【零ノ壱】
新作ーーー!
デス。
『妖怪、化物、と皆は言う』と母に問うてはみたが答えはかえって来なかった。
秋になり楓の葉が紅く色付き始めた頃である。
先日、私宛に届いた文を読み、文を返したばかりであった。
あまり興味は無いが、周りに迷惑がかかってしまうため仕方ないとも言えよう。
今、送った返事の文は明日の昼頃には相手の手にあるだろうが、相手は多くの者に同じ文を書いて送っているであろうから、開封し中を確認するのは明後日か明々後日だろうと予測することができる。
今回の文は、今この国にいる少し特殊な者たちに送られてくるものであった。文が送られてきた事からわかる通り私もその中の一人である。
文の内容に対してこちらは『はい』か『いいえ』で答えればいい。しかし、この国の世辞の精神は他国から見れば異常とも思えるほど丁寧であり、その世辞はある程度の者なら生まれてから五もたたないうちに学び始めることである。
その為、返事の文には勿論長ったらしい世辞の言葉や『……葉が色付き始め少々冷える頃になりましたが……』などといった最近のことを話題にして”入り”を作らなければならない。
非常に面倒くさいと書き手のみならず読み手も感じることは容易に想像できる。
家訓として「己の欲せざる所、人に施すこと勿れ」とあるが、とある宗教の教えでもあると覚えている。この家の宗教ではないが、この教えは素晴らしいと祖先が気に入りそのまま家訓として継がれていっているのである。
この教えも世辞と同様に小さい頃から言われ続けてられた。
そのかいあってか、手紙の世辞は紙一枚分でまとめる事が出来るようにまでなった。相手も私の文で、本題のみ知りたい場合は一枚目をとばし読むことだろう。
送られてきた文の題に対し今回は『はい』と答えを返した。
その返事を引き金に普通の家では大が付くほど迷惑だろう大きさの物が数日中に送られてくるという。
『いいえ』と断った場合には来ないとも記されていた。
私の考えでは、文が届いた者たちは皆『はい』と答えるだろう。
その物は私達には必要な物であり理想の物である。今までのかけてきた迷惑の原因をかいけつすることができるという。他人に迷惑をかけるのは誰しも嫌であろう。例外がいれば読みが外れる。
「さて、設置する場所を考えねばいけませんね」と立ち上がり、送られてくる物の大きさを頭に浮かべながら屋敷の中を彷徨い始めた。
私にミステリー系は書けるのでしょうか?
やや伏線が多めですが次話でほとんどわかります。
(というよりか予測できると思います)