第五話 入院しちゃいました
◇◇◇
少女が立ち去ってから数秒後、エレメント対策部隊『GAT』が到着。
俺はGATの医療班に手当てをしてもらい、此処で起きた出来事を隊長らしき男性に説明した。
「そうか、…………情報提供、感謝する」
「いえ……。あ、あの、エレメントを倒した女の子何ですけど……」
「こちらでも調べてみる。何か分かったら報せるよ」
「宜しくお願いします」
その後、朱美は目立った外傷が無かったためGATの女性隊員に家へ送られていった。
俺はと言うと、一応手当てを受けたものの肋骨二本が折れいて、おまけに全身打撲。おかげで病院行きが決定。
こりゃ、入学式行けないな……。と言うか、暫く学校にも行けねぇじゃねえか!
病院のベットの上で、重大な事に気づき頭を抱えた。
折角の二度目の人生で青春を謳歌出来る高校時代だと言うのに、こんな事で出遅れるなんて……。
「はぁ……」
“溜め息ばかりしてると幸せが逃げちゃうぞ”
不意に、成美の言葉が頭の中に浮かんだ。
もう遠い記憶だってのに、何で俺アイツの言葉未練がましく思い出してんだよ。……でも、
「……そうだな」
こうなっては仕方ない。怪我を治す事に専念しますか!
「あらあら、割と元気そうね」
「あ、お母さん!」
タンスの上に荷物を置き、椅子に母さんが座る。
「本当、連絡受けた時はビックリしたわよ」
「うん、自分でもこんな事になってビックリしてる」
「まぁ、エレメントに出会っちゃったら
仕方ないわね。まだ、奏美は一般人なんだから」
「うん……」
俺がこれから通うであろう国立栄守学園は、エレメントに対抗しうる人材を育成する訓練校だ。
栄守学園の生徒は、守護者候補生と言う扱いになっている。この学園の生徒は卒業後、GATに入るのが通例となっていた。
なので、GATに入るための学校とも言える。
守護者候補生には、エレメントとの交戦権並びに異常事態に置ける時別指示権が与えられている。この学園の生徒になった時点で一般人ではなくなると言うことだ。
「それにしても、よくあの栄守学園に受かったわね奏美」
「う~ん、自分で言うのも何だけど運が良かったんじゃないの?」
「そう考えるのが一番自然よね」
二人してアハハと笑う。
栄守学園の入試倍率は二割。入試を受ける人数もさることながら、合格ラインがかなり高い。
毎年、千人以上が受験するが合格出来るのは僅か二百人ちょっと。
ホント、よく合格出来たな俺。多分、合格ラインギリギリ何だろうけど……。
「あら、もうこんな時間!」
母さんと雑談していると、時刻が午前零時を回ろうとしていた。
「じゃあ、あたし帰るから。また午後にでも来るよ」
「うん、分かった。気を付けてね」
母さんが病室から出て行くのを見送った後、俺は静かに目を閉じた。




