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8.テンプレ再び

「知らない天井だ。‥‥‥とりあえずこれは言っとかないとな。」


 王都に着いて宿をとった翌朝。標準的な宿よりは少し値のはる一人部屋のベッドで目覚め、まだ少し朦朧とした意識で起き上がる。


 ハクは昨日王都に入る前に帰還させている。


 窓からはまだ地平線から昇りきっていない陽の光が射し込んでおり、早朝の少し冷えた空気が心地よい。


(今日はやらないといけないことも多いし、準備やら何やらで一日終わりそうだな。)


 午前中には、門衛のもとへ預けた魔石を取りに行く約束がある。また、午後にはセレナ達に城へ招待されていた。


 さしあたっては門衛に見せる身分証を手に入れなければならない。身分証には各ギルドのギルドカードも含まれる。元から冒険者ギルドに登録する予定だったので一石二鳥だった。


「まずは飯食って冒険者ギルドに行くか。」




 部屋がある二階から降りて、一階の食堂へと向かう。まだ朝早い時間にもかかわらず、それなりの賑わいを見せている。電気等の技術が発達していない世界では、やはり太陽の動きに合わせた生活がされているのだろう。


「あら、おはよう。昨日は良く眠れたかい?」


 話しかけてきたのは、髪を後ろで一つにまとめた、恰幅の良い女性だった。この食堂兼宿、歩く帽子亭の女将だ。


「ええ。結構快適に過ごせそうですので、明日からもここで泊まらせてもらおうと思います。それで、朝食をいただけますか?」


「本当かい?そいつは良かった。朝食はすぐにもってくるから、適当な席にかけて待っていておくれ。朝夕の食事は昨日言った通り宿代に入ってるからいらないよ。ノエル、このお客さんに朝食一人前お出ししな。」


 そう言って別の客の対応に向かった女将に従い、空いているテーブルに座って待つこと少し。10歳くらいの少女が、料理を乗せたトレイを持ちながらやって来た。


「お客さん、今日のメニューはパンと、オーク肉のシチューと、サラダだよっ。お父さんの作るご飯はとっても美味しいんだよ!」


 楽しそうに父親が作る料理の話をする少女は、ライトブラウンの目や髪、顔立ち等、女将と似ているので、おそらく親子なのだろう。この宿は家族で切り盛りしているようだ。


「ありがとう。おお、本当にうまそうだ。」


「でしょでしょ?ちゃんと味わって食べてね。」


「そうするよ。あ、これ宿の一部屋一週間分のお代。」


「はい、銀貨7枚だね。毎度あり~」


 銀貨を受け取ったノエルは厨房へと戻っていった。早速シチューを食べてみると、現代日本の食事に慣れていても十分に美味しかった。とろとろに煮込まれているオークの肉は簡単に噛みきれる。パンは少し硬いが、シチューにつけて食べるので気にならない。特に手の加えられていないサラダも、野菜が新鮮でシャキシャキとした食感を楽しむことができた。


 あっという間に完食して、食堂を後にする。次に向かうのは冒険者ギルドだ。各ギルドや教会等の施設は、東西南北の門から続く大通に建てられている。昨日通った東門沿いの道をしばらく歩くと、剣が交差されたシンボルの看板がついた建物が目に写る。冒険者ギルドだ。


(ここかー、大きな街のギルドだけあって、デカいなー。)


 扉をくぐり中に入ると、ボードを見て依頼を探している者、5つ併設されたカウンターに並んでいる者、テーブルについて話をしている者、たくさんの人が集まっていた。


(とりあえず並ぶか。)


 入り口から一番近いカウンターに並ぶと、10分ほどで自分の番が回ってきた。


「ようこそ冒険者ギルドへ。本日はどのようなご用件ですか?」


 カウンターの奥に立っている受付嬢には、耳がついている。普通の耳ではない。猫耳だ。受付嬢は猫の獣人だった。おそらくは尻尾も生えているだろう。


 王都グランレイで生活しているのは、人間だけではない。もっとも多い人種は人間だが、他にも獣人やドワーフ、エルフといった種族も少ないながらも暮らしている。


「冒険者登録をしたいのですが。」


「冒険者登録ですね。では、こちらの用紙にご記入ください。名前以外の記入は自由となっております。それから、登録時に限りステータスをチェックする規則になっていますが、よろしいでしょうか?」


「ええ、構いませんよ。」


 差し出された用紙を受けとる。猫耳がぴこぴこと動いており、とても可愛らしい。


「それではステータスチェック用の魔導具をお持ちしますので、記入しながらお待ち下さい。」


 そう言って受付嬢は奥へと去っていった。


「名前、ライト、年、18、特技は‥‥‥戦闘でいっか。それにしても必須項目が名前だけって大丈夫なんだろうか。」


「そう思いますよね?でも冒険者は仕事がない人の受け皿でもあるので、あんまり難しくすると人が減っちゃうんですよ。」


 水晶のようなものを持ちながら猫耳が、いや受付嬢が戻ってきた。


「なるほど、説明や手続きはなるべく簡単にしようということですか。あ、書きましたよ。」


「はーい、ありがとうございます。ライトさんですね。それではこちらの水晶でステータスチェッ「おいおい、こんなひょろい奴が冒険者になるつもりかよ!」」


 突然、受付嬢の話をさえぎって、大柄な男がちょっかいをかけてきた。




お読みいただき、ありがとうございます


それにしても、スマホで書いてるのに何でPC投稿になってるんだろう

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