近所の若いお母さんが言うものだから
その庭は、大通りから少し入った場所でしたが、近くには学校もあり大きなマンション大規模アパートが立ち並び、たくさんの人が毎日行き交っています。
若いお母さんに手を引かれた小さな子どもが、おばちゃんのフラワーガーデンを指差して、「カエルさんいる!」と声をだします。
すると、お母さんたちは決まって「あのカエルさんは、夜になると動き出すんだよ」と言うのです。王冠をかぶった20センチほどのカエルの置物は、なんだか偉そうに本を読んでいます。
家の中から外を眺めていたおばあさんは、その小さな子どもために、あのカエルの場所を少し動かしてあげなくてならないなと考えました。
そのカエルは、何年も真夏の太陽の光を浴びて、少し色あせてきていました。そこで、おばあちゃんは、新しいカエルに買い替えようと思っています。でも、そのカエルを売っていた銀座の老舗の百貨店の屋上のお店の花屋さんは閉店してしまったので、そのカエルを売っているお店を見みつけることができません。
よく行くホームセンターにも、庭に置く置物をいろいろ売っているのですが、銀座に老舗の百貨店の屋上の花屋さんの品物と比べると、なんだか、デザインが気に入りません。値段が安すぎて、信用ならない気もします。
王冠をかぶったカエルは、どうも、ヨーロッバの王族のりっぱな血筋をひいたカエル一族の王様のカエルのようでした。なぜなら、そのカエルは黄金でできた王冠をその頭に乗せていたからです。
おばあちゃんは、そのカエルに見ながら、黄色花が咲いている花の横に移動しました。子供達の目を引くように。そして、おかあさんの言葉は、本当らしくみえるように。
しばらくは、このカエルで我慢しなければならないようです。
秋彦さんは、緑のスプレーインクでも吹きつけようかと企んでいますが、ぜったい失敗して変なカエルになってしまうに違いありません。
おばあちゃん、はやく、すてきなカエルを探してください。
その後、いくら探しても、よいカエルの王様が見つからないので、けっきょく、ペンキを塗ることにして、秋彦さんが、かなり適当に塗りました。その内、雨に打たれて、自然な色になるだろうと期待して。




