5.全部のせ大盛
初評価頂きました!!
嬉しくて吐きそうです♪ヽ(´▽`)/
さて今話ですが、一部説明が入ります。そういうの読むのメンドイって方はサラサラ~っと流していただければ。
「それで、具体的にはどうするつもりなのかしら?」
「ああ、召喚士ってジョブがあっただろ?あの系統の上位職に就いて、ティアの加護も合わせればできると思うぞ。」
異世界にはジョブシステムというものがある。ゲームやラノベによく出てくるものをイメージすれば大体合ってる。以上。
……はい。すいません。といっても本当に大体その通りで、魔物と武器で戦うなら戦士ジョブに就いたり、それが剣を使うなら剣士になったり、そんな感じ。
ジョブは無数にあって、魔法を使えるジョブや、いわゆる生産系ジョブもある。それぞれのジョブでは、それに関係するスキルが得られる。剣士なら剣術スキル、商人なら話術スキルとかそんな風に。子供以外は基本的に何かしらのジョブに就くわけだ。
もちろん誰もが何にでもなれる訳ではない。何のジョブに適性があって、何のジョブに無いのかは人それぞれだ。また、なにかキーとなる行動をしたり、条件を満たすことで発現するジョブもある。
それら適性を見たり、ジョブに就いたり転職したりは各ギルドや神殿等の施設で行うことができる。
「なるほど。たしかに過去に下級神を召喚することに成功した召喚士の記録があるわ。でも私の神格はそれより上よ?」
「そこはほれ、女神様の加護が俺にはあるし。自重とかもする気はあんまりないしな。ティアそのものじゃなくても依り代に宿ったりしてもいいわけだし。あ、今回の召喚でもらえる力に、召喚士の適性をつけることってできるよな?」
以前召喚された際にもらったチートには『ジョブ適性拡大』があった。効果は読んで字のごとく就けるジョブの適性が増えるというものだ。だけど前回の適性の中に召喚士はなかった。
「それくらいなら余裕よ。他に希望はある?」
「そうだな……」
それから暫くの間話を続けて、ティアからもらうチート、『女神ティアーズライトの加護』の内容を決めた。
(なんかキャラメイキングみたいな自由度だけど、これでいいんだろうか)
『女神ティアーズライトの加護(2度目)』
・ジョブ『召喚士』系統適性
・魔力増大
・魔力成長補正
・一部前回成長引き継ぎ
召喚士適性は言わずもがな、強大な存在の召喚には大量の魔力が必要なのでその補正をつけてもらった。最後の一つは、前回の加護は引き継げるそうなのだが、成長したステータスはそのままでは白紙に戻るそうなので、もらえる容量の一部を使って一部引き継がせてもらった。具体的には最後に就いていたジョブとその時のスキルだ。
後は異世界に転移する際に最低限の装備を持たせてもらえるように頼んだ。魔物を狩って魔石を売る予定なので、金はいらないと伝えた。
それから、異世界では俺のような黒髪黒目は少ない。1000年前の勇者と同じ名前では色々まずいことが起こるかもしれないということで、レイと同じく光からとって安直にライトと名乗ることにした。
「ずっとお話をしていたいけれど、そろそろ時間よ。」
ティアが暫しの別れを告げる。
「ああ。行ってくるよ。」
「ふふっ、行ってらっしゃい。ライト。」
今度のティアは寂しさなんて微塵も感じさせない、いつもの微笑みを浮かべていた。もちろん俺にも悲壮感はない。また会える。次は地上で。
気がつくとそこは森の中だった。ティアの言うとおり街道の近くの、魔物が出る場所に送ってくれたのだろう。
「さて、早速レベリングして街に向かうか。」
※ジョブ『英雄』が解放されました。
突然頭の中にアナウンスが流れた。
「はい?」
今日は驚いてばかりだと思いながら、ステータスの確認をする。
「ステータスオープン」
そう唱えると、目の前に自分にしか見えないウィンドウが現れる。
ステータスーーーーーーーーーーーーーーーーー
名前:ライト
性別:男
年齢:18
ジョブ:槍士lv.1、召喚士lv.1、治癒術師lv.1
経験済ジョブ:勇者、剣聖、聖騎士、大魔術師、大神官
HP:160/160
