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機甲魔術師の異世界転移  作者: タングステン風味
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人?助け

月が2つ有る。


正確には月らしきものだが。


色々な情報を組み合わせた結果




ここは地球ではないのだろう



ということがわかった。


ゴブリンだってそうだし、繋がらない通信機器も地球ではないのだったら納得できる。


何より月らしきものが2つ存在しているのは決定的だ。


多分あの膨大な魔力で何か起こったのだろう。


その何かが全くわからないが…


「考えても仕方ない」


と独り言を呟き、今日も探索を開始するのだった。







今日も下流に向かって歩いていく。


途中滝になっている箇所が幾つかあったが、俺は、魔術師である。


無属性の念動力の魔術を駆使して川をどんどん下っていった。


急に森が開け4、500m先に舗装されてはいないが踏み固められた街道らしきものが見えた。


「これで知的生命体がいることは確かだな」


とわかったようなことを呟く。


突然グォングォンと大きな風を切る音が聞こえた。


咄嗟に身を屈め辺りを見回すと、空を飛ぶ大きな爬虫類が見えた。


「あれ、ドラゴンか?」


呟きながら、地球に存在した亜竜であるワイバーン

に似ている事に気付く。


かなりの速度で街道の方へ飛んでいった。


「やばいこの星やばい」


口に出して自分の置かれている状況を説明していると、ワイバーンが飛んでいった先に小さな米粒の様なものが見えた。


「万里を見透かす鷹の目を与えよ」


視力強化の魔術を唱え確認する。


「あれやばくね」


3台の馬車がワイバーンに襲われそうになっていた。


ここであの馬車を助けて、異文化コミュニケーションを果たしていいものかと数瞬悩んだが、視力強化された俺の目に衝撃的なものが写しだされる。


「狐耳だと…」


俺はその瞬間風となって馬車の方に走っていった。








ワイバーンが騎士に向けて急降下攻撃を仕掛ける。


「ぐわぁぁ!!!」「キャァ!!!」


とまとめて2つの悲鳴が辺りに響いた。


「騎士は魔術師と弓兵を護れ!!」


大声を私は張り上げた。


魔術師が、魔術をワイバーンに向かって放つがほとんど効いているようには見えない。


弓兵に至っては、矢が鱗に完全に弾かれている。


「このままでは姫様が危ない」


馬車の中にいる、忠誠を誓っている姫の身を案じる。


また、ワイバーンが急降下してきた。


ワイバーンが急降下してくるに合わせて自らの得物である大剣で迎撃する。


「はぁっっ!」


強烈なインパクトを両腕に受けながら顔をしかめた。


次受けたら私の腕が使えなくなる…


その確信めいた予感に顔を青ざめながら再び飛び上がるワイバーンを見送る。


我が背には幼いころ大恩を受けた姫様がおられる!例え命の炎が燃え尽きようともここを通す訳にはいかない!


既に戦える者が半数以下となっており、状況は刻一刻と悪くなる一方だった。


そしてワイバーンが姫様の馬車を狙って急降下してきた。


「くぅぅ…」


なんとか受け止めたが反撃する暇もない。


腕の筋肉の繊維がブチブチと音をたてて裂けているのがわかった。


次は止められない。


絶望的な気持ちで上空を旋回しているワイバーンを見ていた。


悔し涙が目から滲み、我が身の非力を呪う。


「誰か助けてくれっ!!」


小さい声で、されど姫様に聞こえないように慟哭した。


その時


「!!!???!!」


未知の魔術を唱えながら爆炎を纏った旋風が駆け込んできた。








俺が場所に向かって走って距離を詰めていると、

狐耳御一行が雪崩落ちるように劣勢に追い込まれていった。


あの様子だと、もたないなと俺は冷静に考えていた。


「仕方ない…あれをやるか…」


クソジジィとの競争で初めて勝利を勝ちとった方法で速度を上げた。


「シールド」「爆破」「シールド」「爆破」「シールド」「爆破」


交互に背中に魔術を行使する。


少しでも魔術の発生箇所や力加減を間違えればあさっての方向にすっ飛んでしまう。


「シールド」「爆破」「シールド」「爆破」


こんな無茶苦茶で馬鹿なことをやるのは世界広しと言えど俺ぐらいなものだろう。


十分に加速がついたところでワイバーンを倒すための魔術を詠唱し初める。


「焔よ焔、沸き上がりて舞い踊れ、浄化の獄炎よ吹き荒べ ファイアストーム!!」


全てを灰塵に変える炎の嵐が空中に誕生した。



俺は、念動力の魔術を行使して着地の衝撃を和らげ、地面を5、6回前回りで転がり、ようやく停止した。


俺は仰向けに転がりワイバーンがきりもみ回転しながら焼滅していくのを眺めてこう思った。



「ドネルケバブが食べたい」



そう言いながら魔力切れと空腹で意識を手放した。


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