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機甲魔術師の異世界転移  作者: タングステン風味
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スティナと買い物

翌朝、俺はスティナを伴ってアルム中央市場に来ていた。


思えば、スティナと二人きりで行動するのは初めてではないだろうか?


「今日は須藤さんが夕食に来るらしいから、酒とツマミの用意を忘れずにな」


「お兄ちゃんの同郷の人だったらお米を使った料理もだしたらどうかな?」


左腕にだきついているスティナが、ナイスな提案をしてくれた。


「それでいこう。須藤さん泣いて喜ぶぞ」


ここ、アルムは各地から様々な物が集まる。


米はここら近辺ではアルム位しか流通していないみたいなので、須藤さんは日本から転移してきてから米を食べてないだろう。


これで味噌、醤油があればパーフェクトなんだがな。


八百屋に到着。


「おっ!ブルーじゃねえか久しぶりだな」


八百屋の親父が気さくな感じで声を掛けて来た。


「久しぶりです。米を買いに来たんですが、前と同じの入ってきてますか?」


前にお米券と交換した、ジャポニカ米に似たやつがあればいいんだが。


「勿論あるぜ。どの位要る?」


「えーっとその袋、2袋分下さい。配達でお願いします」


酒屋さんにも行かないといけないので、配達を頼むことにした。


「配達だな?夜までには持っていくから楽しみにしとけよ」


「スティナ。他に何か買うものあるか?」


「野菜はまだたくさん残ってたから今は必要ないかな?」


俺は親父さんに代金を手渡す。


「ありがとよ。また来な」


次は酒屋さんだな。


須藤さんは、かなりの酒豪だから質より量優先で買おう。


「スティナ、酒は何処で買えばいい感じだ?安さ優先で」


スティナはうーんと考え込む。


「私、あまりお酒には詳しくないからわからないから、適当なところに入ってみない?新しい店を開拓するのも楽しいと思うよ」


それもそうだな。


湖の乙女亭くらいしか、自分で開拓してなかったしな。


しばらく市場付近を歩く。


「お兄ちゃん♪ここに入ろ♪」


スティナが指差した先には、2階建ての大きな店舗。


どうやら、服を売っている店のようだ。


目的と違うがたまには女性の買い物に付き合ってみるのもいいだろう。


そういえば、デートとかもしたことなかったよな。


色々すっ飛ばして同棲していることに、今さら気づいた。


「いいぞ?スティナが可愛くなるところもみたいしな」


「お兄ちゃんも一緒に選んでね♪」


スティナが俺の腕を引き店内に連れ込む。


いらっしゃい…ませ、と女性の店員が少し驚きながら挨拶してきた。


…………見渡す限りの下着の山。


服は服でも下着でした。


まてまてまて?!これはキツいぞ!?


「さ、お兄ちゃんはどんなのが好み?」


逃がさない!!とがっちり腕をホールドされて、店内に強制連行される。


「おっおい?!俺には少しハードルが高い、高過ぎるぞこの店は?!」


「ささ選んで♪」


にっこりとスティナは楽しそうに笑っている。


これは、下着を買わないと店から出れないだろう。


「ほら、その白いのとかどうだ?ふりふりついてるし」


視界に入った下着を適当にチョイスした。


スティナが不満げに呻く。


「むー、ちゃんと選んで欲しいよ」


く!適当なのがばれたか。


こうなったら、スティナに似合う下着を可及的速やかに選んだ方が傷が少なくて済むか?


下着を選ぶ為に店内を見渡すと、女性達の好奇の目線が飛んできていた。


そんな目で私を見ないで。


「お兄ちゃん、こんなのはどう?」


ひも?


「これとかは?」


それ切れ込みおかしくない?


「こんなのもあるよ?」


もう、それつけたら只のHENTAIじゃね?


俺、スティナに完全に遊ばれてる。


早く下着を選んで脱出せねば。


呼吸法で精神を落ち着かせ、心眼を開く。


店内の布切れ一枚一枚を見透かし。


これだ!!!


2列向こうの棚にある下着に目星をつけた。


「これでどうだ!!」


スティナに黒い下着を渡した。


スティナの清純な見かけと、セクシーな下着。


明らかに方向性が真逆だが、それで良い。


それが良いんだ!!


「お兄ちゃん、それを着けて欲しいの?」


ぽっと顔を赤らめながらスティナが呟く。


俺は1つ頷いた。


「 お兄ちゃんのエッチ」


そう言いながら試着室に入る。


手持ちぶさたになってしまうと、嫌でも周囲の会話を拾ってしまう。


「へぇーブルーって黒系のセクシーな感じがすきなんだ」「やっぱり、男の子ねぇ」「私も黒にしよーっと」


う、早く出てきてくれスティナ。


カーテンの向こうから手が出てきて俺の服をむんずと掴み。


「って!おわぁ?!」


俺はカーテンの向こうに引き込まれた。


「どう?お兄ちゃん///」


恥ずかしそうにしているスティナが上目遣いで聞いてくる。


あ、あかん、これはあかん。


「綺麗です。そしてさらば」


俺は脱兎の如く店内から逃げた。





横を歩くスティナは可愛らしい小さな袋を持っている。


酒屋にいこう。


「お兄ちゃん、あそこなんてどうかな?」


店は小さいが良く手入れされており、何か「良い店」オーラが滲み出ている。


「あ、ああそこでいいぞ」


気をとり直していくぞ。


扉を開けると恰幅の良いおじ様がカウンターに座っていた。


「いらっしゃいませ。おや、蒼騎士様に、スティナ様ではないですか。どの様な物をお探しで?」


スティナがはじめましてと挨拶し、早速お酒を見繕い始める。


「おじさん、肉料理に合うお酒ってありますか?」


「定番だと、赤ワインですな。えーっと確か」


奥に一度引っ込み一本のボトルを持ってきてくれた。


「こちら、最近できた酒蔵のお酒で、お値段はリーズナブルではありますが、味はその辺の高級品よりもいい味を出していますし、飲みやすいですよ」


こっちの世界の酒なんてわからないから、勧められた物を買うことにする。


「それ、10本下さい」


まだまだ足りないだろう。


「あとエールなんかもありますか?」


「勿論ありますよ?今日は珍しい物がはいってましてね。飲んでみて下さい」


店主は瓶の栓を開け試飲を勧めてきた。


飲み慣れた味がする。


ピルスナーな感じのビールだ。


「キレがあって新鮮でしょう?」


ああ、そういうことか。


恐らく一般的に飲まれてるのはフルーティな方のエールだろう。


とにかく、これは買いだな。


「そうだな…40本程くれるか?」


一本350ml位の瓶ビールを、40本。


「お兄ちゃんそんなに買うの?」


「これでも足りるかどうか…」


あの人、水みたいに酒を飲むからな。


さて、そろそろアクアが首を長くして待っているだろう。


昨日頼んでおいた新兵器は一体どうなっているだろうか?

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