ここは天国か?
誰かが俺の髪を撫でつけている。
慈愛を感じさせる手つきはどこまでも優しく俺を癒してくれている。
鼻腔には花の華やかな香りがって…
「え?」
俺は目をぱちくりと開ける。
俺の目の前には2つの山がそびえ立っていた。
Eだろうか?
どうも俺は膝枕されているらしい。
そういえばアネッテもこんな感じでって…
俺昨日何してたっけ?
大きな山のせいで俺が起きたことに気づいていない、この優しい手の持ち主は一体誰だろう?
俺の嫁達にこんなに素敵なものを持っている人物はいないのだが…
そうだ思い出した。
俺はアンフィスバエナの毒をもらって死んだのだったな。
皆ごめん俺弱くて。
あれ?
ということはここは天国か?
女神様が俺の功績を認めてくれたのか?
ということはこの手の持ち主は女神様か!?
女神様は俺の頭を膝から浮かし枕に横たえてくれた。
当然俺は目を瞑り寝たふりをする。
すると何かガラスの容器をとるような音が聞こえて
「んっ」
ふわりとして湿った感覚が俺の唇に伝わってきた。
あれ俺キスされてね?
何か液体が流し込まれた。
「!!??」
思わず目を開けてしまうと
緑色の目と視線が交差する。
「「きゃあああああ!!」」
俺と緑色の目をした女の子が同時に悲鳴をあげた。
「うっごほごほ!!」
悲鳴をあげたせいか体が軋む。
起き上がれない。
どうやら俺は天国に案内されたわけではないようだ。
「ちょっとアンタいつからおきてたのよ」
緑色の髪をツインテールにした、緑色の目の女の子がやたら勝気そうな声で俺に質問してきた。
「そんなことよりキス!?もう嫁は3人もいるのですけれども、貴方も私と結婚するんですか?もうお婿に行っているので、もうお婿に行けない…」
訳がわからず俺は混乱する。
「ちょっと落ち着きなさい!」
俺を押さえつける勝気そうな女の子。
「いや!私をどうするつもり?!私をどうにかしようというのなら舌を噛み切って死んでやるわ!!」
「ふざけるのをやめなさい」
怖い。
「はいすみませんでした」
緑色の女の子は俺の体を起こしてくれた。
彼女の全身を観察してみる。
身長165cmくらいでスラリとしたモデル体型、にも拘わらすE位の胸部装甲がついている。
髪の毛はツインテ、色は瞳と同じく緑。
アクアと同じようなデザインのワンピース、(こちらは緑を基調としているが)を着ている。
ん?この気配は…
「お前もしかして精霊か?」
「ふふん。よく気が付いたわね。私はドリアードのアクセリナよ」
「ん?ドリアード?にしては俺に触れるよな?」
「私の位階は大精霊よ。だから物質に干渉できるの」
ふふん。すごいでしょと自慢げにアクセリナは言った。
「大精霊ねえ…うちのアクアも、もしかしてそれなのかねえ?ん?ドリアード…?」
木をくり抜いて出来ている部屋、光の粒子を吐き出すキノコ、周りに満ちている高濃度のマナ。
「…ここってもしかして木の中…精霊界か?」
「大当たり」
まさか
「外の時間は…?」
「時間?あなたがここに来てからそうね…2か月といったところかしら?」
「ガフ!」
驚きの代わりに喀血して彼女に血を吐きつけてしまう。
「ちょっと大丈夫!?」
俺の体を横たえてくれる。
「グ、ゴホッ」
アクセリナは何を思ったのかベッドサイドに置いていた瓶に入っている液体を煽ると、もう一度俺にキスしてくるのだった。




