譲れないものがある
「貴方たちに蒼月湖の異変の調査とその排除を依頼します」
「それは今すぐにだよな?」
「ええ。民間人に被害も出ているようだし、できれば今すぐにでも出発して欲しいの」
どうしたものか…。
この依頼、非常に危険性が高い。
大型の魔物、蛇くらいしか情報がなく、他の冒険者がどのくらい参加するかもわからないが、恐らくさっきの様子では殆どゼロに近いだろう。
しかも敵の数は不明ときてる。
「レッド、国王様は行けないんだな?」
「ええ。レオンは今森に調査に行ってるわ。今回は無理ね」
ここは引くべきなのだが…。
「…行こう。すまないが足と地図を用意してくれるか?」
「ありがとう。足は馬を2頭用意させるわ。普通は足を用意したりしないから今回だけの特例よ」
「アネッテ、スティナは今回はお留守番な?」
アネッテとスティナが抗議する。
「ショウ、私も戦える!一緒に連れていって欲しい!」
「お兄ちゃん、私も手伝うよ!」
ここで普通に断ってもついて来そうな勢いだった。
「…今朝のことを忘れたのか?お前達が来ても足手まといだ来るなっ!」
2人が傷ついた顔をした。
「マスター…」
「どちらにせよこの依頼はBランククエストよ。アネッテとスティナ行けないわ。アネッテ、スティナこんなにショウに思ってもらって幸せ者ね。ショウを支えていきたいのならば2人はもっと強くなりなさいね」
「「…はい」」
「すみません。フォローしてもらって」
俺はセルマさんに出発の用意をしながら礼を言った。
「ふふっ。若いって良いわねえ。大丈夫、あの娘たちもわかっているわよ」
「マスターこちらは準備OKです。いつでもいけます」
横でこちらを見ていたアネッテたちが声を掛けてくる。
「ごめんなさいお兄ちゃん無理を言ってしまって」
「いや。俺もきつく言ってすまなかった」
「ショウ、次は必ず力になってみせる」
「ああ。期待してる」
さあいくか!!
「いくぞアクア!!」
「了解マイマスター!」
俺とアクアは馬を走らせ蒼月湖へと急ぐのだった。
「お兄ちゃん達行っちゃったね」
「ああ」
「今度こそは絶対に力になってあげるんだから!」
私達の話を聞いていたのか、セルマさんが声を掛けてくる。
「なら、私が貴方達に稽古をつけてあげましょうか?」
「「え?」」




