続続・新生活
今日の日替わり定食は兎の赤ワイン煮込み、玉ねぎとベーコンの透き通ったポタージュ、あとお代わり自由のパンだった。
相変わらずの美味しさで兎の煮込みは、赤ワインのコクが際立ち、兎肉はあっさりとしてクセがなく、スープと見事にマッチしている。
ポタージュは野菜の滋養が溶け込んだ奥深い味で、調味料などは使っていない、ベーコンからの塩気のみの味付けに関わらず実に舌を楽しませる。
食べ終わった。食べ終わってしまったと食事の余韻に浸っていると
「マスター、少し気持ち悪いです」
悪かったな。
そうこうしている内にケーキと食後の紅茶が運ばれてきた。
アクアはイチゴショート、アネッテはガトーショコラ、スティナはフルーツタルトを注文したようだ。
女の子が甘いものを食べている姿は実に目の保養になるね。
アクアなんて初めてのケーキの味に頬が緩んでて本当に可愛い。
アネッテも甘いものなんてと済ました顔をしているが、尻尾がふりふりしてて感情を隠せてないし、スティナは満点の笑顔でタルトを頬張っている。
さて、重要な話をしておかなければならない。
「仕事を探しにいかなければならない」
「お兄ちゃんが無職な旅人っていうのはもう知ってるよ?お父さんがもう冒険者ギルドに話を通してるみたいだからまた後で顔を出してくれっていってた」
あれぇ俺職業選択の自由すら封じられてる?まあ確かに身元不明、無職、戦闘技能しかない俺なんて冒険者位しかないと思うけど…
「そ、そうか何か拍子抜けだな。まあ俺もギルドか何かに登録しようと思ってたから…まあいい明日顔を出す」
そういえばと俺
「俺とアクアが冒険者で依頼をこなしている間アネッテとスティナはどうする?」
「それも姫様…スティナと話をつけてある。スティナが政務をするときは私はスティナの護衛、そうでないときは私もギルドに登録して依頼を一緒にしよう」
「私は戦闘とかはあまり得意じゃないから、お兄ちゃんさえ良かったら戦いかた教えてくれる?お兄ちゃんが冒険者としてやっていけると感じたら私も依頼についていくよ。勿論、政務がないときだけどね」
「でしたら明日は、午前中に軽く模擬戦、午後からギルドに顔を出すというのはどうでしょうか?」
アクアが提案した。
「それでいいと思う。俺はまだ本調子じゃないから模擬戦はかなり軽めでお互いの力量だとか、戦闘スタイルだとかを確認する程度にしよう。その時スティナの今の力を見せてくれ、今後どういう感じに鍛えていくか決めるから」
「うん頑張るよお兄ちゃん♪」
「マスター、これから魔術関係の店にいくのでしょう?そろそろ行きませんと」
「ああそうだな。スティナ、アネッテどちらがその辺に詳しい?」
「私の方が魔術に関しては詳しいよ。けど魔術武器とかはアネッテの方が詳しいと思う」
「今回は魔石やフレームの補修材料が目的だから、スティナに頼めるか?」
「任せてよお兄ちゃん♪」




