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第一話 Q、転生しますか?A、『ハイ』 

「ん、ここは……」



 周り一面真っ白。どこが上なのか下なのか、どっちが右なのか左なのか分からなくなりそうな空間が目の前にあった。



『こんにちは……、いえ、もうこんばんはの時間かしら?』

「誰だ!」



 声がした方へ顔を向ける。そこには、あの黒猫が立っていた。



「お前……」

『はい、先程は助けて頂きありがとうございました』



 ね、猫が喋った!

 流暢な日本語でお礼をし、頭を垂れる黒猫。

 そして、頭を上げ、また喋り出した。



『もう、お気付きの事と思いますが……、あなたは死にました』

「うん、それは分かってるんだけど……、あんた何? 猫、じゃないだろ絶対」



 俺が死んだと言うことは、この有り得ない状況からして理解できる。けど、喋る猫なんて言う不可解なことは全く理解できない。

 第一、猫が喋るなんて有り得ないだろう。

 てか、この有り得ない状況すら理解出来ないんだが……。



『私、……ですか? 私は女神『ミランケス』』



 天使が迎えにくると思ってたが、まさか女神様が迎えにくるとは……。

 自称『女神のミランケス』を名乗る黒猫が微笑みながら話しを続ける。



『あなたは死の間際、“生まれ変わりたい”と願いましたね?』

「あ、あぁ……」

『そこで、……あなたの死の原因を作ってしまったお詫びにもう一度“人生をやり直せる”チャンスを与えましょう』



 キリッと目を細め、ミランケスがそう述べた。



「あぁ? なに、いきなり現れて訳のわからん事言ってんだお前?」



 ミランケスの両頬を思いっきり抓ってやった。



『いだ、いだだだ……! ちょ、ちょっと女神である私に何てことするんですか!?』

「うっさい、俺は天使と悪魔しか信じないんだ」

『えぇぇぇぇ!? 何故、天使と悪魔信じて女神()の存在信じないんですか!?』



 尻尾をビーンと立て、抗議するミランケス。その抗議を俺は右から左へ受け流す。



『もう……、そんな態度を取るなら“人生をやり直せるチャンス”あげませんよ?』

「…………本気で、“人生をやり直せるチャンス”をくれると言ってたのか?」

『当たり前じゃないですか! 私は女神ですよ! 命を与えることなんて雑作もないことです』



 どや顔をするミランケスに若干、苛つきもしたがここは落ち着いて冷静に考えてみた。

 もし、本当に人生をやり直せるのなら、この話し……乗らない手はない。



「本当なんだな?」

『もぅ! しつこいですね。ホントですってば!』

「……なら、そのチャンス貰うよ」

『ほ、本当ですか!?』

「あぁ……」



 パァッと顔を明るくさせ、ミランケスはその場で踊り出した。

 世にも奇妙な光景だ。猫のたこ踊り。

 まず、現実ではお目にかかれないだろうな。



『では、話もまとまりましたし、早速……』

「え、もう?」

『はい、善は急げと言いますし。あ、一つ言い忘れてました。“人生をやり直せる”と言っても、過去に戻る訳じゃありません』



 真剣な目で俺を見据え、ミランケスは重大にして重要なことを述べた。



『あなたには、別の世界に転生してもらいます。そこで、あなたは人生をやり直すのです』

「はい!?」

『それでは早速……』

「ちょ、まっ───!」



 意識が遠退いていくこの感覚……。死んだ時と似ている。

 ミランケスの方を見ると、にこやかな笑みを浮かべ愛らしい手を振っていた。



『一幸さん、良き人生を』



 暖かい光に包まれ、俺は意識を失った。



         ◇◇◇


『ふう…………、行ってくれましたね』



 一幸を見送って一息つき、ミランケスがボソッと呟く。

 ミランケスを淡い青白い光が包み、人の形へ変わっていった。

 暗い空間に黄金の太陽が現れた。そう揶揄出来そうな金色の髪をした美女が現れる。純白のドレスに身を包みその様は正に女神。

 いや、女神なのだ彼女は。


 女神───ミランケスは、青く所々緑や茶色の斑点模様が付いている球体に触れる。



『すみません、一幸さん。偶然とは言え貴方を死なせてしまった…………』



 青い球体は、よく見ると地球儀であった。

 ミランケスは瞬時、考え込み意を決し空間と空間を繋ぐゲートを開いた。



『せめて、罪滅ぼしに貴方のお役に立てるよう私もそちらへ向かいます』



 ゲートに吸い込まれて行くように、ミランケスの身体が消えていった。

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