え?
妖精の羽根地下特別室
そこはガラスケース並べられ、その中には遠目でもわかる。数多くの業物達が自らの使い手を品定めしている。
「兄ちゃんここの武器は全部意志を持っている」
「意志?どういうことだ?インテリジェンスウェポンということか?」
「いや、インテリジェンスウェポンとは似て非なるものだ。こいつは俺が全身全霊を以て鍛え上げた子ども達でな、比喩表現ではなく俺の命すら削って打っている。んでこいつらは俺の命を糧にして意志をもつようになった。まあ一種のカースドウェポンだな」
呪いの武器とは…俺は絶句する。
「危険性はないのか?」
「お前が武器に不義を働かない限りは大丈夫だ。武器の心情に反した行動をすると使い手を見限り、武器がなまくらになる」
オヤッサンはおもむろに近くのガラスケースに入っている短剣を取り出す。
「すまねえな。ちょっと力を貸してくれ」
そう言い立てかけてあったアダマンタイトの板を斬りつけた。
--------音もなくアダマンタイトの板が斜めにずれる。
俺とアクセリナは口をあんぐりと開け間抜けな姿を晒す。
「とまあデメリットも勿論存在するが、すげえだろ」
「お、おう。でも武器が俺を選んでくれなきゃ使えないんだろ?」
「確かにそうだが。まあ耳を澄ませて武器を見て回ってくれ」
オヤッサンに言われたとおりにアクセリナと俺はガラスケースの間を歩く。
「オヤッサン別に何も感じないぞ?」
「そうか…お前ならいけると思ったんだが…。まあ縁が無かったということか上に戻るか」
「ええっ!?ここまで来て手ぶら?パターン通りなら武器に見初められて、新しい相棒ができるところじゃないの?」
アクセリナが意表を突かれたと突っ込む。
「アクセリナ、仕方ないだろ…俺だって良い武器が欲しかったよ」
俺たちは上の店舗部分に戻り通常の武器を品定めしたが、あの短剣の切れ味を見た今、新しい武器を買う気が起らず、何も買わずに妖精の羽根を後にした。
「何か不完全燃焼よショウ」
不満げにアクセリナが俺に愚痴る。
「仕方ないだろ。いい時間だし家に帰らないか?」
「そうね…晩御飯は私に任せて、あなたはベッドに横になっていなさい?ちょっと辛そうよ?」
「気づいてたか…すまんな。そうさせてもらう」
アクセリナが俺の手をとり晩御飯の献立をああだこうだと相談しながら、俺たちは家に帰っていった。