12.急転直下って響き、かっこよし
報告した後外されたらショックなので黙っていましたが、無理です
ブックマークしていただきました‼現在10件!嬉しみで吐きそうです♪ヽ(´▽`)/
うそ!うそです!吐かないからブクマ外さないでΣ(゜Д゜)
「挨拶が遅れたな。ウォーク王国国王、アルベルト・ウォーカーだ」
「ライトと言います。お会いできて光栄です」
国王まで現れるとは、まったく想像の外だった。ライトの 挙動が 乱れる!
「そうかしこまるな。今俺は一人の父親としてここに来ているんだ」
アルベルトはとても気さくな人物だった。言葉の気軽さに見あった表情と仕草だ。
「娘のポケットマネーが報酬じゃ、しめしがつかんだろう。俺からも王族の護衛依頼として褒美を遣わす」
「いえ、それでは重複して報酬をいただくことになりますので」
「なんだお前、真面目なやつだな。セレナは厚意でプラスしてやったに過ぎん。いわばチップだ。そうだな?セレナ」
「はい、その通りです。だからライト様は気にせず受け取って良いのですよ」
愉しそうに笑うセレナとアルベルト。
何とも、物は言い様というやつか。さっきまでのセレナとのやりとりは無かったことになったのだろう。こちらとしても多く貰えるに超したことはない。
「であれば、遠慮なくいただきます。いやぁ、おかげで良い装備が手には入りそうです」
ライトは緊張が解けてきたこともあり、追加報酬に自然と頬が緩む。
「なんだ、装備の更新でもするつもりだったのか?たしかにその革鎧は普通の品のようだな。なんなら、うちの倉庫からワイバーンの革鎧なりミスリルの槍なりもっていくか?」
(『うちの倉庫』ってそれ国庫だろ!んなもん受け取れるか!)
「いえ、さすがにそこまでしていただく訳には‥‥‥」
急な申し出に冷や汗が流れる。
「そうか、まあ無理には言わんが。ああ、こいつが報酬だ」
そう言って重そうな袋を手渡しするアルベルト。本当豪快すぎだろう。
「それで、物は相談なんだがな。実際にセレナの護衛をする気はないか?」
今までの雰囲気から一転、真剣な表情でアルベルトが切り出す。
「‥‥‥どういった意味でしょうか?」
「うむ、ちと性急すぎたな。いやなに、最近王族を狙った事件が起こってな。それ自体は被害もなく終息したのだが、得た情報の中に、強力な傭兵団だか盗賊団だかが動いているというのがあってだな」
アルベルトの口からサラッと重大な話が告げられる。さらに話を聞いてみると、現在、王国最強の騎士が精鋭を連れて遠征に出ているという。事件後王城の警備は強化されたようだが、それでも手練れの数が不足している感は否めないらしい。
「護衛と言っても、普段四六時中一緒に居ろという訳じゃない。聞くところによると王都には来たばかりなんだろ。色々と準備もあろう。実は、今度とあるパーティーを予定していてな。その時にセレナに同行するだけでいい」
「私以外に適任がいると思いますが?」
「別にお前が主力だと言っている訳じゃないから、そんなに肩肘を張る必要はないぞ。もちろん会場やその周りにも警備を置くさ。‥‥‥さっき話した事件の裏に、国内の貴族の影がちらついていてな。はっきり言って、側に置ける信頼できる人間が足らん」
(さっきからどんだけ内情をぶっちゃけるんだ、このおっさん)
「それで私は信頼できると?件の傭兵か盗賊のメンバーだとは考えないのですか?」
ライトにはこの部分が納得できなかった。何故、自分なのかと。
「面白いことを言うな。もしそうなら魔物襲撃の際、助けになど入らず護衛を殺して、娘たちをどうにでも出来たはずだ。どうだ、頼めんかな?"聖天騎士"のアラン達もパーティーの後には帰ってくる。それまででいいんだ」
(拒否権はないだろうに。まあ、姫を守るってのもテンプレというか、醍醐味の一つだしな)
「分かりました。私で良ければその依頼、受けましょう」
