儀式
腹を満たした俺達は虚数庫にアクセリナの荷物を入れた。
私は入らないですよとふるふると月が震えている。
わかってるって。
腰に鞘を結わえつける。
「どうやって精霊郷から出るんだ?」
「裏庭にあるリンゴの木から蒼月湖の霊木までパスを使って転移するわ」
そういえばやたらと魔力を蓄えたリンゴが食事に出てきたな。
「行くわよ?」
アクセリナは俺の腕をとり裏口から外に出る。
「そういえば本契約の儀式をまだやってないよな?」
ちょっとした森を歩きながら、俺はアクセリナとの魔術回路がまだ不安定なことに気付く。
「ええまだよ。蒼月湖の霊木でちょっとした儀式をしたら本契約完了だからね」
金色の葉をつけたリンゴの木に到着。
「これは…凄いな!!」
アクセリナがふふんと自慢気にしている。
「ほら行くわよ」
木に光の扉の様なものが現れそこをくぐると景色が一瞬で変わる。
蒼月湖だ。
蒼月湖はアンフィスバエナの毒を完全に浄化し、何処までも透き通るような水質になっていた。
「大体どのくらいたっているんだ?」
「10か月といったところかしら?」
誰かが片付けたのだろう。
アンフィスバエナの死骸もなくなっていた。
「そ、そんなことより、儀式を執り行うわよ」
そういえば儀式の内容について聞かされてないな。
「木精霊の儀式ってのはどうやるんだ?」
そう言いつつアクセリナの方を向こうとすると
「そのまま前を向いてて」
?言われた通りにする。
アクセリナが後ろから抱きついてきた。
あかん。アクセリナちゃん柔らかい感触が?!
「木精霊の儀式はね、特別な言葉とかは言わないの。座って?」
言われた通りにする。
アクセリナは霊木を一筋傷つけ樹液を口に含む。
このパターンは。
顔だけを強引に横に向かせ後ろから覆い被さるようにキスしてきた。
樹液が流し込まれる。
甘いミントの味がする。
アクセリナとの回路が今完全につながった。
ちうちうとアクセリナ俺の舌を攻撃してくる。
あかんて。
俺は必死に舌を動かし逃げようともがくが執拗に追いかけ回されて、かえって状況の悪化を招いていた。
アクセリナの口の端から一筋の唾液が伝う。
もう儀式終わっているだろ?でも、もし儀式がまだ続いていて、途中で中断したらアクセリナは生涯儀式を執り行うことが出来なくなるだろう。
下手に動けない。
するすると蔦が伸びてきて俺とアクセリナを一緒くたに縛りあげる。
「っ…ひゃん?!」
アクセリナが声をあげた。
え、何?どうなって
体の密着度が更に上がる。
背中がパラダイスになっているのだが。
「ふぁふふぇふぃふぁ(アクセリナ)?!」
ようやくアクセリナが口を放した。
「この蔦、多分霊木のやつね…気を利かせたのでしょう」
霊木が申し訳なさそうにするすると蔦を引き上げた。
この霊木空気読みすぎィ?!