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機甲魔術師の異世界転移  作者: タングステン風味
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精霊郷編9合目

俺達は露店で買ったサンドイッチを片手に妖精の羽根に向かっていた。


「なあ月雪花…お前なんで昨日地下で俺に呼び掛けなかったんだ?」


「ご主人様の取り合いのせいですね。ご主人様はそれはもう人気がありすぎて、皆が牽制し合って声を掛ける様な状況ではなかったのですよ」


「最終的な勝者は月雪花だったんだな」


「ええそうです。ご主人様に会う前に刃こぼれするかと思いました」


「おい。まさか妖精の羽根の特別室が大変なことになっていないだろうな?」


「大丈夫ですよ?物理的にやったわけではないですから。こうプレッシャーの撃ち合いでしたから」


良かった。


いつもの俺だと、高額の請求書に頭を抱えるパターンだった。


にしても月雪花と毎回言うのはしんどい。


「なあ、ツキって呼んでもいいか?」


「勿論いいですよ。私のことは月とお呼びください」


そうこうしている内に妖精の羽根に到着。


「らっしゃっせー!」


オヤッサンが例の如くコンビニ店員の様な挨拶をかましてくる。


「お、兄ちゃんとアクセリナじゃねえか。一体どうした?」


「これを見てくれ」


俺は布でくるんでいた月を差し出す。


「あ?こいつはあのじゃじゃ馬じゃねえか?」


「じゃじゃ馬とは失礼な。それに私はご主人様から月雪花という名前をいただいてます」


オヤッサンは心底驚いたといった表情を浮かべる。


この白銀の長剣は地下にある武器の中でも、最も気位が高い。


そして、最も優れた武器でもあった。


不思議には思っていたのだ。


俺が見込んだ人間が、俺のある意味分身とも言える武器に見初められないはずがないと。


大方、こいつが他の武器たちを牽制していたのだろう。


「大事にしてやってくれ」


「それは言われるまでもない」


あそうそうとオヤッサンが付け加える。


「そいつはちょっと気位が高すぎて、ある意味いき遅れていたやつでな」


月が抗議の声をあげる。


「いき遅れではないです!!私のお眼鏡にかなう使い手が現れなかっただけです!!」


「でだ、こいつはタダで進呈しよう」


「それはできない、きちんと代金は払わせてもらう」


オヤッサンは腕を組み考え込んで言った。


「俺も職人の端くれ。ちゃんと対価をもらうという重要性はわかっているのだが、ちょっとそいつはできないと思うぞ?その剣色々貴重な金属やら素材やら使っているから、買うとなると…」


オヤッサンが掛かった費用を計算している。


「素材だけで大体これぐらい掛かっている」


そう言い紙を差し出してくる。


何この0の量?俺のアルムで買った家より数倍高い。


というか材料の一覧にオリハルコンと書かれてあるのだが。


使われている量的に刃の芯にしか使われていないようだが、現代日本では天文学的な価値になることは間違いない。


「クーポン使えば2割引き出来るが朝刊の折込チラシ持ってきたか?」


勿論そんなものは持ってきていない。


というか2割引いて貰っても買える金額じゃない。


それになとつけ加える。


「ちょっと来てくれ」


オヤッサンが地下への階段を下りていき、俺たちもその後に続く。


俺が特別室に入った瞬間空気が変わる。


「ちょっとオヤッサン!これどうなっているのよ?」


アクセリナが異様な雰囲気を感じ取りオヤッサンに詰め寄る。


「どうもこうも、多分その月雪花だったか?が、やらかしたんだろう」


嫉妬、羨望、恐怖、驚愕、興奮、不安、愛情等々、特別室はカオスな雰囲気を醸し出している。


「今更返品不可だし、いき遅れていたやつと言っただろ?武器にとって主と共に戦場を駆けるというのは存在意義であり、誉でもある。いつまでもこの地下で燻っているよりかは万倍いい」


「…そうか。わかった。こいつは俺に引き取らせてくれ」


俺がそう言うと、手元の月は嬉しそうに震えた。


「そうしてくれ、俺の子供をよろしく頼む」


オヤッサンは立てかけてあった鞘を俺に手渡し、握手した。











「そういえばアクセリナ。アムリタは?」


オヤッサンに縛られた公園広場に差し掛かった時に、俺はそういえばと飲んでなかったと思い至る。


「アムリタはもういいわ。というか今日の午後には精霊郷から出られるわよ。私と本契約するかは、そうね…昼食迄に決めておいて」


「いやここで決めるよ」


先伸ばしもここまでのようだ。


アクセリナと過ごしたここ数日を思い浮かべる。


最後にケチはついてしまったが、お互い良い関係を結べていたと思う。


ドキドキと緊張してきた。


俺は1つ深呼吸をつき、アクセリナの少し潤んだ瞳と目を合わせる。


「俺の契約精霊になってくれるか?」


「っ…ええ!喜んで」


感極まったアクセリナが俺に飛びつき一緒に芝生の上に倒れこむ。


その様子を見ていたドリアード達がおめでとうと祝福の言葉と激励を送ってきた。










「そろそろ離してくれてもいいのだけれども」


ドリアード達の好奇の目線が突き刺さり、羞恥なプレイの域に達してきている。


「まだ駄目よ?ん…」


俺の上に跨ったアクセリナがキスをせがんでくる。


「見てるコッチが恥ずかしくなってくるわね///」「あの初々しい感じ、思い出すわぁ」「私もいつかご主人様と」「アクセリナって大胆なのねえ///」「今日は私が旦那を攻め…縛…のもいい…ね」


俺が解放されたのはそこから15分後のことだった。

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