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3.勇者の伝説と突然のハローワールド

サブタイがネタバレ。話に区切りをつけるのって難しいですね(;´д`)

もうちょっと先まで書きたかったんですが。


序盤は2000字を目安にパッパと進めたい作者です(どうでもいい)

 伊藤光は向き合わない。彼は日本での暮らしに飽きていた。


 中学3年の時だった。ある日突然見知らぬ白い場所で目覚めた彼は、そこで女神に出会った。女神は彼が異世界に呼ばれていることを告げる。


 曰く、その世界では魔王と呼ばれる魔物が暴れまわっていると。魔王の力は圧倒的で、率いる魔物の勢力も人間に獣人やエルフ、ドワーフと言った人族を大きく上回っていた。


 いずれは魔王が世界を手に入れると誰もが思った。その先にあるのは支配か、死滅か。その未曾有の危機に呼ばれたのが当時15歳の光だった。


 彼は懸命に戦った。異世界の人々の期待を背負い、訓練を積み、レベルを上げ、戦闘を重ねた。


 異世界特有の職業(ジョブ)システムにより力をつけた彼は、遂に伝説のジョブ、勇者へと至る。


 また、彼は一人ではなかった。共に魔王や魔物に立ち向かったパーティーメンバーの剣聖、賢者、聖女や、鍛冶師等のサポート、勿論各国には他にも志を同じくして戦う人々。彼らと力を合わせ、民の祈りを受けながら、光は最後には魔王の討伐に成功した。


 異世界の悲願を達成した光は、無事元居た世界へと帰るのだった。人間の国ウォーク王国の首都の名を、当時光が名乗っていたレイの文字をとってグランレイとしたのは、異世界の人々の感謝の表れであり、彼ら魔王を打ち倒したメンバーは、後世永く語り継がれる。


 光が目覚めると、そこは慣れ親しんだはずの自分の部屋のベッドの上だった。異世界で過ごした数年の間に成長した体は元に戻り、これまでのことが夢であるかのように感じられた。







(帰ってきた。ああ……帰ってきたんだ。)


 気づけば光は涙を流していた。ずっと帰ることを目標に日々を生きていた。もちろん、辛いだけの毎日ではなかった。異世界ではたくさんの友人ができた。上辺だけの関係ではない、真に戦友と呼べる者達。恋だって経験した。想いを果たすことはできなかったが……


 ともかく、たくさんの思い出や感動がありつつも、生まれ育った自分の居場所に帰ってきたことは、やはりただただ幸福なことに思えた。














 はずだった。


 日本の生活に戻って暫く経った光は、徐々に『退屈』を感じる様になっていく。


 久し振りに家族や友人と会えた時は再び泣いた。高校に入ってからは本当に好きだと思える恋人もできた。しかし、異世界で激動を駆け抜けた後の日常が酷く単調に思えて仕方がなくなっていく。


 常に無気力で居る訳ではない。友人とは楽しく遊ぶし、学校にも毎日きちんと通う。家族の仲も良好と言えた。


 それでも何かが決定的に違っていた。高校も3年に上がる頃には光は情熱を失い、やる気や向上心といったものが持てなくなっていた。それと同時に上辺だけの関係になっていった友人とは徐々に疎遠に、また、その姿勢を見かねた恋人もいつしか離れていった。


 同じ様な繰り返しの毎日の、そんなある日。









(今日も1日が終わるな)


 最後の授業はすでに終わり、担任の教師がHRで話している中、今日も光はどこを見るでもなく、窓の外を眺めていた。


 朝起きて、親と挨拶を交わし、支度をして学校に行く。授業では特に気を張ることも無く、当てられれば教科書を見ながら無難に答える。


(そういえば、最後にクラスメートと話したのはいつだったか。アイツは元気にしてるかな……案外もう良い奴見つけてたりしてな。)


「おい、伊藤、聞いてるのか?明日の日直お前だからな~」


 ぼーっとしている間に担任から話しかけられていたようだ。


「あ、はい。分かりました。」


 適当な返事を返しながら、またぼーっと思考の海に潜る。


(家に帰ってから何すっかな。受験勉強なんてする気になれんし、最近観てる小説は昨日更新あったばっかりだし、どうしよう。)


 そうこうしているうちにHRも終わる。放課後残る理由も無いので、未だ楽しそうにしゃべっているクラスメートを尻目に鞄を手に取り、そのまま立ち上がる。


(大学どうすっかなー。今のままでも一応行けるとこはあるけど。そうだ、今日発売のゲームがあった。買って帰ろう。)


 教室のドアに手をかけ、開いた先に広がるのは、廊下ではなく一面真っ白の空間だった。


「…………は?」


 理解が追いつかない光はその場で固まる。持っていた鞄は床に落ちていた。


(どこだここは。いや、そうじゃない、もしかして!)


「久し振り。やっと会えた、レイ。」


 いつか聴いた、心に刻まれたその声のする方へ、反射的に向いてしまう光。


「……っっ!ティア!」


 そこに立っていたのは、目を見張る様な美女と言うにふさわしい女性だった。


 腰まで伸びた艶やかな金髪にスッと通った目鼻立ち。少したれ目の碧眼と微笑みを浮かべた桜色の唇は彼女の柔和な性格と、どこか安心を感じさせ、上目遣いは保護欲を掻き立てる。その肢体は美しい曲線を描いている。男どころかどんな女でも見惚れるだろう。


 神が創ったとしか思えないその女性は、まさしく、女神ティアーズライトだった。











お読みいただきありがとうございます。


こいつ大丈夫なんだろうか?自分で書いといてヤバい奴にしか見えない……

ここから先はもっと普通な人になる予定です

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