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異世界旅行

「今帰ったのじゃ」

「ただいまー、必要な物を買ってきたわよ」

「た、ただいま、今帰ったぞ」

「おかえりなさい。あれ?社長だけなんでそんなに疲れてるんですか?」

葉子が俺を見て不思議そうにしている。

「すまん、察してくれ」

気力で返事をする俺。


「わかりました、あまり、突っ込まない方が良さそうですね」

俺の様子を見て察してくれたらしい。

「助かる」

俺は少し気力を取り戻した気がした。


「それで、異世界に行くのはいいけど、家族に連絡しなくて大丈夫?」

花凛が俺と葉子に聞いてくる

「私は、既に親に連絡済みです!『明日、花凛さんと旅行に行って来ます』て、言ってきたから」

「俺の方も大丈夫だ、妹に『ショッピングの荷物持ちに来い!』と言われたが『明日はまだやらないといけない仕事があるから無理だ!』と言ってきたから大丈夫だ。そう言うお前は大丈夫なのかよ?」

「私?私は1人暮らしだから大丈夫よ」

「そういえば、そうだったな、忘れてたわ」

そうだ、花凛は大学卒業と同時に1人暮らしを始めたんだった。

「じゃあ、出発は明日だな、ルージュは〜そうだな、花凛のとこで明日までいてもらうか、いいだろう花凛?」

そういうと嬉しそうに

「いいわよ!1日くらいなら、さあ!帰りましょうかルージュ!私の家に!」

「わ、わかったのじゃ」

テンションが高い花凛に、ルージュが若干引き気味に答えるとルージュの手を引いて帰って行った。


その様子に呆気にとられていると

「それでは、私も帰りますね。戸締まりよろしくお願いします」

そういうと葉子もそそくさと帰って行った

「さぁて、俺も帰るとするかな」

キチンと戸締まりをして俺も家に帰ることにした。


♢ ♢ ♢


…次の日の早朝


仕事場に着いた俺は

「ふあ〜あ、寝み〜、他の奴らはちゃんといるんだろうな、まあ車があるからいるか」

そう思い、店に入る

「あ、社長、おはようございます」

俺に気づき、あいさつする葉子、他の2人はというと

「おう、おはようさん、でルージュは〜、まだ寝てるのね」

花凛の方を見てそういう俺、ルージュは花凛の膝枕でソファーに横になって寝息を立てていた。

「ルージュには悪いが、そろそろ起きてもらわないとな、全員揃ったことだし、花凛、ルージュを起こしてくれ」

「わかったわ、ルージュ?みんな来たわよ、さあ、起きて?」

優しくゆり起こす花凛、だが

「う〜ん、まだ寝るのじゃ〜zzz」

起きないルージュ

「起きなさい!ルージュ!パン!」

起きないルージュに、顔の真上で力強く手を叩く花凛

「うひゃ⁉︎ドン!痛たた、なんじゃ!何が起きたのじゃ!」

驚き起きた拍子にソファーから転げ落ちたルージュが慌てて立ち上がる。

「おはよう、ルージュ、目覚めた?ならそこの洗面所で顔を洗って来なさい」

「わかったのじゃ、花凛の言うことには逆らわないのじゃ」

ルージュは花凛のいうことをすんなり聞き入れて顔を洗いに行った

「なんか、大人しくなってない?ルージュ、昨日なんかしたのか?花凛?」

「何もしてないわよ?ただ、悪いことしたから叱っただけよ?」

何事も無かったように答える花凛に、俺は何か思い出しそうになったが脳内の何かがストップをかけた。

「ん、まあ、詳しくは聞かない、ルージュ!それでお前の世界に行く方法どうやるんだ?」

顔を洗ったルージュに尋ねると

「む、それはな、ここの壁に儂が発明した扉を設置すると行けるようになるのじゃ!」

ない胸を張りながら答えるルージュだが

「扉?扉なんてどこにあるんだ?」

当然こんな疑問が浮かぶ、ルージュを見る限り手ぶらなのだ。どこに扉なんて持っているのか不思議に思っていると

「ん、扉か?扉ならほれここにあるぞ」

すると、何もない空間からいきなり2mくらいの扉が出てきた。

「ル、ルージュ、今のも魔法ですか?」

恐る恐る葉子が尋ねると

「うむ、今のは空間魔法を応用したものじゃ、名を空間収納と言う。使うには空間魔法の適正がいるのじゃ」

「となると空間収納が使える可能性は俺しかないのか、適正が無くても使えるようにならないのか?便利な魔法なのに」

「それは今考えている最中なのじゃ、さて話を戻すがこの扉をここの壁に設置してと」

葉子の質問に答えて、俺の提案も既に考えていたらしく返事が素っ気ない。


そして何事も無かったように扉を設置し始める、設置といっても扉を壁に付けると何の力か分からないが壁に扉がへばり付いた。

「よし!これで大丈夫なのじゃ!あとはこの扉を開ける時に魔力の有無に反応して扉が開く仕組みじゃ。扉の先は儂の別荘件研究所じゃから人目を気にする必要もないから安心せい」

ルージュが自慢げに言うが一つ疑問が俺にはあった。

「すまん、ルージュ一つ質問がある」

「なんじゃ?」

「扉の先をルージュの別荘に固定出来るのは分かるがルージュの別荘にある扉からこっちの世界に戻れる保証てあるのか?異世界は複数あるんじゃないのか?」

そう異世界はこの世界だけではない可能性があるのだ、そうした場合別の世界に扉を設置していれば帰りの行き先が2つにも3つにもなる可能性があるのだ。

そんな心配をよそにルージュは

「その心配はないぞ、扉はここに初めて設置するのじゃ、他の異世界にはまだ置いてないのじゃ、偶々初めて来た世界がここじゃっただけじゃ。じゃから心配せずに儂の世界に来るといいのじゃ」

帰れなくなる可能性が低くなったことで安心した俺

「も〜、心配性だな新は〜、ルージュが『大丈夫』て言えば大丈夫なのよ!さぁて準備も出来てるし早速初めての異世界旅行にし行くとしますか!」

「いや、旅行じゃないからな!魔法の修行だからな!まあ、大きなトラベルバッグ持ってたらそういう感じになるのかな?」

「まあ、良いじゃないですか社長。旅行でも修行でも細かいことは気にせずに何事も楽しくやらないと気が乗りませんよ」

騒ぐ花凛と俺、マイペースな葉子、そしてルージュ、この4人でルージュの世界に行く。若干の不安はあるがまあ大丈夫だろう。

「それでは!出発!」

俺の掛け声に

三者三様で返事して俺、花凛、葉子ルージュの順で扉をくぐった。


そこはヨーロッパの古い研究所を思わせる場所だった。

「本当に来たのか、異世界に」

「まあ近くの町とかに行けば実感が湧くでしょ」

「ここがルージュの研究所ですか!あらあら楽しみです!」

感傷に浸る俺、前向きな花凛、マイペースな葉子、そして

「ようこそなのじゃ!此処が儂の世界アポロニオンなのじゃ!」

そう高らかに宣言するルージュに、俺はある事を思い出した。

(店の鍵閉めてない⁉︎)

まあ、今更仕方ないか、誰も来ないだろうし大丈夫だろうとたかをくくっていた。






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