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13.ぶっちゃけ魔法が使いたいでござるぅぅう(セル声)

「それで、これからの予定は決まっているのか?」


 一通り話を終えたライト達は、セレナとルヴィアが落ち着いた後、今後のことに話を移していた。


「厳密には決めていませんが、とりあえずは魔物を倒してレベルアップですね。当座は中級ジョブに就いて、C級冒険者になるのが目標といえば目標です」


「実に冒険者らしいな」


「今でもお強いのに、まだ先を目指されるのですね」


「オーガを圧倒したことからもC級相当なのは明白ですが、そういえばライト様はまだ中級ジョブには就いていないのですね。たしかダブルジョブでしたか」


 アルベルト、セレナ、ルヴィアの反応は三者三様だった。


「私など、まだまだ本物の強者には及びませんからね。鍛練あるのみです。殿下の護衛を務める日までには腕を上げておきたいのですが、近くに丁度良い狩場やダンジョンなんてありませんかね」


 冗談半分で言ったライトだが、意外にも良い返事が返ってきた。



「あるぞ?ダンジョン。王都の近くに」


「へ?あるんですか?」


 アルベルトがダンジョンの存在を告げる。ダンジョンとは、洞窟や塔に見える、自然と魔物が湧くスポットのことだ。通常、魔物は生殖や分裂等、何らかの手段で発生するのだが、ダンジョン内での魔物は、何もない所に突如として現れる。また、討伐した後もドロップ品と呼ばれる素材を残して消えてしまう。ダンジョンの魔物は基本的に外には出てこない為、腕を研きたい者たちの修練場や、資源として扱われている。


「ああ。他のダンジョンよろしく、地下に進めば進むほど出てくる魔物も強くなるからな。お前のレベルアップに丁度よかろう」


「早速明日から行ってみます」


 上機嫌で応えるライトだった。


「ライト様、ダンジョンも良いのですが、何日かに一度程度でも構わないので、お城に来てセレナ様や私とお話しませんか?ほら、護衛する方もされる方も、お互いをよく知っている方がいいと思うのです」


「おお、いいじゃないか。俺からも門衛達には伝えておく。いつでも来ると良い」


 そう提案するのはルヴィアだ。アルベルトも乗り気のようである。


「そう言っていただけるのは嬉しいのですが、殿下は嫌ではありませんか?」


「嫌だなんてとんでもない!私もライト様とは仲良くしたいと思っていますよ」


 どうやら何の問題もないようなので、快く了承した。


「ライト、ルヴィアの父は宰相なんだが、俺の親友でな。セレナはもちろん、ルヴィアのことも俺は娘のように思っている。当日はセレナのお付きとして、ルヴィアも近くにいる予定だ。二人のこと、よろしく頼む」


 そう言って、アルベルトはこちらに深く頭を下げる。国の王がしていいことではないが、父親としての真摯な姿勢だった。


「はい。何かあってもお二方を必ずお守りします。」


「ありがとう、感謝する。」


 そんなやりとりをして、次に来る日を決めたライトは王城を去るのだった。











 日が大分傾いた頃、ライトは宿に帰りついていた。夕食を食べ終え、桶に入った湯で体を洗ったライトは、明日からの予定を考えていた。


「明日の朝からは装備を買いに鍛治屋とかに行くとして、ダンジョンに行くのは午後からかなー。防具はサイズの問題とかあるから、受け取れるのはまだ先になるだろうけど。にしてもえらい大金が手に入ったから、予定より良い装備が揃えられそうだな。奴隷も買えるだろうけど‥‥‥護衛依頼が終わるまでは自分のレベリングに専念するか」


「それから、ジョブも変更しないとな。召喚獣なんて城に入れられないだろうし、屋内で槍は使いづらい。やっぱ剣士辺りかね」


 そう、ライトにはジョブの問題もあった。今ライトが就いているジョブは、屋内での護衛には全くと言っていいほど合わなかったのだ。


「周りへの被害を考えると魔法職も向かないか?いやでも、敵が使ってくる場合を考えると一つくらいはセットしておいた方がいいか。でも前衛職で固めた方が良さそうなんだよなー」


