げきとう!ライオンレッドvs つちをすべるまじゅつし 後編
「いくぜ??ストーンバレット!!」
先制攻撃でペースを握る!
ジャイロ効果で真っ直ぐ飛ぶ石礫の数は 15。
「叩き割る!!ジャスティスラッシュ!!」
ライオン仮面はパンチの連打で、全て迎撃した。
流石ヒーローだな。
「受けよジャスティスブロー!!」
10m程も離れた俺に一歩で肉薄、炎を纏ったレバー狙いの拳を、土で作ったシールドで反らした。
「やるな?」
ライオン仮面はバックステップで俺から距離をとった。
「さあ君もブルーと同じ変身ヒーローだろ?早く変身したまえ」
変身ヒーロー?フレームのことか?成る程、そう見えなくもない。
「えっと恭介?やるの?」
ガイアはまだ困惑しているようだ。
「おう。いくぞガイア!!」
「召喚!」
昨晩と同様の装備肩に30mmチェーンガンとロケットポット、手にはランスとタワーシールドを装備している。
「着装!」
「おお!ブルーに似た鎧を身に纏ったぞ!!」「茶色?ライオンブラウンか?」「こっちのがゴツくて好きだな」「いやいや俺はアクアちゃんの母性を感じられるあの丸みを帯びた鎧の方がいいと思うぞ」
俺がフレームを身に纏うと観客が沸いた。
ところでブルーって翔のことか?許せん、おれに黙って正義のヒーロー仮面の仲間入りを果たしていたとは。
「さ、仕切り直しといこうか?ヒーロー」
「がはは!面白い」
「ガイア30mmに磁力を!」
「了解…いけます」
「食らえ!」
磁力で加速された弾が600/sの速度で連射される。
流石に捌き切れないと思ったのか、ライオン仮面は回避行動をとりつつ遠距離技を放つ。
「フッ!ハッ!ジャスティスブラスター!!」
「!!」
咄嗟にシールドを構えた。
「おお?!!」
押される?!
脚部アンカーを作動。
闘技場のリングを削りながらも踏みとどまった。
「すげえぞあの挑戦者」「ブラスターを真正面から受けきるとは」
……そう何度も食らう訳にはいかないぞ。
楯には細かいヒビが入っているし、楯を持つ手は悲鳴をあげている。
チェーンガンを撃ち続ける。
「ガイア上級魔術スタンバイ!!」
ガイアは詠唱に入った。
チェーンガンを回避し、着地した瞬間を狙い
ロケットを撃つ。
「甘い!」
ライオン仮面はロケットを包み込む様に受け止める。
「おうおう荒れ狂っているな。お返しだ!」
噴射炎を上げるロケットを投げ返してきた。
「なっバカな?!ッし!」
ロケットを受け止めるなんて訊いたことないぞ。
シールドを投げつけ迎撃した。
シールドはロケットに直撃、爆散した。
爆炎に紛れてランスチャージで!!
「せりゃ!グレイブ!!」
ランスの突きを避けた後を狙って、地面から土の槍を生やすが、ひょいと回避される。
こんな奴にどうやって翔は勝ったんだ?
「召喚」
ランスを地面に投げ捨て、二振りの斧を取り出す。
ランスはまず当たらん。まだ可能性のある斧を持った方がましだろう。
「ジャスティスハリケーン!!」
見惚れる程に芸術的なローリングソバット。
「くっ!!」
蹴りに斧を叩きつける。
一瞬の均衡の後、斧が砕けた。
蹴りが脇腹に突き刺さる。
!!
「ぐあっ…?!」
アダマンタイト製の斧を叩き割るとは!
俺は吹き飛び際片腕でランスをひっつかんだ。
斧で攻撃しても意味がないことがわかった。
取り回しが悪いと思って捨てたランスでしか、恐らく奴の防御を越えられないだろう。
「恭介!!グラビティフィールドレディ!」
上級魔術の使用準備が整ったようだ。
こいつにかける。
「どうした来ないならこちらからいくぞ!!ジャスティスラッシュ!!」
「重力の檻よ 遍くすべてを抱きよせよ グラビティフィールド!!」
超重力の檻で俺とライオン仮面を包み込む。
内臓が零れ落ちそうな程の重力が俺達を襲う。
「ここからはチェーンデスマッチだ!!」
右手のランスをライオン仮面に向け突き込む!!
「ぐぉおおおおおぁあああ!!!」
ライオン仮面が技を中断して、ノロノロと進むランスの先を掴む。
「やらせるかぁあああ!!!」
ランスがぴたりと止まった。
「何で!?重力場はこちらより明らかに強いはずなのに!!」
遂に均衡が崩れこちらにランスを押し返してきた。
「キョウスケ負けるな!!」「先輩ここが踏ん張りどころです!!ガイアちゃんも頑張って!!」
愛しのユリアと後輩が応援してくれる。
「漢見せないわけにはいけねえなぁあああ!!!」
俺はランスをライオン仮面の方に押し返した。
そして切っ先がド派手な鎧に到達する。
「レッドまけるな!」「押し返しちまえレッド!!」
ライオン仮面に声援が飛び。
「俺はまけられないんだぁあああ!!」
ライオン仮面の力が増す。
「「おおおおおおおおお!!」」
バキン!!音が鳴りランスが砕け散った。
「恭介!!フィールドが解ける!!」
重力の檻は消え去った。
「おらあ!!」
俺は疲労した体に鞭打って右ストレートを繰り出す。
「せいあ!!」
ライオン仮面も同じく右ストレート。
両者ともに顔面にクリーンヒット。
まだ両者、共に立っていた。
「「おおおおおおお!!」」
そここからは技も戦略もない。
何かを伝え合うかの様なただの喧嘩が始まった。
雄叫びを上げながらただ殴り合う。
ガイアが損害を報告してくるが知ったことか、俺は奴を倒すんだ。
シュウンと力が抜けるような音がフレームから発せられる。
ダメージでシステムダウンしたようだ。
インナーマッスルが緩みフレームはただの重りと変わる。
「除装」
「送還」
フレームを脱ぎ捨てライオン仮面と向き合う。
「ガイア手を出すな」
俺は魔術で体を強化し、残りのすべての力を使いライオン仮面に殴り掛かる。
ライオン仮面も俺のなりふり構わない自爆戦法で、かなりのダメージを受けているようだ。
だが、気配でわかる譲るつもりはないと。
俺と同様。
「バーニングオーラ!!」
魔術で強化した熱い拳を繰り出してきた。
拳が交差する。
クロスカウンター。
膝をついたのは俺。
ライオン仮面に抱き留められた。
「君にならユリア君を任せられる」
パチンと指をライオン仮面は鳴らした。
横断幕に文字が浮かび上がる。
「新たなヒーロー誕生!!ライオンブラウンとの熱き友情!!」
どうやら俺もヒーローになれたみたいだ。
「おおおおおおおお!!!」
歓声が聞こえる。
VIP席からユリアが飛び降り、泣きながらこちらに駆けてくる。
ああ、俺はいつも君を泣かせてばかりだ。
そして俺は意識を失った。