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機甲魔術師の異世界転移  作者: タングステン風味
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深淵なる水

俺は新ためて自分が置かれている状況を整理する。


魔力はほとんど残っていない。


体の傷は相棒からもらったコークスクリューブロー以外の傷は完治しているようだ。


武装はハンドガンとミスリルソードが10m程向こうに転がっていた。


あと相棒が復活した。


凄く可愛く、水色になって。


俺は少し涙を浮かべながら、相棒の姿を目に焼き付ける。


いまからやるべきことは?


猫耳とアネッテとその他兵士と負傷兵が満載の馬車を護衛しながら、ミミズあらためてドラゴンを倒す。


「アクアいくぞ!!」


「はい!マスター!」


嬉しそうにアクアが答えた。


「召喚!!」


「フレームを再構成…ok、武装を選択ok、魔力炉始動します」


「ちょっと待て」


「なんでしょう?邪魔しないでください、マスター」


「どうやって魔力炉を動かすんだ?」


「黙って見ていて下さいマスター」


「あっ、はい」


俺は思わず素で返事を返した。


どうも主従関係が無茶苦茶になっているようである。


すぅとアクアの体が半透明になり魔力炉、いやフレーム自身へと同一化を果たす。


フレームは、前とは少し違う色になっていた。


むしろ形状からして違う。


色はどこまでも深い水色、形状は角ばっていた装甲が全体的に丸みを帯びていた。


武装は手に12ゲージショットガン、右肩にミサイルポット、左肩にフレーム用のミスリル合金製のソードがマウントされていた。


「ふふん、見とれてないで早く乗ってください」


自慢げにアクアが言った。


「着装!!」


体にアクアの魔力が流れ込むのがわかる。


前より高純度でしかも魔力量も3倍近い。


試しにドラゴンに向けてショットガンを魔力を流し込みながら撃ってみる。


ズガン!!


強烈な反動が俺の腕、いや、全身に伝わってきてたたらを踏む。


スラグ弾がドラゴン向けて発射された。


というかこれ本当にスラグ弾か?


なんかレーザー兵器みたいになっているぞ?


当然、しっかりと狙っていなかった弾は辺りに冷気を振り撒きながら、あさっての方向に伸びていく。


「私をちゃんと使ってくださいマスター」


「お、応」


ドキッとするようなことをアクアに言われた。


そんな夫婦漫才を繰り広げる俺達に遂にドラゴンが切れる。


口に溜めた酸の液弾を俺に目掛けて吐きつけてきた。


「ウォーターシールド」


アクアが防御魔術を紡ぐと、見たことがないような高密度の水の壁が展開された。


ドラゴンブレスほど魔力を込められていなかった酸弾は、少しも壁を侵食することなくその効果を失う。


今度は俺の番だと、ドラゴンをロックオンしミサイルを発射する。


3発ほど発射されたミサイルは、一度上空に向かって飛んで行き頭上からドラゴンに襲いかかった。


絶対零度の冷気がドラゴンを包み込む。


ドラゴンはあっさりと氷漬けになったのだが、まだ生体反応を残している。


「とどめです!!マスター!!」


俺はブースターを全力で吹かせ、氷漬けになっているドラゴンに接近した。


ショットガンを送還し、虚数庫に格納する。


アクアが右腕に新たに召還したパイルバンカーに、魔力炉が唸りをあげながら魔力を供給している。


「マスター!!」


「だりゃああああっ!!」


気合いをいれながら、ドラゴンの顔面に杭をぶちこんだ。


氷漬けとなっていたドラゴンは、粉々に頭を粉砕され倒れこみようやく生体反応が消える。


杭を撃ち込んだ反動で逆方向に飛ばされた俺は空中で身体を後方にバグ宙させ地面に片手をつきながら着地し。


「決まった!!」


「マスター、カッコつけ過ぎです」


緊張感のないやりとりをするのだった。




先の戦闘中に落としたハンドガンとミスリルソードを回収した。


「送還」


虚数庫にフレームとミスリルソードを送還、格納する。


ハンドガンはレッグホルスターに入れた。


人間の状態に戻ったアクアは俺に説明を求めてきた。


「なんでいきなり巨大ミミズと戦う羽目になっていたのですか?それに彼女らは一体?」


アクアは狐耳の方向に視線を送り、マスターの趣味に見事にマッチした彼女らをみて目を細める。


「実は、かくかくしかじかで」


「これこれうまうまですか?」


流石長年連れ添った我が相棒、いいテンポである。


「なるほど狐耳に釣られたマスターは、良いところをみせてあわよくば報酬として、モフモフさせて貰おうとしていたのですね」


「いや俺かくかくしかじかとしか言っていないんだが…」


まさに以心伝心である。


その様子を見ていた猫耳が俺達に話かけてきた。


「!!???!!」


頭を下げながら言っているところをみるとどうやらお礼を言っているようである。


隣でアクアが目を丸くしながら


「!!???!!」


と言っている。


猫耳は微笑を浮かべると兵士達の指揮をとり始めた。


「あれは人間がいうところの、古代精霊語ですよマスター」


「それって今は魔術師でも使わなくなったていうやつか?」


「はいそうです、何故彼女らがそんな言語を使っているのかは不明ですが」


そんなやりとりをしていると、目を覚ましたらしいアネッテが、氷漬けになっているドラゴンにびっくりしながら(耳もびっくりしていた)こちらに向けて歩いてきた。


「!!!???!」


「!!???!!」


俺には何を言っているのかはわからないが、10分程度アクアとアネッテが和やかな感じで会話をしていた。


「とりあえず今の状況はわかりました 、治療魔術の使い手が足りていないそうなので手伝ってきます」


「それはいいけど俺は?」


「そこにいても邪魔なので後ろの馬車にでも乗っておいてください」


笑顔のアクアさんだが彼女の背後に般若の面が浮かんでいる。


アクアの言い方がきつかった。


「はい」


多分アネッテに膝枕されたのがバレたのだろう。


アクアは独占欲が強いところがあるからな。

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