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31.キナ臭いのキナって何やの

「そんなことがあったのですね。C級の魔物を討伐できたということは、ライト様はC級にランクアップされるのですか?」


「いえ、勿論実力は大きな指針なのですが、ギルドへの貢献とか、様々な種類の依頼達成実績とか、そういうのもいるみたいで。まだ登録したばかりの俺はそこらへんが引っかかるみたいです」




 オークジェネラルとの戦いの翌日。ライトはセレナとルヴィアに会いに城へと足を運んでいた。

 これまでの茶会を経て、彼らの口調は徐々に軟らかいものになっている。


「冒険者稼業も色々あるのね」


「でも、セレナ様の護衛依頼を達成したら、C級に昇進する予定ですから」


 特に、ルヴィアは既に敬語を使わない位にはくだけている。セレナとの付き合いで得たお姉さん気質が効いたのだろうか。


 ここに居るのはライト達三人と、セレナが幼い頃から仕えている半ば家族のようなメイド達だ。目上のセレナが敬語を話す相手にルヴィアがこのような話し方をしても、咎める人間はいない。


「そうなのですか?ライト様にも利があるのでしら、私も護衛してもらう甲斐があります」


 そう言って、微笑むセレナ。


「まだそんなことで気を病んでいたんですか。セレナ様やルヴィア様とは仲良くさせていただいてるんですから。依頼を受けるのに嫌なことなんて一つもありませんよ」


「嬉しいことを言ってくれるのですね。まるで私の騎士様みたい」


 セレナが可笑しそうに笑う。その時、不意にアナウンスが頭の中を流れた。


 ※騎士叙勲の条件を満たしました。ジョブ騎士が発現します。


(え!?今ので!?)


「ははは、俺なんかがセレナ様の騎士なんて、勤まりませんよ」


 軽くジョークを受け流すように笑うライトだが、頬が若干ひきつっている。それに気づいた二人は不思議に思ったのだが、口に出しはしなかった。その代わりに、話はダンジョンの話に移っていく。


「そう言えば、ダンジョンの階層主を倒すと宝箱を落とすとか。何か良いものが出ましたか?」


「ええ。武器や防具、素材では無かったのですが、中々の一品がドロップしました。今度お見せしますね」


「ライト様は焦らすのがお上手ね。それで、セレナの成人を祝うパーティーのことなのだけど。前日に警備の打ち合わせがあるから、その時にライト様も――――」








 所変わって、あるスラムのボロ宿の一室。薄暗い部屋の中に、四人の男が集まっていた。

 最初に口を開いたのは、椅子に座る黒髪の男。マールカイテ侯爵の屋敷で話をしていた者だ。歳はまだ二十代後半ほどに見え、容姿も爽やかと言えるほど整っている。


「よく集まってくれたな。ここに居るのは今回のパーティーで動いてもらう面子だ」


「それは聞いてるが、団長。俺達は王女を拐うって予定しか知らないんだが?」


「僕は強い奴と闘えればそれで構わないよ」


 褐色の肌をした、短髪に耳のラインより下を刈り上げている男、細身で癖毛、右目に泣き黒子がある男が順に話す。フードを目深に被った最後の一人は沈黙を貫いている。


「ガルが言うとおり、今回のターゲットは王国の聖女と呼ばれる、高位の治癒能力を持つ第二王女。セレナ・ウォーカーだ。丁度、野心を持ってるマールカイテ侯爵が傭兵を多く雇っていてな。うちにも傭兵団の方に依頼が回ってきたのを利用する」


 彼らの表の顔は、名の知れた傭兵団だ。

 戦場で多大な戦果を上げている反面、それを隠れ蓑にした幹部だけの少数精鋭の盗賊団が本業だった。

 普段はそれぞれ散り散りに傭兵業をしたり、好きなことをして過ごしているが、団長からの召集の際には、こうして集まっていた。


「会場にはそれなりの警備が敷かれるだろうが、今の王都には聖天騎士がいない。強襲し、戦力が整う前に仕事を済ませて撤退するのが今回の流れだ」


「僕たちの役割は?」


 団長の説明に、細身の男が口を挟んだ。


「平たく言えば囮、時間稼ぎだな。他所の傭兵団連中も会場を襲う手筈だが、警備側にも個人で強い奴が何人かいるはずだ。お前達はそいつらを足止め、または第二王女以外の王族を狙って守りを分散させろ。王女は俺が直接当たる。ヴェイパー、お前は魔物を使って場を混乱させてくれ」


 ヴェイパーと呼ばれたフードの男は、黙って頷く。


「いいねえ。警備は殺していいんだろ?」


「構わん」


 細身の男は団長の言葉を聞くと、目を細め、裂けんばかりに口を三日月の形に歪める。

 それを見た褐色の男は、イラついたようにこめかみに青筋を浮かべた。


「サイコ野郎が。少しは殺気を抑えやがれ」


「ふふふ、僕は君と殺りあっても構わないんだけど」


「黙らねえなら、今ここで捻り潰すぞ」


 褐色の男がだらんと下げた腕の指を鳴らし、細身の男は殺気を一方行に鋭く集中させる。

 一触即発の空気を破ったのは、やはり団長と呼ばれた男だった。


「その辺にしとけ。どうしてもやるなら、仕事が終わった後にしろよ。次の集合は当日だ。以上」


「分かってるよ。冗談にきまってるじゃないか」


「ったく、絶対冗談じゃなかっただろコイツ。それじゃあな、団長」


 先程までの緊迫感が嘘のように空気が弛緩し、三人の男は音もなく姿を消した。



 黒髪の団長は一人、不敵に嗤う。











 ステータスーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:ライト


 ジョブ:剣豪lv.21、拳闘士lv.43、魔法剣士lv.37


 HP:3875/3875

 MP:3767/3767


 力:493

 速:514

 技:535

 魔:344


 スキル:剣術lv.6、体術lv.5、格闘術lv.4、基本属性魔法lv.5、魔法剣


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



お読みいただき、ありがとうございます!


ここから一応1章の佳境を迎えていく予定ですが、もっと練って続きを書きたいので投稿ペースを少しゆっくりにするかもしれません。

書くペースによるんですが、日曜日の週一投稿より遅くはなりませんので。


迷惑をおかけしますが、今後も応援よろしくお願いします

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