けているのか楽しみだった。
俺達は各々、家に帰り、旅の準備をする。といっても、持ち物は最低限だ。能力さえあれば、生活には困らない。
「お二人とも、気を付けてください。ここはいつでも帰ってこられるようにしておきますので。」
「クレンさん。ありがとう!定期的に帰ってくるからよろしくね。」
「かしこまりました。」
俺達は出発する。まずは青龍さんのところに行くことにした。
俺の雷速で移動することも考えたが、めぐみがいろいろ見て周りたいという意見だったので、のんびりとした旅だ。一番近い町までは徒歩、二時間くらいということだった。
街道を歩く。周りは森に囲まれており、自然の中にいるといった感じがした。ただ森の中には魔物がいるのだが。
しばらく歩くと、森の中から、悲鳴が聞こえた気がした。
「なんか聞こえたか?」
「聞こえたね。行こう!」
俺達は悲鳴が聞こえたと思わる方向へ森の中を駆けた。
少し走ると、小さい女の子がうずくまって動けなくなっていたようだった。
「どうした!?大丈夫か!?」
俺が問うも女の子はうずくまっただけだ。
「大丈夫?私たちは召喚者よ。何があったの?」
「しょう・・・かん・・・しゃ?」
「そうだ。送り届けるから、安心してくれ。」
俺が言うも女の子は黙ったままだ。
「どうしようか。」
「わからん。」
俺らが困っていると、女の子が口を開く。
「だいじょうぶだよ。」
「何が大丈夫なんだ?」
「送らなくて大丈夫。」
「大丈夫じゃないだろ?ここら辺は危ない魔物が出るんだぞ。」
「・・・だって、ここがワタシノイエダカラ。」
不意に顔を上げたのは三日月に笑った口に赤い顔、角が生えた、まさに鬼だった。
瞬間、地面に穴が開き、下に落ちる。あぁ・・・いきなりこんな感じかよ。落ちていく途中で俺は気を失った。