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機甲魔術師の異世界転移  作者: タングステン風味
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一難去ってまた一難、もう一つおまけにもう一難

俺がアネッテに追い付くと既に彼女は戦闘態勢にはいっていた。


蜥蜴人間の数はあと3人といった所か、一番前の馬車に傷だらけの蜥蜴人間が1人いるだけなので放っておいても良いだろう。


あとの2人は目の前にいる。


アネッテは身を屈めると銃弾の如きスピードで飛び出した。


反応出来なかった蜥蜴人間は鱗ごと胴体を切り裂かれ絶命した。


仲間が殺されてようやくアネッテに反応したもう1人は持っていた斧で大上段から斬りかかる。


敵の斧の動きを完璧に見切り、最小限の動きで回避したアネッテは反撃に移る。


回避した動きが次の攻撃の前動作になっていたのか、流れるような動きで蜥蜴人間の首を狙う。


蜥蜴人間は斧が空を切ったことに気付いた瞬間、首をはねられて命を落とした。


アネッテさん超強いと、実に月並みな感想が俺の脳裏に浮かんだ。








遂に手に力が入らなくなり、剣を取り落としてしまった.


私はショウという名前らしい少年に申し訳なく思いながら、馬車の扉を開ける。


敬愛する姫様は血濡れの私を抱き締めて感謝を述べられる。


「ありがとう」


その言葉に安堵した私は魔力不足と疲労により意識を失うのであった。









その様子を見ていた俺は、アネッテの落とした太刀拾い上げ虚数庫に送還する。


彼女達の安全を確保するために、周囲の状況を確認していると、微かに地面が揺れていることに気付いた。


何が起こっているのかが予想もつかないが、アネッテの主人であろう猫耳が焦った表情を浮かべている。


さっきから俺の第6感がビンビンと危険信号を発している。


そしてその脅威は地中からその姿を現したのだった。







そいつは大きなミミズのような体を持っていた。


地中からから姿を現しているだけでも3m程もある。


大樹の幹の様な太い胴体をもち、恐らく口の部分であろう場所には鋭い牙が生え揃っていた。


そいつは俺とアネッテが倒した蜥蜴人間を丸呑みにし、食べたりないのか俺たちに狙いをつけていた。


動けない馬車が襲われればひとたまりもない。


俺はヤツの注意を引き付けるために、ハンドガンとミスリルソードを両手に持ち近接戦闘を仕掛けた。


ヤツのブヨブヨとした表皮は魔力で保護されているのか45口径の弾丸は弾かれ炎によるダメージも通っていないように感じる。


ならばとミスリルソードに魔力を流し、その防御ごと切り裂いてやると斬り込んだところ。


ギガガガと嫌な音をたてた。


ミスリルの刃が刃こぼれを起こしていた。


「まじかよ…」


俺のことを鬱陶しく思ったのかデカイミミズはその巨体に見合ない俊敏な動きで、薙ぎ払ってきた。


「アブねぇ!!」


間一髪、俺は足に魔力を込めヤツの胴体をジャンプでかわす。


地面がヤツの体表を流れる魔力によって削られてボコボコになっていた。


あの場にいれば完全に轢殺されていた。


攻撃を外したことに気付いたミミズは、丸呑みにしてやろうと思ったのか、いまだに空中に飛び上がっていた俺に噛みついてきた。


「召喚!!」


俺は虚数庫にアクセスし、お手製の手榴弾を3つ取り出し全てのピンを抜き空中に置き去りにしつつ


「シールド」「爆破」とお馴染みのコンビネーションで無理やりミミズをかわす。


ミミズは俺の代わりに手榴弾を呑み込んだ。


5秒後、ミミズの体内で手榴弾が爆発した。


「シャグググ…」


効いているようには見えなかった。


俺が持つ火力の中でフレームと、上級魔術を除けば最大火力である手榴弾で倒せないとなるともう方法がなかった。


すでにワイバーンとの戦いで只でさえ減っていた魔力と体力が、ここにきて限界を迎えていた。


怒り狂ったミミズが俺の体をその胴体で吹き飛ばす。


衝撃の瞬間、間一髪で間に合ったシールドの魔術のおかげでミンチになるのは避けられたが、どうも内臓を損傷したらしく口から血を吐く。


先頭の馬車にいた兵士が俺を援護してくれているのだろう、火の魔術や弓で攻撃しているのだが傷1つつけることができない。


俺の背後で猫耳が、気絶したアネッテを抱えながら俺に向かって何かを叫んでいた。


朦朧とする意識の中で俺はあいつに謝る。


「アクアごめんお前が死んだことに気付かないふりをして弔うこともしなくてごめん、お前は最後まで俺に付き合ってくれたのにな」


と声にならない声をあげる。


ミミズが何かを吐こうとしているのか、ミミズの体内に膨大な魔力を感じる。


こいつミミズじゃなくてドラゴンだったのだなと、今さらながらに気付いた。


そしてドラゴンが最大の攻撃手段であろうドラゴンブレスを吐き出した。


ドラゴンブレスは地面に生えていた草やアネッテが置き去りにした大剣を焼き、それらはシュウシュウと音を立てて灼け落ちる。


どうも強酸性らしい。


「アクア」


俺は長年付き添った相棒の名前を呟き目を閉じた。


そしてドラゴンブレスは俺を呑み込むのだった。

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