MP:1000/1000
力:4
速:3
技:5
魔:7
スキル:槍術lv.1、召喚魔法lv.1、治癒魔法lv.1
ユニークスキル:鑑定、ジョブチェンジ、隠蔽、人種言語理解
加護
『女神ティアーズライトの加護(重複)』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ステータスは頼んだとおりになっているようだ。加護も前回分の獲得経験値増大や各種成長補正等きちんと揃っている。
経験済ジョブとは、これまでに自分が就いたことのあるジョブのことだ。ステータス上の数値には現在のジョブしか反映されないが、実際には経験済ジョブの分もある程度の補正がかかっている。また、もう一度そのジョブに就いた場合、元のレベルやスキルは当時のまま表示されるので、レベルを上げ終わったらどんどん転職した方が強くなれると言われている。
(まあ、俺みたいに加護とかで経験値が増えたりしてないと、そうそうレベル上限にはならないけど)
槍士や魔術師等の40lvが上限のものは下位職や下級ジョブと言われ、殆どの人々がこのジョブについている。
また、一度に就けるジョブ数には個人差があり、基本的には1つのジョブに就いている者が多い。希に後天的に増える場合もあるが、ライトは加護により同時に3つのジョブに就くことができる。以前は最終的に5つのジョブに同時に就けるようになったので、今回も戦闘を重ねる内にその高みまで登れるだろう。
「と、それはいいとして、『ジョブチェンジ』」
ユニークスキル『ジョブチェンジ』を使い、英雄を『鑑定』する
英雄:勇者と呼ばれた傑物が偉業を成し遂げることで至る道。レベルアップによる能力上昇は全ての能力に大補正。レベル上限100。
(なんとまあ、俺の場合勇者レベルカンストとか魔王討伐がキーになったってことか)
持ち越した5つのジョブはすべてレベル上限に達していたので、英雄が発現した理由にそう当たりをつける。
「治癒術士を英雄に変更。」
無理なレベリングをするつもりはなかったので、保険につけておいた治癒術士を外し、英雄のジョブに就く。
ジョブ:槍士lv.1、召喚士lv.1、英雄lv.1
MP:220/220
HP:1200/1200
力:28
速:27
技:29
魔:29
「おお、lv.1でこれなら結構いいんじゃないか?」
数字は小さく見えても、レベルが上がるごとに上昇していくことを考えれば、驚異的な数値だった。例えば一般的なlv.1とは
ジョブ:戦士lv.1
HP:130/130
MP:50/50
力:3
速:1
技:1
魔:0
といったようなものである。また、レベルアップ時の能力上昇は、毎回誤差はあるものの、おおよそlv.1の時の数値分±1ほどの上昇率である。これも御多分にもれず個人差がある。
「ゲギャッ」
ステータスチェックが終わった頃、茂みの奥から1匹のゴブリンが姿を現した。小柄な体躯に暗い緑色の肌。衣類は身につけておらず、粗雑なこん棒を片手にわめきながらこちらに向かってくる様はまさに小鬼と呼ぶにふさわしかった。
素早く革鎧と鉄の槍に目を向けると、槍を自然体に構える。
(いきなり実戦とかちょっとビビるわ。けどまあ、大丈夫そうかな)
能天気なことを考えながらも、構えに隙はない。その場でとどまり、無策に襲いかかる醜悪な小鬼が間合いに入るのを待つ。
「ふっ」
鋭く息を吐く音とともに左足を軸に右足で踏み込み、ゴブリンに対して真っ直ぐに槍を突く。それだけでゴブリンは倒れた。同レベルの前衛職の3倍程の威力で放たれた突きは一撃でゴブリンの胴を突き破るのだった。
※ジョブレベルが上がりました。
※スキルレベルが上がりました。
※槍術スキルの武技『打突』を習得しました。
「おお、いきなりレベルが上がった!」
上昇したステータスのチェックを終えると、そのまま召喚魔法の確認に入るライト。
召喚魔法は召喚士系統ジョブに就くことで習得できる。魔力を消費して魔物を召喚する魔法で、呼べる魔物は召喚士のレベルや魔力量、召喚魔法スキルのレベルに依存する。
「契約を待ち魔素に座す魔物よ。我に応え出でよ。召喚魔法発動」
