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機甲魔術師の異世界転移  作者: タングステン風味
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なんかサバイバル?

ぽかぽかと暖かい日差しが俺を包んでいる。


辺りに充満する木々の香りが、俺の鼻腔をくすぐり快適な朝を演出している。


そういえば昔クソジジィの修行で嗅いだことのある匂いだな……ってなんで?俺なんでこんな森の中にいるの俺なんで?と軽くパニックを起こしながら朝を迎えた。




とりあえず昨日何が起きたか整理してみよう。


朝起きて→学園に行き→帰り際に発電所鎮圧の任務を受けた→黒色のフレームが俺の結界を破って魔力炉爆発→森の中


どう考えても、最後がおかしかった。


何故に森?というかあの魔力の暴走に巻きこまれたら普通に死ぬと思うのだが俺もしかしなくても死んだ?まだ、DTも捨ててないのに?と軽くパニクりながら森の中で悶えていたら。


ぐぎゅるるとお腹の虫が騒ぎ始めた。


そういえば昨日朝飯を食べたっきり、何も腹に入れてなかった。


とりあえず虚数庫の中に入っていた羊羮っぽい非常食を食べお腹を紛らわす。


先程から違和感が拭えない。


思い返すと本来片時も離れないであろう我が相棒のツッコミがないのである。


「おい、アクア?」


俺は情けない声をあげた。


特に何の反応もない。


「どうするかな…」と1人呟くのだった。


俺は万が一いや億が一の可能性を考えないようにしながら現状の把握に努めた。


魔力は普段通り、虚数庫は使えるし魔術の行使もできる、アクアとの魔力の回路(パス)は確かめないようにした。


虚数庫内のフレームは中破、武装は滑腔砲が見当たらないくらいで他は特に問題ない、弾薬もまだまだ余裕がある。


まあ、少々のことは生身でなんとかなるけどな。


クソジジィに山に放り込まれてから常備しているアウトドア用品もあった。


問題なのが通信手段がないことであった。


通信機は壊れているのかノイズがうるさいだけで使えず、スマホは圏外だった。


ここは何処のド田舎だと悪態をつきながら途方にくれる。


あと、食料、水もほとんど持ち合わせがない。


動ける内に確保しなければ、最悪命に関わる。


アクアが居れば水は…いやよそう。


とりあえず虚数庫からハンドガンとマガジン2個、ナイフを取りだして周囲の探索を初めるのだった。


幸運なことに探索を開始してすぐに竹らしき植物を発見、竹筒を確保した。


数個作り虚数庫に放り込む。


「後は水か…」


独り言を呟きながら探索を続けた。


今日はどうにも俺はついているらしい。


飲めそうな水の流れる川が流れていた。


俺はすぐさま落ち枝を集め魔術で火を起こす。


「炎よ息吹け、仄かなる火」


たちまちに木の枝に火が燃え移り炎が上がる。


その炎を利用してアウトドア用品に入っていたコッヘルに川の水を入れ沸騰させから、冷ました水を竹筒に入れていく。


何故に火の魔術で直接水を沸かさないのかというと、魔術師の魔力総量は一般人に良く驚かれるのだが意外と少ないからだ。


俺なら上級のファイアストーム、フレア等の魔力消費が多い魔術を1発撃てば、後は魔力がすっからかんになってしまう。


こんな俺でも魔力総量は多い方である。


満足がいくまて何度か繰り返してから川に沿って下り初めた。


体感時間で20分程度歩いた所で何か小動物の様な気配を捉える。


ウサギにしては大きなその気配は、俺が気付いたのが解ったのか、其処らかしこにキイキイとかん高い声を発しながらそれは出現した。


どうみてもゴブリンである、それが十数匹。


平成の日本では絶滅したゴブリンである。


「なんだと」


この時点で、ここが日本ではないことだけは確かになった。


もし日本にいたら一匹でも、ネッ○ーよりレアである。


平成の日本では、魔物は知性のある竜や人間に友好的な種族以外は全て狩り尽くされ絶滅しているのである。


明らかにこちらを餌として見ている血走った目をしていた。


「キィ!!」


と耳障りな声を響かせながらゴブリンが飛びかかってくる。


「シィ!」


気合い一閃、ナイフを煌めかせゴブリンを切り捨てた。


あまり音を立てるのはマズイ、訳のわからない場所で目立つような真似をして、居るのかわからないが他の魔物を誘き寄せるのは避けたかった。


俺が独力で使える魔術は火と無の属性だけ。


火属性では目立ち、無属性では攻撃力が足りないし燃費が悪い。


となると、とれる方策は限られてくる。


「召還!!」


虚数庫を展開し、ミスリルソードを取りだした。


白兵戦と自己強化系の魔術だけで戦うしかない!!








3分後、ゴブリンは全滅していた。


「まあ、あの噂に名高いゴブリンだからな…」


最初こそ警戒していたのだが、あまりにもゴブリンは弱く、攻撃が止まって見えるほどであった。


「小学生程度でも単体なら退治可能なレベルだったって資料に書いてあったからな…」


妙な脱力感を覚えながら川を下っていった。






その後は何事もなく過ぎていき、日が落ち初める。


「そろそろ野営の準備をしないとな」


少し川から離れ、魔物に襲われ難い場所を探す。


「この辺りが適当だろう」


周囲が岩に囲まれている守り易そうな場所を見つける。


これでもかと大量の認識阻害や警報などの魔術を敷設した。


テントを張り、木の枝を集め、火を起こし、非常食を食べる。


木の実や魚を採ればいいじゃないかと思うかも知れないが、それはかなりのリスク背負うことになる。


ジャングルなどで木の実を食べて死ぬだとかは、良くある話である。


「なんかクソジジィの事を思い出して腹が立ってきた」


と独り言を言いながら空を見上げると一面の星空が広がっていた。


おかしい。


俺は天体とかには興味がないし、星座はオリオン座とか北斗七星位しかわからないが明らかにおかしい星が空にあった。


「なんで月が2つあるんだ?」

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