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機甲魔術師の異世界転移  作者: タングステン風味
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油断

水中に飛び込み逃げ出した蛇を探す。


透明で清浄な水に一筋のドス黒い穢れが見える。


機体の武装はロングバレルの7.62mm水中小銃が両手に、右肩にはミサイルポットにはミサイルの代わりにトーピドーが装填されているようだ。


左肩はハプーンガンがマウントされている。


俺は水が穢れている方に機体を進ませる。


いた。


蛇が地底付近を体をくねらせながら器用に泳ぎまわっている。


「Gyuooo!」


奴もこちらを見つけたようだ。


とりあえず100m程離れた蛇に7.62mm弾をぶちこんでみる。


弾は水中でも使えるように、ライフリングのついていないロングバレルに、水の抵抗を減らす術式が組み込まれている。


鱗に弾かれるかと思ったが、鱗を貫通しダメージを与えたようだ。


しかし、奴の体に穴が空くとすぐに肉が盛り上がり再生してしまう。


「マスター、効果はあまりなさそうです」


「小銃で牽制しながら魚雷を当てるか、ハプーンを当てるしかないな」


7.62mm弾でアンフィスバエナを撃ちながら慎重に前進する。


やはり効果は今一つといったところだ。


蛇が魔力を練り上げる!ブレスだ!


「くっ!」


水中で拡散する毒液は厄介だ。離れれば威力は減るが拡散し、いずれ毒は俺を蝕むだろう。


奴に毒液を吐かせてはならないとすると。


リスクは激高だが近接しかない…!


何せあの絶大な攻撃力の前ではかすれば終わりなのだ、一撃でバラバラになってしまう。


ここは攻める!


7.62mmを撃ちながら距離を詰める。


ヘビは俺を迎撃しようと、胴体を振り回すが紙一重で避ける。


「くっ!」


水流が乱され機体が翻弄される。


巨大な洗濯機の中にいるようだ。


「ggggg」


奴は翻弄される俺目掛けて毒液を吐き散らかす。


「マスター!」


毒液が機体表面を濡らした途端


シュ!と短い音を立てて装甲が融解する。


まずい、早く毒液から逃れないと装甲に穴が開いた途端即死する!


ブースターを吹かせ毒エリアから抜け出すもかなり装甲が削られた。


しかも、行動範囲が時間と共に狭まってくる。


「リスクはあるが突撃で勝負に出る!」


「マスター気をつけてください。魔力炉の限界が近づいてきています」


機体の状態をモニターで確認する。


魔力残量は…30%くらいか。


蛇が丸太のように太い胴体鞭のようにしならせて俺を攻撃してくる。


当たれば機体はバラバラになるだろう。


俺は瞬間的にブースターを点火、紙一重で回避し腹部に内蔵したウィンチでアンカーを射出、蛇の胴体にアンカーを打ち込んだ。


驚いた蛇は俺を振り払おうと遮二無二に振り回す。


「ぐっ!無理か!!」


このままだと壁に叩き付けられてしまう。


アンカーを切断し機体を立て直す。


「マスター、敵の俊敏性が高く、普通に撃っても魚雷は恐らく当たりません」


「わかってる!!」


「落ち着いてくださいマスター。敵はヘビです。ヘビは目があまり良くないはずです。温度か振動でこちらを探知しているのではないでしょうか?」


アクアが何を言いたいのかわかってきた。


「デコイか?」


「はい。フレームと同じような熱源と振動を持つデコイを射出し、敵が攻撃してきたところを狙うのはどうでしょうか?」


「それしかないか…相手が魔力を感知している可能性もある。それを逆手に取り、魔力を失うというリスクがあるがデコイに魔力を過剰に付加し衝撃で爆裂するようにするぞ」


「わかりましたデコイ射出後、機体を隠蔽します」


「地面擦れ擦れでやる、潜航するぞ」


俺は7.62mmで敵を釣りながら深度を深めていく。


「よしよしいい子だ、来い!!」


蛇が焦れたのか損害を気にせず突っ込んでくる!


「アクア!!」


「デコイ、リリース!」


機体エネルギーの残り半分をつぎ込んだデコイを放つと、同時に魔術で機体を隠蔽する。


蛇はこちらの狙い通りデコイに向かって体を突撃させた。


接触した瞬間デコイが爆裂する。


「gyaaaaaoooo!!」


俺は機体の隠蔽を解き蛇に突撃し、蛇の上方から蛇を地底に縫い付けるべく肩部のアームを操作、脇の下からハプーンを撃ちこんだ。


「ここで畳みかける!!」


残った3発のハプーンで等間隔に地面に蛇ごと突き刺す。


「ggggaagyaa!!!」


「アクア、敵の頭部を避けて魚雷の誘導頼む!」


ミサイルポットから有線式の魚雷を全弾撃ちこんだ。


「召喚!」


刃こぼれしたミスリルソードを取り出し。


「クリエイトエーテルランス!」


ミスリルソードを芯に使ったランスを創りだす。


ランスを構え、胴体から千切れとんだ蛇の頭を追う。


アンフィスバエナは頭だけになっても水中を掻き分けて俺に噛みつこうとしてくる。


「食らえ!!」


蛇が口を開けた瞬間、俺のランスが口の中に突き込まれ、毒腺を避け脳幹を貫きようやく蛇は絶命した。









ランスで頭を串刺しにしたまま、俺は霊木のある小島に戻ってきた。


「焔よ浄滅せよ インシニレイト!」


蛇の頭部を焼き尽くしたこれで大丈夫だろう。


俺は除装しフレームを虚数庫にしまった。


ザシュ!


「えっ」


俺の腹部から蛇の牙が生えていた。


「ぐぅがァァァァァッ!」


未だに俺の体に毒を送り込み続ける脈動する牙を抜き取る。


足に力が入らず膝をつく。


「マスター!」


「アクア索敵しろっ!」


アクアがはっとして辺りを見回す。


氷漬けになっているもう片方の蛇頭が、牙を飛ばして攻撃してきたようだ。


既に魔力反応はなく完全に死んでいるようである。


「マスター、敵はもういない!ウォーターヒール!マスター死なないで!」


「ガフッ!」


血が止まらないどうやら毒が完全に回っているようだ。


ああそういえば爺さんがお前は詰めが甘いっていつも言ってたっけな…


「ぐ、すまんアクア油断した」


「マスター!ポイズンリムーブ!」


腰に力が入らない前のめりに頭から倒れこむ。


「なんで!どうして傷が治らないの!ウォーターヒール!」


「……」


声がでないこれは…やばい。


「---!」


アクアが何か言っているようだが聞こえなくなってきた。


すまんアクア。


薄れいく意識の中


「あんたって間抜けねぇ」


と、やけにはっきりした声が聞こえた気がした。

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