コブシの花
おばあちゃんのちいさな庭にはコブシの樹が植えられている。この庭を作ったとき、業者さんに植えてもらったものだ。
もう5年になろうと言うのに、一向に花が咲かない。
高層マンション下を通る歩道に植えられているコブシは、春になると咲き誇るのに変だな思っている。
このフラワーガーデンのコブシも、元気に育っているし、葉っぱもたくさん出ているので、元気がないわけではない。
おばあちゃんの知り合いのカメラ好きのおじさんが、コブシの花が咲いたら写真に取るからねと、声を声をかけてくる。
たしかに、大きな道路脇の歩道のコブシに比べれば、この小さな庭は、住宅地に囲まれているので、冬は、日当たりが、悪い。でも、春になれば、どんどん日当たりもよくなるし、もう少ししたら、今年は花が咲くだろうと待っていたが、結局花が咲かずに、葉っぱが出てきてしまった。
秋彦さんが言うには、なかなか咲かないのがあると言う。なので、ネットで調べたら、根っこに刺激を与えると花が咲くらしいといっている。しかし、秋彦さんが真剣に考えている節がない。
コブシも、春の日差し浴びて、葉っぱもどんどん繁って今年も元気なコブシになった。花は咲かずに。
ところがよくみると、枝先にひとつに、20匹ぐらいのいもむしが葉っぱを食べまくっている。
秋彦さんにその事を言うと、「一枝だけだから、ほっておきましょう」、という。
気になって毎日みているが、葉っぱは先端からどんどん無くなり、いもむしは1日毎におおきくなっている。
いろいろ心配になるのだが、秋彦さんは、「そのうち蝶か蛾になるから、ほっておこう」と言う。
「通りからいもむしが目立つようになるといやだなぁ」と思う。せっかくの庭なのに。
はやく駆除した方がいい。
しかし、秋彦さんは、これで、来年はこぶしが花をつけるに違いないとおもっているようだ。
来年になってみなければわからないが、どう考えてもなにか絶対に勘違いをしているにちがいないとおばあちゃんは思っている。
いまは、我慢しようと思っているが、あのいもむしがとんでもなくおおきくなってしまったら、枝ごと、切り落とそうと、おばあちゃんは決心している
はやく、近所のひとが気がつかない内に、蝶になっていって飛んでいってしまえ。
翌日。
木の枝を見上げると、イモムシがどこにもいなくなっている。葉を食べた後は、厳然と残っているのだが。スズメなどの鳥に、すっかり食べられてしまったらしい。
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秋になって、なんと花芽が出できた。かなり、おおきな花芽だったので秋に咲くのかと待っていたら、年を越してしまった。春には、咲きそうだ。
どうして、花芽ができたのかというと、木の下で、話をしたからに違いない。




