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ご近所さんの朝顔

おじいちゃんとおばあちゃんは、下町育ちの都会育ち。

植物は、せいぜい植木鉢で育てる程度だったし、玄関の外に置いて育てる程度だったから、そんなに熱心ではなかった。植木鉢の植物も、ほとんど貰いものだった。だから、それらの植物をどのように世話するのかもあまり気にしないで、時々、水をやって、枯れないようにしていたというのが本音。


だから、おばあちゃんが、庭を持って、植物を植えて、育てるのは実は、長年の夢だった。それをおじいちゃんが亡くなって、お店をたたんだ後、そのお店を取り壊して、そこに、ちいさなお庭を作ることにしたのだ。


植物は、普通、春に芽を出して、夏に成長して、秋に花を咲かせて、実をつけるというのは、サイクルだ。だから、ちいさな庭がいつも、花いっぱいになっているとは限らない。


しかし、おばあちゃんには、それは、どうしても、寂しい気がする。町の花屋さんには、一年中花にあふれているし、いつも行くホームセンターにも、いつでも、花があふれている。

どうして、このちいさな庭がいつも、花があふれていないのが、不思議で仕方ない。

花が咲き終わったものは、すぐ抜いて、花の咲いているものを植えたくなってしまう。


だから、おばあちゃんと秋彦さんは、ホームセンターの花売り場の常連さんだ。週末には秋彦さんの車で出かけて行って、季節の花をたくさん買い込んで、庭に植えている。

ちいさな庭といっても、それなりの庭なのだから、ちいさなポットに植えられている花を、5個、6個と植えてみても、庭は、花盛りにはならないのだが。


思えば、たくさん花をかっていると、秋彦さんは思う。


ご近所さんは、下町だから、みんな家の前にたくさんの植木鉢を置いて、いろんな花を育ている。そして、毎日、毎日、水をやっている。


道路に面して、植木鉢を並べているのだから、南向きの家の向かい家は北向きで、東向きの家の向かいは、西向きだ。

結局のところ、道路を挟んで、南向きの家と北向きの家は、日中、日が当たるわけではない。日が当たる時間は、冬になると東から日が昇る午前中のわずかな時間と日が沈む夕方のわずかな時間だ。

もちろん、夏になれば、陽も高くなるので、南向き、北向きの家にも、しっかり、陽が当たるので、植物はちゃんと育っている。

おばあちゃんの庭の花より、元気に咲いている花もあるので、驚くべきことだ。

どうして、そんなことが可能なのか、秋彦さんは、買い物などに行くたびに、近所さんの植木鉢を見ながら、おばあちゃんのちいさな庭に何を植えたらいいのか、考えている。


植木鉢の多くのものは、宿根で、毎年毎年咲いているものが多い。


その中で、朝顔と毎年毎年植える家が何軒もあるのだ。

玄関脇から2階のベランダや2階の窓に、紐を渡して、朝顔が成長するようにする。


江戸っ子の朝顔好きは、江戸時代からの伝統のようだ。


おじいちゃんが生きているときに、朝顔を植えてみろといったので、秋彦さんが、お店の裏に、ネットを買ってきて、朝顔が伸びれるようにして、プランターで育ててたら、朝顔の大きな花が咲いて、立派な朝顔だと褒めてくれた。

おじいちゃんも江戸っ子だから、朝顔好きだったのかもしれない。


今は、朝顔は育てていない。

かわりに、ゴーヤとトマトとナスとピーマン、ミョウガなど、食べられるものを育てて、ちょっとした収穫を楽しんでいる。だから、ネットはゴーヤ専用なのだ。




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