 あーでもないこーでもないと考えながら、構成を決めていくライト。


「英雄はオーガ倒しても二つしかレベル上がらなかったし、いずれは強いんだろうけど、今は外すか。前は五つ選べたのになー、三つってなると考えるのが大変だ」


 欲深い悩みである。こうしてライトは、これからレベリングするジョブ系統を大まかに決めた。


 剣士系統、前衛職、魔法剣士の三つである。魔法剣士は本来は中級ジョブ的な位置なのだが、前回の転移の時も最初から選ぶことができた。恐らく、最初からライトには魔法剣士の適正があったのだろう。

 有事の際には、前二つのうちどちらかを剣聖か聖騎士に変更する予定だ。勇者のジョブは、英雄と同じく全能力満遍なく伸びるため、接近戦に限れば上記のジョブに及ばない。


「こんな感じか」


 おもむろに、ユニークスキル「ジョブチェンジ」でジョブを変更する。


 ステータスーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:ライト


 ジョブ:剣聖lv.80、剣士lv.1、魔法剣士lv.1


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ※セットしているジョブ「剣聖」のジョブレベル上限を確認しました。スキル「剣装備時補正:大」他複数のスキルが併合し、ユニークスキル「剣士系統職強化」に変化しました。


「まじかー」


 一瞬白目を剥くライト。恐らく、就いているジョブが上限レベルに達するといくつかのスキルがユニークスキルに変化するのだろう、と当たりをつける。全てのジョブに該当するかは分からないが。ユニークスキルはジョブを変えてもそのまま使えるので嬉しいやら、今まで気づかなかったことが悔しいやらである。



「まあ、前回引き継ぎのジョブに就けるようになったのは、オーガ戦の後だったし。昨日も今日も変わらんだろ」


 気を取り直し、他に上限レベルまで達している聖騎士、大魔術師、大神官、勇者のジョブをセットしていく。まだ同時には一つしかセットできないため、作業を四回繰り返した。結果、


 騎士系統職強化、魔術師系統職強化、治癒術士系統職強化、限界突破、インベントリの、五つのユニークスキルを獲得した。作業を終えたライトは再度ジョブを変更し、悟りを開いたような表情で眠りについた。












 ステータスーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 名前:ライト


 ジョブ:剣士lv.1、闘士lv.1、魔法剣士lv.1


 HP:190/190

 MP:1060/1060


 力:12

 速:12

 技:12

 魔:10


 スキル:剣術lv.1、体術lv.1、基本属性魔法lv.1、魔法剣


 ユニークスキル:鑑定、ジョブチェンジ、隠蔽、人種言語理解、剣士系統職強化、騎士系統職強化、魔術師系統職強化、治癒術士系統職強化、限界突破、インベントリ


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 スキル解説


 各種系統職強化:そのスキルに当てはまる系統職に就いている時に様々な恩恵を受ける。例えば同系統で既に獲得している補助スキルを使うことができる。(例:大魔術師時に修得した「無詠唱」を魔術師のジョブでも使用可能)

 しかし、剣聖の剣術レベル、大魔術師の各魔法レベル、さらにそれらの上位スキル等、補助にとどまらないスキルはその限りではない。

 また、魔法や武技の発動によるHPやMPの消費も少なくなる。


 ジョブ解説


 闘士:特定の武器に能力補正は掛からないものの、逆にほとんどの武器をマイナス補正なしで使用できるため、重宝される基本的な前衛職下級ジョブ。同じ特徴は戦士系統にも見られるが、戦士はステータスが「力」の上昇に偏っているのに対し、闘士は「魔」以外が満遍なく伸びるという違いがある。

 冒険者には粗野で乱暴な者も多く、戦闘の殆どが魔物相手であることもあり、「力」を重視する者が多いため戦士を選択する割合が圧倒的に多い。

 

 騎士:戦士や兵士等、該当する下級ジョブを一つレベル上限まで上げる、騎士叙勲を受ける等、いくつかの条件を満たすと発現する中級ジョブ。ステータスは「力」と「技」の能力成長が大きい。また、剣や槍等、いくつかの武器に補正がかかり、盾や鎧等、防御の適正もある優秀な前衛職である。ここから派生するジョブを騎士系統職という。

お読みいただき、ありがとうございます



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