芝生
植物の生命力に、勝つのはたいへん。
雑草抜きもなかなかたいへんな作業だ。
ちいさな庭にも、芝生が植えられていて、すくすく育って、花畑の向かって、侵蝕しようと空きを狙っている。
この庭を作ったときに、近所の馴染みのおじさんが、使わなくなった芝刈り用電動バリカンがあるからといって、くれた。
夏になると、芝がどんどん伸びてくるので、孫息子が、週末の朝、電動バリカンで、芝刈りを始めた。週末の朝、こちらが洗濯などを始めて、一息ついていると、なにか、奇妙な音がリズムカルに聞こえてくるので、始めはなんの音かな思っていると、電動バリカンの音だった。
孫息子は、芝刈りになにか、ポリシーがあるらしく、綺麗に刈ることを心がけているらしい。床屋さん的な表現を借りれば、5分刈りといったら、5分刈りに綺麗に刈りたいらしい。
ところが、娘婿は、そんなことを気にせずに、虎刈りに刈ってしまう。すると、孫息子に、電動バリカンを取り上げられてしまっていた。
「なんだよう!、こっちが、綺麗に刈っていれば、虎刈りにして」と、文句を言われていた。
しかし、芝の伸びる速さに、人間が勝てなくなった。
そこで、新たな芝刈りを購入することになった。
キャリアウーマンの娘は、なぜか、電気もの、機械ものが嫌いなのだ。
娘婿は、電気ものだいすきおじさんなのだ。
いつものホームセンターで、芝刈り機を選んで、購入することになった。
なんと、娘は、高らかに、サザエさんと同じ口調で「電動式芝刈り機は買いませんからね」という宣言。
娘婿は、マスオさんの心の声と同じように「なんだよう、芝刈りをするのは、こっちなのに。どうせ、お金をはらうのは、こっちなのに」と思ったのでした。
しかし、最初に宣言された結論は、覆ることなく、手押しの芝刈り機が、後日届けられることになった。
娘婿と孫息子が、ゴリゴリと芝刈り機を押して、芝を刈っていたが、そのうち、孫息子も忙しくなり、週末の芝刈り担当が、娘婿の引き継がれることになった。
どんどん芝も成長し、芝刈りが追いつかないをみて、シビレを切らした娘が、芝を刈ると言いだした。
娘は時間をみつけて少しずつ、芝を刈りだしたが、その内、腰が痛い、足が痛いと言いだした。
娘婿の目には、その原因は、明らかすぎるほど、明らかだった。
芝も十分伸びすぎて、手押しの芝刈り機で、刈れる状態ではないのだ。短くても手押しの芝刈り機は、重労働なのだ。
娘婿は、決心した。妻のサザエさんには内緒で、アマゾン大明神に祈願して、アマゾン様に電動芝刈り機の注文を出してしまったのだ。
既に秋になっていたが、元気な電動芝刈り機が届き、冬前には、すっかり、芝を刈ることができたのだった。大きな袋の3袋もの芝を詰め込んで、燃えるゴミの日に、無事、回収されたのでした。
電動芝刈り機では、塀の下や樹の根の周りは刈ることができないので、頂いた例の電動バリカンの出番だ。電気をいれて、元気に動いているように見えても、芝が食い込んで、止まったりしていて、電動バリカンを持っている手も疲れてしまう。
もしかすると、この電動バリカンパワー不足??
そこで、例によって、例のホームセンターで、電動バリカンを購入して帰ってきて、試してみると、その電動バリカンの切れ味の良いこと、良いこと、良いこと、良いこと。
長い間、我らは、徒らに苦労していたことを思い知らされたのだった。
さて、秋に、一度使われた電動芝刈り機は、物置小屋で、冬越しをした。春になって、芝もだんだん緑に色ずいてきた。今年は何回出番があるのだろうか。まさか、秋まで、出番がないとも思えないが。
マスオさんは、活躍する出番を待っているぞ。




