異世界少女
俺は車から少女を下ろし、お姫様抱っこの要領で持ち上げて店舗に入った。
中には社員である女性が二人いた。
一人は会社を立ち上げた時からいる
油井花凛28歳、性格は男勝りなとこがあるが可愛いモノに弱いといった女性らしい一面もある。料理も美味いあと幼馴染だ。
もう一人は佐藤葉子25歳
、性格は温厚だが常にマイペースな所がある、二年前にうちに来た新人だ。
そして二人は俺の姿を見ていつものように挨拶をしようとするが、俺の手に抱かれている少女に目がいくと…
「新社長!誰ですかその子は!何処ら攫ってきたんですか!葉子ちゃん!警察に電話して!電話!」
「ちょっと、落ち着いてくださいよ、花凛さん、まずは社長の言い分を聞きましょうよ」
「お前らな、俺がこの子を攫ってきたて決めつけたんじゃねーよ!この子は道端に倒れてたんだよ!」
「嘘よ!だってこんな時間にそんな可愛い女の子が道端に倒れてるなんてありえないでしょ!」
こいつ、この子の顔見て可愛いて目を輝かせやがって、逆の立場になったら何を言われても絶対に信じない自信があるわ、俺。
「待てよ、花凛、冷静になれ冷静に、取り敢えず、来客用のソファーに寝かせるからなんか、毛布みたいなの持って来てくれ、佐藤」
「分かりました、膝掛けくらいしかないですけど仕方ないですよね?」
「ああ、それでいい、よいしょと、あとはこれ掛けてとりあえずはオッケーだな」
「で、新社長、説明してもらってもいいですか?」
とじりじりと詰め寄る花凛。
「わかったから、とりあえず、その疑いの眼差しは止めろ。いいな。」
「分かりました。でも、納得のいく説明が出来なかったら、警察に電話しますからね。」
「わかった、ありのままを話す、だが、恐らくお前は信じないだろうな!花凛!昔から俺の話を信じた試しがない。」
と言ってやったら
「そんなことは今はどうだっていいでしょ!今回は信じるから早く話してよ。」
と少し落ちついた様子
「わかった、俺もムキになったからな、いいか?今から言うことはすべて真実だから、警察なんかに電話するなよ?」
と言って、ここに来るまでのことを二人に話した。
すると二人は
「どう思う葉子ちゃん?今の話本当かな?でも服装とか顔見ても、日本人じゃないのは確かよね。」
「そうですね〜、多分、社長は本当の事を喋っていると思います。」
そして、花凛が
「何か、身分が分かるものとか持ってなかったの?」と聞いて来た
俺は
「道端には何も落ちてなかったしな、服の中になら何かあるかもしれないが、男の俺が探る訳にもいかないだろうと思って服の中は探していない。」
すると葉子が
「じゃあ、ちょっと調べるので、社長、部屋から出てください。」と言ってきたので
「分かった、葉子、任せたぞ、花凛は起きた時のためになんか、お粥みたいなのを作ってくれ。」
そういうと
「了解、お米はあるし卵あるから、たまご粥でいいかな。」
といって流しに向かって行った。
俺はというと言われた通り部屋から出て外でタバコを吸って考えていた
「どうして、あんな小さな子があんな所に一人で倒れてたんだろうか、あの道は昼は通行量が多いから誰か倒れてたら直ぐに分かるだろうし、不思議だな~」
と考えていると部屋の中から葉子が俺を呼ぶ声が聞こえた
「何か分かったか?」
俺が部屋の中に入ると考え込んだ葉子が目に入った、その手には本が握られそれを読む葉子の姿だった
「どうした?何か分かったか?ん?なんだその本?」
すると葉子は
「あ、社長、この本はこの子が持ってました服の中にありました、何かわかるかもと思って読もうとしたら、見た事ない文字でなんか書かれてて読めないんですよ。」
そういうと、俺に本を渡してきた
「確かに見たことのない文字だな、なんて書いてあるのか全く分からん。」
そうして話していると粥を作り終えた花凛が来て俺の背後から本を見て
「うわ、何かの文字全然読めないんだけど、この本どうしたの?」
というので葉子が
「この子が持てたものなんですけど全く読めなくて、何か手がかりになればいいんですけど。」
そういうので俺は冗談のつもりで
「この本は魔導書だったりしてな、そしてこの子、魔法使いだったりして?」
冗談混じりに言っていると少女が目を覚ました様だ。
花凛が少女に
「大丈夫?自分の名前わかる?お母さんとお父さんは?」
何というテンプレ質問をと思いながら今のところ他に聞くことが無いのでしょうがないか、
すると少女は
「@#&/_##&/#@&&/_/」
三人とも、何と言っているが聞き取れない、日本語でも無いし英語も無いもしかしたらものすごく辺境の地のことかも知れないと思ったが次の瞬間、少女の身体から光が発せられ目の前が一瞬見えなくなったと思うと少女が俺が持っていた本に向かって、
「それは、私の魔導書だ、返してくれ。」
と言ってきた。
俺は驚き、心の中で
(今なんて言った!魔導書⁉︎この本が⁉︎それ以前にどうして言葉が理解できる⁈さっきまでは何と言っているのか分からなかったのに、ハ‼︎まさかさっきの光は魔法か?それで言葉が理解できたのか?)
俺は驚きの余り手から本が滑り落ちた、すると少女 は、
「うむ、話しが早い、だが魔導書は、大切に扱はねば、魔導師から怒られるぞ、私はその辺寛大だから大丈夫だが、他の魔導師だったら魔法が飛んで来るだろうがな。」本を拾いながら俺に向かって少女はそう口にした。
俺は驚き過ぎて逆に冷静になっていた、他の二人と言うと今、少女が口にした言葉を聞いて冗談だと思っている様だった、俺もそう思うがさっきの光の説明がつかない、俺は恐る恐る少女に質問してみた。
「君からさっき光が見えたと思ったら直ぐに消えて、そしたら話しが通じる様になったのはなぜかな?」
すると少女は
「それくらいは常識じゃろ?さっきのは翻訳魔法じゃ、それにしても此処は何処じゃ?」
そういうと俺たち三人は顔を見合わせて少女に背を向けて花凛真っ先に口を開く
「ちょっと、今の話聞いてた?魔法って言ったわよ!あの子」
葉子も
「本当でしょうか?でも今目の前で起きた現象に説明がつかないけど、魔法を使ったと言われれば辻褄は合う気がします。」
そして俺は少女に向かって声をかけた。
「君は何処からきたの?知ってる都市や国の名前か何か言える?」
すると少女
「まず、礼儀として名前くらい名乗らないのか?まあよい、私はルージュ・シャルロッテと言う名の大魔法使いである!」
勢いに押させれ俺たちも
「すみません、申し遅れました片桐新と言います。」
「油井花凛です。」
「佐藤葉子といいます。」
となぜか俺は敬語を使う感じになっていた、なぜなら少女の口調が魅了例の女性を思わせるかの様な口調で喋るからだ。
「うむそれでいい、さっきの問答の答えだが我が住んで街の名はユーコンレイクと言う国はソーマという名じゃ、それはそうと腹が減ったぞ何か食べものはないのか?」
そういうと花凛がさっき作っていたお粥を少女に渡して
「え〜と、悪いんだけど年齢とか聞いてもいいかしら?」
「ん、我か?歳は152歳じゃがそれが何か?はぐ、ん!これは今まで食べたことがない!
何じゃこれは美味い美味いぞ!」
その様子見て俺は考えることをやめた。