表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/20

第十話 美味しい夕食、ところでデザートは?

 ダイニングに入ると、そこには出来立ての料理がテーブルの上に並んでいた。



「すご!コレ全部城田さんが作ったの?」

「ふふ、コレぐらい普通ですよ。手の掛からない簡単な物ばかりですし」



 照れ臭そうに、頬を掻き城田さんが台所から出てくる。


 

「いやいや、十分誇れるよ!城田さんって良いお嫁さんとかになりそうだよね」

「お、およ、お嫁さん!?」



 何故か、城田さんが顔を真っ赤にして慌てふためき始めた。

 落ちつきなく辺りをキョロキョロ見渡す。その様子がどうも、可笑しく見えて笑いそうになった。



「城田さん、早く食べよう?せっかくの料理が冷めちゃうし」

「そ、そうですね!じゃあミケちゃんも……」



 魚の切り身を小皿に乗せ、城田さんが立ち上がる。



「あれ?ミケちゃんは?」

「あたしの部屋に居ると思うけど?」

「そっか、ミケちゃ~んご飯だよぅ」



 パタパタと俺の部屋に向かう城田さん。

 城田さん、あんた良い人だよ。勝手にきた居候に夕食あげるなんて……。

 ミランケスを抱きかかえ、城田さんが戻ってきた。



「カナさん、ミケちゃん部屋の隅っこで丸まって居たんですけど……何かありましたか?」

「さぁ?寝てたんじゃない?」

「そうは見えませんでしたけど……」



 ミランケスを床に下ろし、城田さんが魚の切り身を差し出す。

 魚の切り身を見た瞬間、ミランケスは目を輝かせ魚の切り身にがっついた。



「ふふ、余程お腹が空いていたんですね」



 いや、多分違うと思う。



『美歌さんは優しいですねぇ、どっかの誰かさんとは大違いですよ』



 魚の切り身を食しながら、ミランケスがボソッと呟く。



「悪かったわね、優しくなくて」



 お返しとばかりに、きつく睨み付けてやった。

 と、そこであることに気付く。



「ミランケス、あんたなんで城田さんの名前知ってんのよ」

『奏美さんの心を読んだまでです』



 得意げな顔をしながら、ミランケスがさらっととんでもない事を言う。

 心を読むとか恐!

 伊達に女神を名乗ってはいないと言う訳か。



「?さっきから何ぶつぶつ言ってるんですか?」



 不思議そうに城田さんが覗き込んでくる。



「え、いや、何でもないよ!アハ、アハハ……」



 危ねぇ、危ねぇ、城田さんからしたら独り言にしか見えないし、可笑しな奴だと思われかねない。気を付けないと。

 せっかく出来た友達だから、失いたくないしな。



 ──夕食後。



「ふぅー、御馳走様でした」

「はい、お粗末様でした」



 後片付けをし、食後のティータイム。

 城田さんの煎れてくれるお茶は格別に美味しかった。

 普通の麦茶の筈なのに、どうしてこんなに美味しくなるんだろう?



「城田さんこのお茶どう煎れてるの?」

「?特別な事はしてませんよ。普通に煎れてるだけですよ」



 普通?普通にやってこんなに美味しくなるのか!?

 俺は城田さんの腕前に呆気に取られた。

 いや、しかし、料理が上手いだけでは無くお茶の淹れ方も上手いなんて……感服致しました!


 でも、何か足りない…………。そう、何かが足りないんだ。何なんだ…………?

 そうだ!



「ねぇ、デザートは無いの?」

「はい?」



 食後と言えば、腹ごなしにデザートを食べるもの、何だが…………。どうやら、城田さんは作っていなかったみたいだ。

 城田さんのキョトンとした愛らしい顔を見ていると、駄々を捏ねたように作ってとは言えないし。

 暫しの沈黙の後、今晩の夕食は終了した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