ここまで事情を聞いておいて「受けません」ではいられないだろう。それにライトにとっても困るような事ではないので、依頼を受けるのに不満はない。ないのだが、話の中に少し引っかかりを覚えた。
横目でセレナを見ると、嬉しそうに笑顔を輝かせている。かわいい。
「おお、引き受けてくれるか!いやあ良かった!セレナも良かったな。側にいるなら見知った相手がよかろう?その点ライトならうってつけだ。昨日も散々夕食の席で語らっていたからな。」
アルベルトがいたずら小僧のような、ニヤニヤとした笑みをセレナに向ける。
「お、お父様!何をおっしゃるんですか!あ、いえ、ライト様が護衛をしてくださるのは嬉しいのですが、そういう意味じゃなくて、えっと」
顔を赤くしてあたふたと落ち着かないセレナ。表情や態度がコロコロ変わるところが似通っていて、実に親子である。
「ところで陛下、一つお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「なんだ、言ってみろ」
「殿下とルヴィア様は何故、王都に向かっていたのですか?」
それは、ライトが二人と出会った日、オーガやオークと戦った日の話だった。
「その事か。セレナがルヴィアと幼馴染なのは知っているな?あの時は二人でルヴィアの実家がある領地に旅行に行っていたのだ。事件が起きたのはその矢先でな。急遽信頼できる護衛を連れて引き戻らせた訳だ。」
「なるほど、狙いはセレナ王女殿下の可能性があるわけですか」
「どういうことだ?」
ライトの放った一言に、場にいる全員が目を向ける。
(ラノベとかだと確証が無いから~とか言って、何かに気づいても心に仕舞っとくことが多いけど、普通に考えて相談した方が良いに決まってるよな。本当に意味が分からん)
「そりゃあ身内を狙った事件が起これば、王都の貴族や王族の方々はご家族を王都に呼びたくなりますよね。この国で一番戦力が揃っていて、安全なのはここでしょうから」
この言葉にアルベルトが応える。
「それはそうだろう。王都には国の騎士団や魔術師団が存在する。それに王城は国内で最高の警備が敷かれていると自負している。」
それを聞いてライトが続ける。
「話は変わりますが、周辺の街道ってオークの集団やオーガが出るものなんですかね?」
「いや、普通ならば森から迷い込んでもゴブリンやオークの数匹程度だろう。だから護衛もモーガンの隊であれば安心だと任せたのだからな。あの時は数年に一度起こるような事態にたまたま遭遇したのだと‥‥‥まさか、そういうことか?」
途中ではっとしたようにアルベルトが聞き返してきた。ライトの言いたいことに気づいたのだろう。
「もちろん本当に偶然の出来事である可能性もあります。しかし、あの魔物の襲撃が仕組まれたものであるとすればどうでしょう?例えばある程度力のあるモンスターテイマーが居れば、十分に可能だと思います」
ここまで話して、ようやくセレナとルヴィアも気づいたようだ。二人とも顔が青ざめている。馬車の中でも含めて、これまで二人は気丈に振る舞ってきた。しかしまだ十代の少女である。一連の事件の目的が自分達の身柄、もしくは命だった可能性に思い至って、冷静でいろ、と言うのは酷な話だ。
「セレナは高度な回復呪文が使える。それこそ「王国の聖女」と影で囁かれるほどの。利用価値は幾らでもあるな。そうなるとあの事件も、セレナを街道で襲撃するための餌だった可能性もあるわけか」
「あくまでも可能性の話です。捜査や警護の一つの指針程度にお考えください」
「分かっている。名のあるモンスターテイマーが所属している傭兵団を調べさせよう。いい話が聞けた。感謝するぞ、ライト」
そう言ってアルベルトは、騎士団の人間を呼ぶようにメイドに伝えるのだった。
お読みいただき、ありがとうございます
読んでいる時の、主人公の行動に対するモヤモヤを出来るだけ無くしていきたい所存