召喚魔法を発動するライト。詠唱は必要ないので、完全に気分で自作した詠唱を唱えていた。……時たま中学二年生の病気が再発するお年頃だ。
目の前にウィンドウが表示される。
召喚リスト
・スライム
・ゴブリン
・ウルフ
魔物の強さで言うF級の魔物2種とE級の魔物ウルフが表示される。森で魔物を自分で探すのは大変なので、嗅覚に優れているウルフを選択した。
目の前の地面に半径1mほどの魔方陣が出現し、白い毛並みの狼の魔物、ウルフが出現する。
「おお~、今流行りのモフモフだな。個人的には癒しよりもカッコよさを求めたいから、がっつり狼型で嬉しい限りだ。よろしくな。」
そう話しかけると、足下にすり寄ってくるウルフ。かっこかわいい。
「せっかくだし名前つけるか。ん~、ネーミングセンスにはあんまり自信ないけど……」
多数の個体が存在するモンスターは、名前をつけて契約することで帰還させた後も同じ個体を呼ぶことができる。戦闘でたまる経験値や成長もそのまま呼び出せるのだ。名無しの魔物を召喚するよりも多くの魔力を必要とするが、魔力が他の魔術師よりも格段に多いライトには問題無かった。
「そうだな、お前の名前はハクでどうかな?」
「ワオンッ」
毛並みから考えた安直な名前だったが、ウルフは気に入ったようだ。
※ウルフのハクと契約を結びました。次回以降ハクを召喚する際の必要魔力は150です。
ウルフの必要魔力は100なので、1.5倍になったことになる。
「それじゃハク、早速だがレベリングがしたいから、魔物を探してくれるか?」
ハクの嗅覚を頼りに、暫くの間魔物狩りを続けた。
ジョブ解説
槍士:槍を使った戦闘に若干の補正がかかる前衛職の基礎的なジョブ。ステータスは「技」の上昇幅が大きく、「力」、「速」と続く。類似のジョブに「力」が上がりやすい戦士や、「速」や「技」が上がりやすい剣士等がある。
召喚士:魔物を呼び出して戦わせる、やや特殊な後衛職。ステータスは「魔」とMPがよく伸びる。この系統単体では戦闘能力が皆無に近いため、召喚した魔物や、パーティーメンバーとの連携が重要。テイムスキルを用いるテイマー系統は魔法ではないため、リスクや難易度が低い。代わりに、召喚士は魔力さえあれば召喚帰還が自在なため、フットワークが軽いという違いがある。
ステータス解説
それぞれのステータスは完璧には独立しておらず、相互に影響する事象も少なくない。例)剣速は「速」、その際の腕力は「力」に特に基因する
また、能力が大きければかならず優れているわけではなく、見えない数値とも言える経験や勘、修練が勝敗を左右することもある。
「HP」:生命力とも言われる。0になると死ぬ。これを消費して発動する武技が多く存在する。
「MP」:魔力とも言われる。魔法や一部の武技を発動する際に消費される。0になると目眩や気絶等体調に異変をきたす。単に魔力と言う場合はMPを指す。
「力」:攻撃力や防御力といった、物理的な肉体の強靭さを示す。筋力や体力の総合的な数値。
「速」:動きの速さやスピード等、敏捷さを示す数値。
「技」:器用さや技量を示す数値。主に生産職で大きな上昇が見られるが、戦闘職でも単純な技巧はこの値に大きく依存するため、無視できない。
「魔」:魔法の威力、魔法に対する抵抗力等魔法の総合的な素養を示す。ゆえにこの値が同じでもその内容が大きく異なる場合もある。(一般的に魔術師系統は知力とも言われる魔法攻撃力、神官系統は精神力とも言われる治癒魔法の効果や魔法耐性に偏る)
魔法職の能力上昇率は「魔」や「MP」が極端に大きく、他が低いというジョブが多い。
お読みいただき、ありがとうございます
ライトは、後衛職のジョブだけではソロでのレベリングは危ないと考え、前衛職もとっています。
槍を選んだのは、剣聖があることからも分かるように、前回剣を使ったから今回は別の系統にするか~と割と適当な理由からです。気ままに楽しむのが目的ですので。
4/10 英雄のステータス計算を変更したため、主人公の能力値が変わりました。その他の文章や話の大筋は変わりません。